国会通信 No.243
【住専問題PART4】
1996/3/11(マンデーレポート第243回の要旨)
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【先週の出来事】
●4日 新進党、第1委員室前の廊下にピケ。
国会空転。
●5日 与党 住専処理の追加措置決定。
●8日 「エイズ、住専、もんじゅと民事訴訟を考える会」開催。
【住専国会の行方】
1 理解に苦しむ与党の追加措置。
● 銀行・系統ともにリストラ目標を明示させたこと、
さらに目標達成について国会がチエックする事とした点は一応評価。
● しかし、リストラは全ての企業の当然の課題。
また、リストラ効果としての納税増は実際のところ検証不可能。
さらに、今後の景気動向によって、どうなるか分からない努力
目標でしかない。
● 本当は処理スキームに確信が持てない、
与党の不安感の現れである。
これで、ますます与党の処理スキームの説明・納得が
困難となった感がある。腰くだけが結局は墓穴を掘る
ことになったかもしれない?
そして、すわり込みの新進党を勢いづかせるだろう。
2 しかし、私は、それでも与党の処理案しかないと考える。
1) 住専問題の本質は、住専に多額の資金を投入し、
住専から返済不能に陥いろうとしている債権者たち
(農協、母体行、一般行)を、どう処置するかの
問題である。断じて住専を救済するためのものではない。
(住専7社は、「住専処理機構」に吸収する形で消滅させる。
法的処理よりも早く消滅させる。)
2) 住専処理は、預金者保護であり、景気対策、
国際信頼の回復でもある。住専に貸し付けられた多額の資金の原資は、
もとをただせば農協や母体行、一般行への預金である。
この預金者の預金をどう保護するのかが住専処理策の最大の課題である。
また、不良債権問題が好転しない以上、いつまでたっても
金融機関は積極的な貸し出し姿勢に転じることができず、
景気回復が本格的にならない。
この観点で住専処理は重要な景気対策である。
さらに、住専問題によって日本の金融システムに対する
海外の信頼は著しく低下している。
一部では日本の金融機関はブラジル並(ブラジルに失礼?)
とまで言われ、ジャパンプレミアムによって大きな損害を
生じさせている。この海外の信頼を回復しなければならない。
3) 「法的処理」か「行政的処理」か。
しかし、処理の方法は実は、「法的処理」か「行政的処理」
の二つに一つでしかない。双方の比較考量の中でより効果的
な方法を選択するしかないのである。
法的処理は、裁判所の関与の中で、破産、会社更生法等の
現行法に乗っ取り手続きを進める方法。行政的処理は、
行政的なスキームの中で公的資金を導入しつつ処理をする仕方。
私は、まず、法的処理では住専問題の効果的解決ははかれない
と考えている。
4) 法的処理を取らない理由
● もう時間がない。
ー法的処理には一定の時間がかかる。
これに対して、公的処理は公的資金の導入や、
関係当事者の住専処理機構に対する長期融資を得て、
直ちに住専を解体することができ、新しい処理のスタートを切ることができる。
● 法的処理は傷口を広げるだけ。
ー法的処理は、裁判所のもとで行われる。
日本の裁判所の処理スピードののろさは世界で有名。
また、清算手続きによって不良債権の不良化が止まる保障はなく、
景気回復もままならない。
結果として担保不動産の価値はさらに低減。
住専のあけた穴はさらに拡大する。
今までも現に1年間で1兆円ずつ増えてきた。法的処理は傷口を拡大するだけだ。
● 法的処理によっても、損害の穴埋めはできない。
法的処理は、債権者に配当される金額を確定する手続きでしかない。
いわば損害の確定のための手続き。
どんなに待っていても、損害額は増えることはあっても減ることはない。
● 法的処理は、結果として母体行を利するだけ。
法的処理の結果、配当は債権者平等の原則で行われる。
その結果、債権全額放棄のはずの母体行に債権者平等で
配当が行われ、ゼロがプラスに上昇。そのしわ寄せが結果として
農協系統や一般行に及ぶことになり、結果として母体行が得をすることになる。
● 法的処理をする主体は、裁判所(EX破産裁判所等)・
弁護士(EX破産管財人)だが、そのスタッフは限られており、
住専処理に専従とは行かない。現実の処理能力ははなはだ心許ない。
5) 行政的処理のスキームについて
● 税金投入以外の方法は考えずらい。
税金投入以外の方法として、日銀特別融資等の何らかの貸付で
済ませればよいとの意見がある。
しかし、破綻した住専の処理のための貸付を認めるとなると、
返済不能を認めた相手に貸すことになり、
いわば国家的追い貸しであって、健全な考え方とは言えない。
住専を再建するための貸し出しならあり得るが、
もちろん今回の処理はそうではない。
いわば死に体の住専を早く解体するためのものであり、
従って日銀特融等の方法は取り得ない。
● 関係当事者の負担額の根拠が明瞭ではないとの
批判に対し関係当事者の話し合いの結果、
1次ロス6.41兆円について最終的には
母体行は債権額5.5兆円の全額を債権放棄によって負担、
一般行は債権額3.8兆円の四割弱の1.7兆円を放棄、
農協系統は債権額5.5兆円の一割弱の0.53兆円を贈与として返還する
との合意に達し、
その足りない部分を公費0.68兆円と補填すると決めたものである。
確かに、これは関係当事者の話し合いの結果であり、
積み上げ方式で決めたものではなく、従ってその性格上
金額の細部にわたる説明ができないのはやむを得ないところである。
言うならば、総合的判断から損失の割り振りについては
母体行100、一般行40、農協10と決め、
最後の金額のつめは個々の負担能力に応じて微調整したものであり、
その残りを公費が負担したわけである。
2 新進党の審議妨害は言語同断。
● 代案なきまま座り込みを続ける新進党の国会議員たち。
まさに、威力業務妨害行為であり、国会ジャックである。
削除しなければ、ピケは解かない、との態度は言語道断の
独断的、民主主義破壊論である。
一刻も早く、ピケを解くべきである。そして、言論の府の
ルールに立ち戻るべきである。
● 三月二三日の大統領選挙を控えて緊張する中台情勢、や
厚生省の問題、民法・民事訴訟法改正問題など、山積する重要な問題は
すべて新進党のピケによって宙に浮いている。
路傍に座り駄々をこねる幼児のような挙動は、正視に耐えない。
一刻も早く、ピケを解くべきである。
● 恐らく今週は株価は二万円の大台を完全に割り込むであろう。
千円で一五兆円の現在の株式市場、
住専処理で断を下してからの上昇ぶりが完全に消えようとしている。
三月決算期をま近にし景気は再び低迷しかねない。
● 年度内に予算が成立せず、暫定予算ともなれば、
景気回復の足どりはまさしく鈍る。
これも新進党の愚挙のなせる技である。
一刻も早く、ピケを解くべきである。