国会通信 No.312
【画龍天晴を欠く行革会議の結論】
1997/8/25 (マンデーレポート第312回の要旨)
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【画龍天晴を欠く行革会議の結論】
21日、政府の行政改革会議の結論が確定した。その内容は
1 中央省庁再編案 (22省庁体制を1府12省庁体制に)
2 内閣機能強化案 (内閣官房と内閣府の設置ほか)
3 垂直的減量(アウトソーシング)案
の3つからなるが、結論を言えば、「火だるま」になってもやるとの
橋本総理の言葉とはまったく裏腹の、画龍天晴を欠いた、夏の夜のはかない
花火のような内容である。とても評価するに値しない。
■1 まず、今回の行革の発端は、なんと言っても住専問題に象徴的に現れた
大蔵省と金融の癒着の問題である。従って、行革会議の結論が最低の合格点を
とるためには、この点についての回答が示されていなければならないはず。
しかし、これらの大蔵改革については完全にはしょってしまった。
だからとても合格点を与えるわけにはいかないのである。
一応大蔵省から金融の監督的な機能は「金融監督庁」として分離独立させては
いるが金融システムの企画立案は依然として大蔵省に残ししっかりと金融の
のど首を押さえているし、さらに金融監督庁自体、人事交流の名の下に簡単に
大蔵の出先機関とされそうである。
■2 また予算編成権を大蔵省の主計局が握っている実体、その結果政治のリーダーシ
ップが発揮されず、民治行政ではなく官治行政になっている等々、
これらの予算面での総理官邸の指導力強化をはかるための改正も、
評価の大きなポイントであった。しかし、この点も一応の案は示しつつ、
大蔵の影響力がそのまま残されるような構図が見え隠れしている。
(行革会議の確定案から)
内閣 → 内閣府 → 経済財政諮問会議
↓
↓(予算編成の指示)
↓
大蔵省
※内閣府は、首相を主任大臣とし、官房長官が事務を整理監督し、
調整事務に必要な複数の担当大臣を置く。内閣府のなかに
経済財政諮問会議を置く。
私には、この新たな仕組みは、大蔵省の実質的予算編成のトンネルシステムに
しか見えてこない。内閣府を置こうが、経済財政諮問会議を置こうが、
依然として予算編成の実務は大蔵省が担当し続けるのである。
■3 なぜいまさら「開発」と「保全」なのか。
公共事業の効率化をめざして御三家建設、農水、運輸をガラガラポン。
以下のように組み替える案に確定した。
国土開発省 =(建設省の道路、住宅、下水道)
+(運輸省の港湾、空港、鉄道)
国土保全省 =(農水省の土地改良、林野、食糧分野)
+(建設省の河川部門)
しかし、公共事業全体に対する見直しの議論が進んでいるにも
かかわらず、逆行するような「開発」的発想の官庁を新設する
とのセンスを疑ってしまう。また、そもそも「開発」と「保全」
の線引きは困難ではないか。
■ 4 郵政省関連では
○ 情報通信関連は二つに分かれて他省庁に吸収される。
1)通信放送行政は独立委員会を設置した上で総務省(仮称)の外局に。
2)情報通信産業の振興などは産業省(仮称)に。
この点については、情報革命に対応するためにはきわめて不十分であり、
また総務省が旧自治省としての規制的な体質を持つことに対する懸念や、
情報ユーザーの観点からの行政といった重要な視点が欠落し情報提供側の
業の振興の一面のみが強調されるのを心配してしまう。
郵政事業については
○ 簡易保険は民営化する。
○ 郵貯については「早期に民営化を実施する条件整備を行う」
(=当分民営化はしない。)。報奨金制度等は廃止する。
資金運用部への預託は廃止の方向とする。
○ 郵便事業については引き続き国営事業とする。
との結論がまとまった。
郵貯についての民営化についてはいわゆる百年戦争と呼ばれる
郵政対金融の論争の決着をつけたにとどまる。
もっと踏み込むべきである。
郵便事業については、国営の必要性も理解できるが、独立行政法人
等の積極的な検討を進めるべきであると考える。