国会通信 No.202
【定住外国人の参政権問題について】
1995/5/1 (マンデーレポート第202回の要旨)
<1> 表題のテーマで宇都宮市においてさきがけとちぎの公開シンポジウム開催
(4月27日)
・パネラー
衆議院議員 さきがけ島根代表 錦織 淳
法政大学教授 江橋 崇
湯河原町町議会議員 弦念 丸呈(ツルネン・マルテイ)
歯科医(韓国籍) 柳 時悦
内科医(台湾籍) 林 建良
・ コーディネーター
衆議院議員 簗瀬 進
<2> テーマ選定の理由は 三つ
1 いま、全国には130万人以上の在留外国人がいる。
これは日本の人口の1%以上である。(東京は約3%。栃木県は1万9千人で1%弱)
日本が開かれた社会を目指すとき外国人の人権問題は大きな課題であり
特に社会に参加する権利としての参政権がクローズアップされてくる。
2 さきがけ島根は、すべての政党にさきがけて昨年11月「定住外国人」に党員資格を
認めた。
この問題提起を受けて現在県市町村議会の推進決議が200を越えようとしている。
3 今年2月28日最高裁の判決が出た。
在留外国人でも「永住者等であって、その居住する区域の地方公共団体と特段に緊密
な関係を持つに至ったと認められるものについては、選挙権を付与する措置を講ずる
ことは違憲ではない。」との判断を下しこの問題がにわかに現実のものとなった。
<3> 各パネラーの意見の中で印象深かった点。
1 錦織発言: 国際化の問題は、外との国際化のみならず、
内なる「国際化」も重要。
日本国民の意識を真に国際化するためには「隣人との国際化をどうする
か」が大きなポイントである。
この見地から定住外国人にも参政権を認めるべきである。
2 弦念発言: 日本に長く居ると「参加出来ないつらさ」「お客様、よそ者」扱いの
つらさが身にしみる。
お世話になった「鶴(ツルねん)の恩返し」の気持ちで帰化して
町会議員になった。
しかし、故国フィンランドでは帰化=国籍取得しないでも一定期間
住んでいれば地方レベルでの参政権(選挙権、被選挙権)は得られる。
日本もそうなって欲しい。
3 柳 発言: 私は在日韓国人2世。現在日本には南北あわせて65万人の在留者が
おり子々孫々日本に住んでいく。
「永住の許可」と言う恩恵的な扱いは納得できない。
人権は内外平等であり、そこに住む者の市民・住民としての価値は平等、
共生の論理として参政権は認めるべきである。
日本社会のためにも20世紀的な一枚岩的価値観を21世紀的な
多元主義的価値乃至システムに変えていく必要がある。
4 林 発言: 私は台湾の親日的家庭で育った。
しかし日本に来てみて部屋を借りようとしても「ペットと外人お断り」
の張り紙があったり嫌な体験を数多くした。
台湾では、留学先の国によって、留米派・留欧派はほとんど親米・親欧
派となって帰ってくるが、留日派は逆に反日派になることが多い。
「参政権を求めている人は求めていない人よりその土地を愛している」
と思う。
だから定住外国人にも参政権を与えるべきである。
<4> 検討すべき課題
1 参政権を与えるレベル : 地方レベルのみならず国政レベルにも与えるべきか。
2 参政権の内容 : 選挙権のみならず被選挙権も認めるか。
3 付与の要件 : 定住期間をどうするか、定住以外の要件(地域に緊密な関係etc)
を つけ加えるか。
日本人に参政権を認めていない国の人にも参政権を認めるのか
(相互主義の可否)。
4 その他 : 自国の投票権を持っている外国人は2票持つことになるがそれで
よいか?
(柳さんは、1については地方のみでよい、2については「参加」する
以上被選挙権も当然含まれる、但し、首長の被選挙権まで性急には
望まない、と発言した。)
<5> 結論
国家と国民のタテの関係が強固な日本はいわば「タテ社会」。
外国人の参政権を全く認めなかった従来の通説は、いわばタテ社会の象徴的考え方。
地球市民として国家の枠組みを越えた横断的な連携が生まれようとしている現在、
閉鎖的なタテ社会を開放的な「ヨコ社会」に改めるべきである。
この見地からも定住外国人の参政権は認めるべきである。
まずは、地方議会の参政権から始め、徐々にその内容を拡大すべきである。
これは日本に対する国際的な信頼感を高めるためにも多いにプラスである。