国会通信 No.304
【地方分権論】
1997/6/30 (マンデーレポート第304回の要旨)
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【先週の出来事】
●23日 民主党栃木 第1回選挙対策委員会 開催。
要点:来年の参議院選挙で自民党の2議席独占を絶対阻止すること
を確認。
●26日 東京後援会の世話人会議 開催。
要点:7月16日に「ビジョン2020」の第1回を開催することを決定。
ゲストスピーカーは住友電工代表取締役 副社長 福富さん。
● 〃 プロジェクト2010 開催。
要点:船橋 洋一さんが講師。最近のアメリカ情勢についてお話を
聞きました。
● 28日 栃木県弁護士会主催の「情報公開シンポジウム」に参加。
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【地方分権論】
先日、民主党の地方分権調査会が、地方分権についての中間報告を提出しました。
今日は、その内容を簡単に紹介します。
● 分権改革の5原則
市民自治の高まりを受けて、地方の仕組みを根本から変えていくべき時期に来てい
る。その改革をする際の原則として、以下の5つを掲げた。
1 市民と地域の自己決定の原則
2 連帯と多様の原則
3 透明性と参加の原則
4 簡素と効率性の原則
5 柔軟性と応答の原則
● 民主党が構想する「新しい分権社会の実現」に向けて
■ 1 分権及び地域自治の担い手_
分権型社会における自治の担い手は、普通の市民である。
この普通の市民が自己決定し、地域で協力し、地域社会を連帯して支える
ことが、自治の基本でなくてはならない。
これらの市民を中心に、環境保護や介護サービスなどを行う市民組織、
それらをサポートする多様な団体・企業、地方行政組織、地方行政を含む
広域組織などが重層的なネットワークを形成しながら、新しい分権社会を
実現していくべきである。
■ 2 新しい地方自治体への多様な道_
1) 上からの一元的改革の否定
画一性を求める上からの一元的改革では、日本社会に骨太な逞しい
自治の形成を期待することはできない。
2) 画一化ではなく多様化を
分権の単位については、いわゆる「受け皿」論を採らない。
画一的な地方組織と単位を強制する制度改革では、新しい地方自治の道を
ゆがめるものとなる。
多様性の発現こそが新しい地方自治の目標=分権の原則とすべきである。
官僚的な画一主義に走らず、地域に選択の機会を委ね、地域の自己決定と
自己責任を拡大することを通じて試行錯誤の中から、新しい自治の単位を
創造的に編み出していく仕組みづくりを優先的に整備することが重要である。
3) 多角的な広域連合の形成を。
画一的な権限移譲の手法を断念し、その多様性を基本に段階的な事務権限の
移譲を進めようとする試みでもある「中核市制度」や現行の「広域連合制度」
などの積極的活用による多角的な自治体連合の形成を自由に展開させるべき
である。
このためにも、中核市への指定に関する「都道府県の議決」規定を廃止し、
自治体の自由な選択の道を開く必要がある。
また、連合制度については、現在進めている国と自治体との間の権限再配分
に関してその受け手となりうる条件をさらに緩和し、多様な広域連合の実験
を促進支援すべきである。
4) 道州制については慎重。
重要なことは、単なる規模論ではなく、市民から発信される多様なニーズに
自治体が柔軟に応答でる仕組みをどのように実現するかという点である。
いわゆる道州制についても、その将来的な展望としてはともかく、こうした
多様な実験と経験の積み重ねのうえに初めて現実的意義を持つものとなるで
あろう。
■3 国と自治体との対等・協力の関係の構築 _
1) 事務区分の実現
地方分権推進委員会が当初掲げた「原則;自治事務、例外;法定受託事務」の基本に
沿った事務区分を実現することが分権社会にふさわしい国と自治体の関係を構築
する前提条件である。_
2) 機関委任事務の廃止=対等・協力の関係の構築
地域に自己決定と自己責任を委ねる新しいシステムを確立するためには、
国と自治体との関係を現行の上下関係から水平的な対等・協力の関係に転換
しなくてはならない。中央集権システムの核を形成してきた機関委任事務の
廃止はもとより、各種の必置規制の廃止や国庫補助システムの大胆な見直し
を進める。
3) 一般ルールの設定と第三者機関の設置
これらの制度改革を前提に、国と自治体との間の対等な関係を保障する調整の
ための一般ルールの設定と紛争調整のための第3者機関の設置に取り組む。
また、第三者機関による審査を前置することを条件に、訴訟案件の列記主義に
よる規定を据えながら、現行行政訴訟法上の「機関訴訟」の道を広く認める
法制度の整備を進める必要がある。(但し、条例の違法審査は除く)
■4 地方税源の確保_
現行税配分の変更を行い、充実した自主財源の確保につとめる。
また、国と自治体との間の税源の再配分を断行すると同時に、
現行地方税制の自由化を進めて自治体の課税自主権を尊重するシステムに
転換する。
1) 課税自主権の発揮_
・現行の法定外普通税の許可制度を廃止し、自治体の創意が発揮できる仕組み
とする。
・法定外目的税の創設を自由化する。
・標準税率及び制限税率制度を廃止して国の地方税に関する関与を大幅に
制限する。
2) 所得税と住民税の統合=自主財源の拡充_
・財政自治の確立に向け、地方税を拡充する。
・現行所得税の比例部分を個人住民税に切り替え、税源の充実をはかる。
・現行消費税の国と自治体との配分比率を地方により厚くする。
3) 地方財政調整制度の整備_
自治体の自主財源の拡充は、国税の一定割合を交付税として配分する
現行地方交付税制度の財源規模を縮小する。そして同時に、交付団体の数を
減少させる。
これを受けて、現行の交付税の仕組みを以下のように改正する。
・ 地方交付税は、人口と土地面積を基準にした簡潔な交付方式へ切り替える。
・ 新たな財政調整制度の整備を行う。その場合、財政力が比較的高い自治体
からの水平的な財政調整資金の拠出の仕組を繰り込み、全国的な調整財源
とする。
■ 5 国庫補助負担金の改革
国庫補助金制度は、自治体に特定の仕事を指示する依存財源方式であること
から、基本的に自治のあり方になじまないものである。
これを以下のように改革する。
1) 自治事務に係る既存の補助金の廃止
自治事務に移行する事務については補助金を廃止し、極力、その財源の
地方財源への転換をはかる。
2) 自治体への経常的な補助金の一般財源化
既に自治体の経常的事務となっているもの、及び人件費補助に係るものに
ついてはその一般財源化を推進する。基本的に、一部の奨励的補助金を
除いて、交付金制度への統合をはかり、その一般財源化をはかるものと
する。
3) 奨励的補助金の原則廃止
奨励的補助金については、当面、サンセット方式を導入するなど
その縮小と削減を進めて、将来的には廃止を目指すべきである。
4) 建設事業に係る補助金の限定と透明化
・建設事業に係る補助金については、その重点化と効率化のために、
国が推進すべき事業に限定する。
・また、補助事業として行う公共事業については、その重要性や
必要性及び優先性について、国と自治体が協議し、地域の意見が
反映される仕組みを設定すべきである。
5) 補助金交付のあり方と手続きの簡素化と透明化
国庫補助負担金に関する事務手続は極めて煩雑である。
この簡素化・効率化を図るため補助金適正化法及び同法施行令の改正を
進める。そして透明度の高い補助金手続きとしての整備を行う。
具体的改善方策としては、以下の点の制度化を進める。
(1)補助金交付基準と手続きの大綱化と自治体の参加制度の導入
(2)補助金の包括化(カテゴリー補助金化、メニュー化)と手続きの簡素化
(3)自治体による補助事業に関する検査・監督権限の付与
(4)国による補助事業に関する勧告権限の留保_
■6 地方債制度の改革_
地方債は本来、自治体の自主財源であるが、現行の地方自治法では
「当分の間、自治大臣及び都道府県知事の許可」を必要とすると規定され、
依存財源にも等しい扱いを受けてきた。
現行の許可制度を見直し、自治体の自主性を尊重した制度に改革する。
■7 地方自治基本法の制定
現行の地方自治法の欠点をあげると、
・行政組織や事務区分に関する規定、地方議会に関する規定などが混在する
立法内容となっている。
・基本的に自治体の自主性に委ねるべきものについてまで細かな規定を設ける
画一的・規制的な一面を持っている。
このように現行の地方自治法は、画一的な地方行政体制を前提としている。
これを乗り越えるために、市民自治の理念に立った抜本的な地方自治基本法の
創設を考えるべきである。
地方自治基本法のポイントは以下の通りである。
(1) 支配人制度や市民総会方式の導入など、多様な形態の地方政府形成に関する
枠組み規定
(2) 自治事務に関する条例制定権に関する枠組み規定
(3) 事業別予算制度や複式簿記の導入の義務づけ、法定外普通税の創設など、
自治財政の確立と運営に関する一般的規定
(4) 事務配分に関する原則及び国に属する事務区分についての一般的規定
(5) 自治体が実施する法定受託事務等に関する国の関与に関する規定
(6) 対等・協力の原則、国の立法政策と基本条例及び個別条例との関係など、
国と自治体との間や都道府県と基礎自治体との間などのいわゆる政府間
関係に関する一般ルールの規定
(7) 特に、国と自治体との間の紛争に関する第三者機関(「国地方調整委員会」)
の設置に関する規定
■8 自治憲章の制定_
自治の土台である市民の自己決定と連帯活動を支援する諸規定に関する詳細は、
自治基本法に「自治憲章」に関する規定を受けて制定される。
自治憲章には、自治体のアイデンティティを確立するための基本的事項、
住民投票制度や直接請求制度等に関する事項などが規定される。