国会通信 No.245
【NTT分割問題】
1996/3/25(マンデーレポート第245回の要旨)
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【先週の出来事】
●19日 総務会。国会空転。
与野党の別なく、国民の政治不信を増大させている。
岐阜補選が終わるまでは我慢比べが続くのか。
●21日 拡大政調 特にNTT分割問題について集中的に議論。
●20日 やなせ進上三川後援会総会
【NTT分割問題について】
1 電気通信審議会答申の内容
●2月29日に出された上記答申は、
主に「公正有効競争条件の整備」、「経営の合理化」等の観点から
NTTを長距離1社、地域2社(東NTTと西NTT)に分離・分割すべき
と提言。
●同答申が指摘した主な問題点
1) NTTは巨大すぎる。
→民間企業の職員数 (平成6年度)
1位 NTT 19万4721人
2位 JR東日本 7万9709人
3位 日立製作所 7万6679人
4位 東芝 7万3463人
5位 トヨタ自動車 6万9748人
→世界の主要な電気通信事業者の事業収入(94年、億円)
1位 NTT 7兆372億円
2位 AT&T 3兆9234億円
3位 ドイツテレコム 3兆8403億円
4位 フランステレコム 2兆3131億円
5位 BT 1兆9943億円
2) 料金の内外価格差がありすぎる。
→加入一時金
NTTは7万2800円。
(米、5789円。英、1万6174円。仏、5395円。独、7282円)
→国内長距離電話(平日昼間3分間、最遠距離)
NTTは180円。
(米、107円。英、41円。仏、131円。独、140円)
3) 地域通信はNTTが独占。このため第二電電や日本テレコムなどの
長距離系新電電の価格引き下げにも限度がある。(ボトルネック問題)
→長距離系3社の電話収入は6284億円だが、このうちNTTに支払った
接続料金は3103億円。半分はNTTにもっていかれる。(平成6年度)
●これらの問題点の解決のために現在のNTTを以下のように
分離・分割する。
1)長距離部門を分離・独立させ長距離NTTとする。
さらにその業務を拡大して国際通信や地域通信、CATV、海外市場に
参入できるようにする。
2)地域部門を、東、西の二つの地域NTTに分割。
さらに相手の地域での電話、CATVに参入できるようにする。
やがて自分の地域で長距離、や国際通信に参入することもできる。
2 上記答申について私の考え。
●結論 以下の条件を付けたうえで分割には反対。
1) 高すぎる加入一時金、最遠距離の通信料金の早急な引き下げ、
2) NTTのネットワークを他の業者にも自由に使わせる
「オープン化」の徹底。
3) 定額制料金によるコンピューター網の早期実現。
●理由
1) 分離分割は電話時代の競争政策。
コンピューターによる高度通信の時代はむしろ「統合の利益」のほう
が重要になると考える。
「電話」が中心の時代にあっては、かつてのアメリカの
AT&Tのように、長距離と地域を分割することで料金の低廉化を
はかると言った手法が、多いに有効であった。
しかし、「電話」が中心のアナログ通信時代から、
今やインターネットに代表されるコンピューター通信中心の
デジタル時代に変わってきた。
世界中のコンピューター利用者が国境を越えて瞬時に直接的に結べるような
グローバル化、さらに動く映像や音声まで送れるマルチメディア化といった
すさまじい技術革新が日々行われている。
そんな新しい通信技術のもとでは「長距離」と「地域」を分けて
論ずることに意味はなくなってきているのではないか。
むしろ、「長距離」と「地域」を分離することのプラスより、
システム分断のマイナスのほうが大になるのではないか。
このような新しいデジタル時代にあっては
長距離も地域も不可分のシステムの一部と考えるべきである。
そしてシステムの「集積の弊害」よりも「集積の利益」を
積極的に評価し、両者の統合を容認すべきである。
従って、今回の答申は、電話時代の競争政策であり、
若干時代に遅れた発想と言わざるを得ない。
2) アメリカの通信法改正をどう理解する。
本年2月1日アメリカの連邦通信法が改正になった。
主な改正は、1984年のAT&T分割以来禁止していた
長距離と地域の相互参入を改めて認めたことである。
また、通信とCATV(放送)の参入も認めた。
12年前の1984年、アメリカは連邦最高裁審決を受けて、
AT&Tを長距離1社、地域7社に分割し、そして相互参入を禁止した。
「長距離は競走、地域は自然に独占」という最高裁の考えに
従った分割であったが、今回の改正はこの考え方の微妙な変化を感じさせる。
どうも、高度通信時代になりながら、長距離と地域を分離しておくことの
マイナスを悟ったのではなかろうか。
通信、CATV、放送サービスの統合の道筋をつけ、また地域電話会社が
長距離分野に進出する等、統合の利益、あるいは集積の利益を重視する
政策変更と評価すべきではないか。
現に、今回改正によって大型合併が加速されると予測され、
AT&Tと地域の再合併はのぞかれるものの、
ベルアトランティックとナイネックスは合併の方向である。
集積の弊害を重視した1984年のAT&T分割以来の
政策を根本から改め、集積の利益を積極的に評価しながら、
デジタル時代の世界戦略を着々と整えるのが今回の法改正の
最大の意義であろう。
これに対し、わが国がアナログ時代の競争政策であった
分離政策に固執し、NTTを分離・分割して結果として
弱体化するのはするのは避けるべきである。
エンドユーザーのための料金の低廉化やサービスの多様化については
分離分割以外の方法でも達成可能と考えるので、デジタル時代の
国際的競争力を低下させる分離分割は行うべきではないと考える。
3) 日本は分割するのに狭すぎる。
アメリカの一つの州にも満たない狭い日本を、長距離と東西2地域に
切り刻むのは、光通信のスピードを思うとき、絶対に得策ではない。
4) 東・西の同族対決では、競争より裏で協調してしまう。
本当の熾烈な競争は、電力や鉄鋼、自動車等の畑違いの他人との
間で行われる。
5) 規制緩和が重要。
NTT事業法は、役員全員の選任や、事業計画の決定について、郵政省の認可が必要。
ここを変えずに分割だと、天下りのポストが増えるだけ。
料金の認可制や、新サービスの認可制など多くの規制に囲まれている。
その他事業区分、放送と通信の参入規制、需給調整等多くの規制。
これをまず撤廃すべきである