国会通信 No.303
【野党論】
1997/6/23 (マンデーレポート第303回の要旨)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【野党論】
● 国会終了と、民主党が関連する主な法律案の行方
先週18日、第140通常国会は、150日の会期を満了し閉会しました。民主党
が提案したり、あるいは重要な役割を果たした法案は以下の通りの結果でした。
1 公共事業コントロール法案 → 審議未了・廃案
2 行政監視院法案 → 〃
3 民法改正案(選択的夫婦別姓の提案等) → 廃案
4 NPO法案 → 衆議院可決・参議院継続審議
5 介護法案 → 〃
6 議員証言法改正案 → 〃
● 会期制度は大いに疑問
いつも終盤国会になると会期制度が問題になります。
諸外国では、会期制度を設けない国が多いのですが、日本は国会には
「会期」という節目があり、会期内に両院を通過していないと原則的に
法案等は成立しません。先に衆院で可決されていても、参議院で継続審議の決議が
なされないと、衆議院の可決は無意味となり、次の国会で衆議院は再び審議し
直さねばならないのです(会期不継続の原則)。
この会期を巡ってのやり取りが国会のもっとも大きな関心事です。
会期内に法案を落とせるかどうかや、会期延長の有無や日程をどうするかが
各政党の議運・国体の腕の見せどころ。
結局国会は「会期」をめぐるスケジュール闘争の場に堕していると言えるでしょう。
重要法案なのに、土壇場でばたばたとあげられたり、会期の残り少なさを
駆け引きの材料にしたり、等の事が日常茶飯事に行われているのも、
会期制度が生み出している奇妙な現象なのです。
かつては、この会期制度の存続について国会で真剣な議論が行われたことも
ありましたが、今はその熱は雲散霧消しています。
今回、重要法案が参議院で廃案になったり、継続審議になったりしました。
例えば、議員証言法改正案のように衆議院で全会一致で参議院に
送り出していながら、一度も審議せずに継続審議扱いとなるなど、
参議院とくに自民党の身勝手さを痛感しました。
その身勝手の制度的裏付けが「会期」という仕組みなのです。
諸外国のように通年国会とか任期中一会期等の制度に
変更すべきです。
● いっこうに伝わらない「論点」
成立した法案のなかには、「日銀法改正案」「金融監督庁設置法案」
「外為法改正案」等の経済関連法案や、「健保法改正案」等の
医療保険関連法案等の重要なものがあります。
しかし、それら重要な法案がなぜ必要なのか、どこがポイントなのか、
各党の主張の差がどこにあるのか、法律が施行されたときの影響は、
などの重要な論点が、国会論議のなかからは国民にいっこうに伝わってこない。
国民に気付かれぬまま、次々に重要法案が可決されていくとしたら、
恐ろしいことです。
● 日本の民主主義は機能不全?
国会の重要な機能として、争点の明確化があげられる。そして、争点に対する各党
の対策の違いが見えてこそ、国民の選択肢が明らかになる。
しかし、国会論議によってそれらが浮彫りにされないとしたら、
日本の民主主義は機能不全に陥ることは間違いありません。
国民全体に広がる政治に対するしらけきったムードは、日本の民主主義が
刻一刻 危機的状況に近づきつつあることを示しているのではないでしょうか。
● 今国会での野党の特徴
以上述べたつまらない国会、国民にそっぽを向かれた国会の原因はいろいろありま
す。野党の国会対応の姿勢が変化して来ていることもその一因に挙げられます。 沖
縄特措法改正での、新進党、民主党の賛成に見られるように、各政党が、
与野党という立場にとらわれずに、法案に個別対応するようになったことや、
臓器移植法案やサッカーくじ法案に見られるような、各政党の党議拘束の縛りが
弱くなったことが、いままでと違った分かりづらさの原因です。
● 建設的野党か、「ゆ党」か
今までの抵抗野党、なんでも反対の野党の存在を何とか脱却しようと
模索した結果がこの対応になっているので、けっして悪いことではないと
思います。しかし、勧善懲悪思考に慣れてきた国民の眼から見れば、どうも
分かりづらい。その上、マスコミからは「よ党」と「や党」の中間の「ゆ党」
だなどと茶化されたりする。政党の側では、新しい現実的な取り組みがなぜ国民に
理解されないのかと、いらだちがつのります。
● 民主主義はまず選挙から
この点については、やはり、民主主義は基本的には「選挙が全て」と思い定めるべ
きではないか。少ない勢力、すなわち単独で法案を成立させ得ない野党は、
まず次の選挙で獲得議席を増やすことに全力を挙げるべきです。
議席拡大によって初めて、自分の政策を主体的に実現できると考えるべきです。
● 議席数を越えた高望みは危険
逆に、現有議席を前提に、与党との合従連衡で自らの政策を実現しようとすると、
どうしても妥協的になる。またいづれにしても主導権は与党に握られているの
だから、成功しても評価は、自分のところには来やしない。
議席数が少ないままでの手練手管ではどうしても無理がくる。
議運と国体の駆け引きのなかで、自ら埋没することになったらもともこも
ありません。
● 今すぐの政策実現は期待されていない。むしろ将来の政策提言こそ重要。
したがって次の選挙までの、野党の存在意義は現在の任期中での具体的な政策実現
にあるのではなく、将来的に政権奪取したら自らの手で実現すべき
「未来の政策」提言にあると考えるべきです。
「現在の政策実現」よりも「将来の政策提言」にあると言うべきでしょう。
● 争点を明らかにするためには、明確な拒否のほうが良い。
したがって、次の選挙までの野党の役割は、与党の提案に対する争点を明確化させ
ること、そして争点に対する与党とは明確に異なる選択肢=対案の提示にこそ、
重点を置くべきです。そして、争点の明確化のためには、むしろ中途半端な
寛容よりも明確な拒否のほうが、ベターである。
また、仮に与党提案に賛成することがあるとしても、それは、自らの政策理念
の物差しで許容できる限度内に収まっていなければならないということだと
思います。