国会通信 No.206 


【長良川河口堰問題について】

1995/5/29 (マンデーレポート第206回の要旨)



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【先週の出来事】

1  22日 長良川河口堰問題について「運用開  
   始」の最終決断
2 23日 中央建設審議会 「公共工事標準請負
   約款」につき20年ぶりの大改正
3 23日 衆議院本会議 「サリン事件について
   の質疑」 
4 26日 衆 本会議 「容器包装に係わる分別
   収集及び再商品化促進関する法律案」の趣旨説明 
   及び質疑 
5 26日 さきがけ基本政策調査会
  「PKO派遣についての新基準」の検討

【長良川河口堰問題について】
		
1 建設大臣 記者発表直前に面会。
 苦渋の末の決断を告げられる。
 「運用開始決定をすれば、私自身もまた社会党と
 しても批判の十字砲火を浴びることは覚悟してい
 る。しかし、先送りすれば次の大臣にまた重荷を
 背負わせることになる。腹をくくって決断しまし
た。」

2 私もこの問題については悩み抜いた。
 堰が出来ることにより長良川の生態系に変化が生
ずるのは当然予想できる。
21世紀に向けて日本は「大量生産=〃消費=〃廃棄」
の社会体系を改める必要があると常に主張してきた。
ガンジーの言葉「文明の本質は、欲望を増進すること
ではなく、欲望を如何に捨て去るかにある」は私の
大好きな言葉でもある。
さきがけは、武村さん(全国に先駆けて琵琶湖の
富栄養化問題に取り組む)堂本さん、高見君、宇佐見君等
環境に人1倍熱心な議員が集結している。
長良川の問題についてもなんとか局面打開の方向がないかと
考えたが良い知恵は浮かばなかった。

3  最終的に運用開始を決断した理由

(1)  地元からの多くの建設促進決議

 河口堰建設については、岐阜、三重、愛知の三県各知事、
関係市町村長(沿川3市7町1村)、市町村議会(1市8町1村)、
商工関係、農業関係、自治会(岐阜市長良川左右岸自治会)等
多くの関係者から促進決議が寄せられており、
地元住民の意思は無視できないこと。

(2)  情報公開の努力

それまでの秘密主義的な取り組みを改め、
平成2年9月の「長良川河口堰について」の公表を皮切りに、
環境の「追加調査」公表、「技術報告」の公表、河口堰調査
(防災、環境、塩分)を公開で実施、結果を公表し、平成7年
3月には「円卓会議」を開催する等の努力を続けたこと。

(3)  すでに投資された膨大な事業費

現在までの河口堰に投入された事業費は約1500億円
(うち国費は680億円)。これを無視することは困難である。

(4)  できうる限りの環境保全対策が講じられていること。

多様な魚道の設置(呼び水式、ロック式、デニール式等)、
アユ、サツキマスの人工種苗技術の開発、
水辺の植生の復元等の環境対策をすでに実施している。
堰完成後も環境調査は継続、調査結果により今後必要な保全対策を実施する。

4 以上の結論には正直に言って今も忸怩たる思い有り。
でき得るならば、この事業の決定以前にタイムスリップしたかった。
積年の事業費投入の既成事実を背負いながら決断しなければならなかった
のは残念である。

5 長良川の教訓
◎ 長良川の環境保護運動は、建設行政に対して貴重な教訓をもたらした。
以下の3点に要約できる。
(1) 総ての公共事業に「自然保護」と「環境尊重」を内在化すべし。
(2) 建設省は臆することなく情報開示に取り組むべし。
(3) 巨額の事業費を伴う巨大公共事業については住民と国民の
  コンセンサスを得るべし。
今後この3点が建設行政で確立されるよう努力したい。