国会通信 No.277
【補助金汚職とNPO法案】
1996/12/ 9 (マンデーレポート第277回の要旨)
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【補助金汚職とNPO法案】
○ 先週水曜日 元厚生省事務次官 岡光逮捕。
○ 問題の本質は何か。
官僚の倫理問題であると同時に、
補助金を通じて官と結びついている公益法人制度の問題でもある。
いわば日本の社会における官僚セクターの「構造的」問題を
絶対見落としてはならない。
○ 部外者との食事の金額や、贈答品の金額について詳細に定めている
アメリカのような倫理法案を作るのは、もちろん賛成である。
しかし、倫理面からのアプローチにウエートが置かれ過ぎ、
上記の構造的問題を看過すると、それは官の思うつぼである。
○ なぜならば、「公益法人制度」は、官にとって、利権の秘密の花園である
と言えるからである。後で述べるエピソードによっても、
官がもっとも恐れているのは、むしろ倫理問題よりも、
公益法人という市民から見えずらい「秘密の花園」に、手が付けられる
ことではなかろうか。
○ 今回の「彩(アヤ)グループ」は、以下のような規定にしたがって
厚生大臣によって認可された社会福祉法人である。
# 社会福祉事業法2条は「特別養護老人ホーム」を経営する事業を
第1種社会福祉事業と規定している。
# 同法21条は、社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めに
したがって設立された法人を「社会福祉法人」としている。
# 同法29条は、設立については、厚生省令で定める手続きに従い、
所轄庁で「認可」されることを要すると規定している。
# 同法28条の2は、所轄庁を原則は都道府県知事とし、
活動が他府県に及ぶ場合は厚生大臣としている。
○ 民法34条は、公益法人を、主務官庁の「許可」によるとしている。
社会福祉法人も広義の公益法人であり、「認可」制度と言いながら
厚生省令で厳しくチエックされながら、認可されるのであるから
厚生省の強い指導のもとに設立されることに変わりはない。
○ このように官の周囲には、官の強い指導力により設立される多くの
「法人群」が存在している。即ち日本の官僚セクターは、以下のような
ピラミッド構造を形成していると考えられる。
《霞ケ関》
↓
《特殊法人群》
↓
《公益法人群》(広義の医療法人・学校法人・社会福祉法人を含む)
↓
《関連企業群》
そしてこれらのピラミッドは「補助金」と「天下り」という
金と人によって緊密に結ばれてきた。
もちろん、すべての特殊法人や公益法人に不正な癒着があるなど
と言うつもりはないが、大なり小なりその危険性は潜在している。
○ 以上は、官僚主導型社会の背骨を形成してきたシステムである。
そして、今回の補助金汚職もこの構造から誕生した腐敗である。
この構造は以下の理由から、急速に変えていかねばならない。
○ すなわち、市民や市場の資本力や経営能力が、以前とは比較にならないほど
高まった現代においては、この仕組みはすでに歴史的役割を終え、
効率的でなくなった事。それどころか、このシステムが温存されることにより
市民や市場の健全な発展が邪魔されることになること。
○ このことから、具体的な方策としては、市場中心ルールの確立や、
情報公開の徹底、民営化の観点、
そして官僚独占の官製法人から市民法人の道を開くこと(NPO法案)等に
全力を注ぐべきである。
○ 忘れられないエピソードがある。
昨年12月、与党3党がNPO法案の議員立法化に取り組んでいるのを
知りながら、突然経企庁は、独自案を税制論議のたたき台として提案してきた。
あのときの、NPO法案に対する霞ケ関の執拗な横やりは、すさまじかった。
最後には、厚生族のドンと言われた現総理までもが、
経企庁の肩を持ってきたのには正直驚いた。
何で、そこまで経企庁に味方するのか当時は理解できなかった。
しかし、今はなんとなく分かるような気がする。
# NPO法案は、「公益法人」の世界に、自主的な市民の参入を促進する。
即ち、同法案は、官僚の秘密の花園を侵食するものである。
既得権を侵そうとするものには全力を上げて対抗してくるのが霞ケ関なのである。
# そして、実は最大の既得権をここに持っていたのも厚生省だったのか。
私にとって、今回の補助金汚職は、どうしても昨年のNPO法案の裏面史と
結びついてしまう。