国会通信 No.228
【本会議代表質問】
1995/11/27(マンデーレポート第228回の要旨)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【先週の主な活動記録、参加した主な会議】
●21日 衆議院本会議 APECについての報告と質疑
●21日 「土地税制緩和と景気を考える会」
講師日本大学教授 田中啓一氏
●22日 フランス4回めの核実験強行。
●22日 さきがけ基本政策調査会 「新たな防衛力について」
●22日 さきがけ基本戦略委員会
【本会議で初質問】
1 21日の衆議院本会議で与党三党を代表して質問
衆議院の本会議場の雛壇で質問をするのは初めてのこと。
結構緊張しました。
2 質問はAPEC大阪会議についての政府報告に対するもので
与野党各1名ずつ。野党からは新進党の小池百合子議員、時間は15分。
与党は私で10分。持論の信頼関係醸成プログラムや、アジア大平洋地域
における情報基盤整備についてウエートを置くことにした。
3 以下は質問のさわりの部分の抜粋である。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(略)
さて、この度採択された「行動指針」についてお伺いいたします。
APECのメンバーは、人口では、十二億人を擁する中国から
二十六万人のブルネイ王国まで、また、一人当たりGDPで見て
も、日本と中国では七十倍以上の開きがあります。このように、
政治的、経済的、社会的に極めて多様性に富み、国内の産業構造や
経済情勢が異なる中、具体的に自由化・円滑化を進めていくことは、
大変難しいことであると思われます。
このような多様性に富むAPEC参加各国の合意形成について、
今回確立された、ユニークな「アジア太平洋方式」を、新しい合意
形成のスタイルとして、画期的でありかつ積極的に評価すべきもの
と考えております。
しかし、一方においては「行動指針」の性格について、様々な捉え
方がなされているようであります。そこで、この「行動指針」が各
国をどのように拘束するのか、また、発展途上国と先進国の格差を
拡大することなく、アジア太平洋地域全体の持続的経済発展を図る
ため、APEC参加各国が、どのように自由化・円滑化を進めてい
くべきか、総理にお尋ねいたします。
また、マニラ会議に向けた「行動計画」の策定において、わが国
がいかにリーダーシップを発揮していくべきか、特にわが国が包括
的自由化の模範となるべく、率先垂範し、一層の規制緩和などの市
場開放策を進めるべきものと考えるが、その具体的方策について総
理にお伺いいたします。
さらに、我が国に期待されるのは多様な経済・技術協力であると
考えます。 わが国には、明治以来の急激な近代化や、敗戦の荒廃
から奇跡の経済復興をなし遂げた等の、激変する環境を克服してき
たハード、ソフト両面における広範なノウハウが蓄積されています。
かつて「ルックイースト」と言われた我が国のノウハウを、プラス
のもマイナスのものも含めて、積極的に提供していくことで、多い
にリーダーシップを発揮していくべきであります。
とくに、伸び続けるエネルギー需要と、環境問題の深刻化に対し
ては各国の協調行動が欠かせません。エネルギー・環境問題につい
て、どのように貢献していかれるおつもりか、具体的な計画を、通
商産業大臣にお伺いいたしたく存じます。
(略)
さて、APECの将来像を思い描くにあたり、すべての外交の
基本に置かれるべき信頼関係醸成プログラムについて質問いたしま
す。今回の大阪会議の直前にも歴史認識をめぐって我が国と韓国・
中国との間に鋭い対立が生じました。
ヨーロッパが、EUという、過去の歴史を超越した新しい国家を
模索しているのを横目で見ながら、我が国がいつまでも過去の
歴史の呪縛から開放されずにいる現状はなんと悲しく情けないこ
となのでしょうか。
2年前私は韓国の独立記念館を視察しました。その時に見た
戸籍謄本の原本がいまでも目に焼き付いています。
「宏 秀全」という記載の真上に赤鉛筆で太く棒線がひかれ、
赤字で「広山秀夫」と書き換えられていました。祖先から
引き継ぎ、親から与えられた姓名をたった一本の赤鉛筆で抹消
された人の心の痛みは恐らく一生消えることはないでしょう。
歴史の現実は、それを見る者に圧倒的に迫ってきます。
アジア・太平洋地域が真に「共同体」として、相互に不可欠の
パートナーになるためには、まず歴史をしっかりと認識すると
ころから出発すべきだと思います。そして彼我の歴史認識の
ズレを埋めていく共同作業が必要です。
そこで総理、歴史認識を中心にした今後のアジア・太平洋地域
におけるわが国への「信頼関係醸成」プログラムの具体的内容
をお聞かせ下さい。
次に、APECメンバー間に共通の情報政策について質問い
たします。なぜなら、私は「情報インフラの整備」こそ「信頼
関係醸成プログラム」の必要条件と考えているからであります。
パソコンやインターネットによる情報は、今や国境を越えて全
世界に広がっています。そして情報の及ぶ範囲は、国家のレベル
を軽く越え、個人のレベルまで及んでいます。
アジア太平洋地域が真に共同体となり、域内の多様性がやがて
普遍的友情に高められ、相互の信頼関係が進化するためにも、
域内の共通の情報基盤整備は重要です。
ソフトからハードの技術開発支援のみならず法制面までを含む、
総合的な共通政策を考える時期に来ているのではないでしょうか。
この点具体的にどのようにお考えか、御自身もネットワーカー
の一人と聞いておりますが、通商産業大臣にお伺いいたします。
(略)
奇しくも今から五二年前の昭和十八年十一月五日、この国会
議事堂内の貴族院予算委員室(現 参議院第一委員室)において、
アジア6ヶ国の指導者を集め「大東亜会議」が開催されました。
会議冒頭、日本国代表東條英機内閣総理大臣は代表演説を行い
「戦争遂行の決意」と「大東亜共栄圏の確立」を内外に宣明し
ました。
「日本のためのアジア」という幻想と虚構に陥って犯した50
年前の失敗は二度と繰り返してはなりません。
まさに「アジア太平洋共同体」実現のために全力をつくし、
「日本のアジア」ではなく、「アジアの日本」を目指すべきで
あることを最後に訴えて、質問を終わります。