国会通信 No.295
【強攻策の評価】
1997/4/28 (マンデーレポート第295回の要旨)
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【強攻策の評価】
■ おわび
先週の月曜日から金曜日の間、旅行にでかけておりました。
慌ただしく出発したため、原人日記休載のご連絡ができませんでした。
おわび申し上げます。
【強攻策の評価】
● 先週の水曜日、ペルー大使館占拠事件が、ペルー軍特殊部隊強行突入のうえ、
ようやく解決しました。不幸にしてお亡くなりになった、ペルー最高裁判事の
ジュスティーさんとペルー軍特殊部隊の二人の隊員のご冥福をお祈りするとともに、
解放された人質の皆さん全員に、心から祝福を送りたいと思います。
● また、テロリストの不法行為に屈しなかったフジモリ大統領の果断な
決断にも、深甚な敬意を表したいと思います。
● 作戦は周到に準備された見事なものだったと思います。
大使館の地下にのびる4本のトンネルの秘密裏の建設、
トンネルから瞬時にかつ大量に出現する特殊部隊の迅速な活動、
地上にいるトウパクアマルの配置や動きを充分想定して仕掛けられた爆弾、
「画鋲」というニックネームの微小集音マイクによる情報収集と分析、
などなど、テロ集団との戦いは、ほとんどワンサイドゲームでした。
占拠グループ14人全員が死亡という冷厳な事実がこれをしっかりと物語っていま
す。
● しかし、まるで赤子の手をひねるようなこの結果に、
個人的には釈然としないものを感じます。
トンネルの存在は、落盤によって気づいていたはずなのに、
地下からの侵入についてなぜあれほど無神経・無防備でいられたのでしょうか。
再三差し入れられる衣類そのたの物品に対するチエックがおろそかなのは
信じがたいほどです。
それほど現在の電子機器に対する知識が欠如しているのでしょうか。
● サッカーゲームに興じている最中、足元が爆発するなどいった光景は、
テロについての基礎的な訓練・教育すらできていないシロウト集団との
印象を深くします。だからこそ、以下の「処刑疑惑」に対して、フジモリ政権や
ペルー軍は、厳密な調査をし、その結果を公表すべきです。
● 現在、14人のうち3人が投降した後に処刑されたのではないかとの
「処刑疑惑」が提起されています。
捕虜の待遇に関するジュネーブ条約第3条は「武装放棄した戦闘員に対する
人道的待遇と保護」について規定し、これは77年の追加議定書によって
「国内紛争の組織的武装集団」にも拡大されています。
投降してきた後に殺害されたとしたら、間違いなくジュネーブ条約違反になります。
「将来の禍根を断つためにこの際は…」式の事が行われたとしたら、それは私刑
であり殺人罪に該当します。どんなときでも「法の適正な手続き」は守られねば
ならない。いわゆる「デュー・プロセス・オブ・ロー」こそ国家への民主的信頼
の基本です。
事実を究明すべきです。この点をおろそかにすると「画龍点晴を欠き」、
ぺルー軍及びフジモリ政権への民主的信頼は大いに失墜することになります。
● シプリアーニ司教を中心とする保証委員会の存在は、結果的に見れば
心ならずもペルー軍のための「時間稼ぎ」や「陽動作戦」の役割を果たす
ことになってしまいました。シプリアーニさんの「涙」にその無念さが
現れていたと思います。私もあの涙には共感しました。
しかし、このことを国家的だまし討ちと批判するのは適当ではないと
思います。そもそも武力によって不法に人間の自由を剥奪した者が、
相手方にのみ信義を要求するのは間違っていると考えるからです。
● 今回の事件の出発点には、やはり大使館側の情報収集能力や
警備能力等の、基本的な問題点があったことは明らかです。
「システムの不備を、人間の個人的な能力でなんとかカバー」している
といった印象が濃厚です。
湾岸戦争の際にも指摘されたことが今もって解決されていないのです。
この国には、歴史的な学習能力が欠けています。情けなくなります。