ご挨拶
1年弱の調査検討の結果、ようやく報告書をまとめることができうれしく思っています。
タイトルは、日本社会全体に知的好奇心がみちあふれ、老いも若きも知的冒険者になってほしい
との願いをこめて、
「はばたけ知的冒険者たち 知的財産の21世紀戦略」
とつけさせていただきました。
私たちは、いま知的財産権の戦略を、総合的に樹立する事が
なによりも重要と考えています。
1980年初頭のアメリカは必死でした。
日本の集中豪雨的な輸出攻勢に対し、「このままではアメリカの製造業は全部つぶれる」と
恐怖におびえていたからです。
そのアメリカの反転攻勢のキーワードがプロパテント政策でした。
すなわち、アメリカは、特許や著作を中心とした知的成果物をどんどん創り出し、
創造の担い手である企業や学者、そして大学等の研究機関が安心して創造に
取り組めるような経済・行政・司法のシステム作りに全力をあげたのです。
この考え方は1985年のヤングレポートに集約されています。
そしてこのような知的財産権戦略とコンピュータを中心にした高度情報技術のもたらす
経済的なインパクトが車の両輪となってアメリカ経済を活性化させていったのです。
すなわちインフォメーションテクノロジー(IT)と知的財産権=インテレクチュアル・プロパティー(IP)
がアメリカの反転攻勢のカギであったことを正確に認識にすべきです。
資源のない、しかしすばらしい人材をもっているわが国の21世紀の生きる道は
知的成果物を豊富にしていくことしかありません。
そのためにも、私たちはわが国の知的活力を再活性化していくための総合的な戦略を
一刻も早く樹立し、その政策的な実現をはかるべきです。
その願いをこめてまとめたのがこの報告書です。
「からすの鳴かない日はあっても、ITが聞こえない日はない」と言われるくらい、
いまやIT革命という言葉が氾濫しています。
しかし呪文のようにIT、ITと唱えていても日本経済が立ち直れるわけではありません。
IT革命を自民党政権の延命策や免罪符に使わせてはなりません。
さらにIT革命は、知的成果物がどんどん生み出される社会が前提になっていることを忘れてはなりません。
結論から言うと、IT革命とIP革命を同時並行的に進めていくことがぜひとも必要となります。
この報告書はその政策メニューを憲法の改正から始まり法的なインフラ、司法的なインフラ等、
できうるかぎり徹底し、総合したものでもあります。
皆様のご参考にしていただければと願っています。
最後に本報告書をまとめるにあたって多くのご示唆をいただいた前特許庁長官の清水教授、
農水省生物資源研究所の桂所長、三井物産の寺島さん、弁護士会、弁理士会の有志のみなさん、
ほか多くの先輩諸兄にこころから感謝を申し上げご報告といたします。