国会通信 No.313
【小選挙区制型民主主義ゲームとは】
1997/9/2 (マンデーレポート第313回の要旨)
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【先週の出来事】
30日から2泊3日で民主党の夏期研修が行われ、私も参加した。
両代表は、与党か野党か明確でない従来の「建設的野党路線」を完全に放棄し、
「自民党と連携することは100%ありえない」(菅代表)と言明した。
私は内心「遅きに失した」と思った。1年前の選挙直後に、
そう言ってくれていたならここまでの支持率の低下はさけられたかもしれない。
「もう後の祭り」と言う気持ちもあるが、やむを得ない。前進するのみである。
ところでなぜこのような混乱が起こったのか。
その答えを示唆してくれたのが、研修会の最後を飾った名古屋大学教授
後 房雄氏の講演であった。講演の内容はまさに同感であり、私が常々感じて
いたことを、さらに「ゲームの論理」といった新たな論理でさらに明確にして
くれた。
以下、後理論を参考に、自分の考えを述べてみたい。
【小選挙区制型民主主義ゲームとは】
1 選挙制度を変革することの爆発的な意味。
政治改革は、単なる金の問題や、腐敗、汚職防止の問題ではない。
日本の政治システムをどうするかの問題であり、政治のリーダーシップ
をどう発揮するかや、政権交代の選択肢を現実化するかどうかが
中心論点である。その方法論、あるいは戦略論としてのインパクトを
見れば、選挙制度を中選挙制度から小選挙区中心型の選挙にしたことは
大変おおきなインパクトを与えたことは間違いない。
最近の政権交代が行われた諸外国はみな小選挙制中心の制度である。
96年4月 イタリア
97年5月 イギリス
〃 6月 フランス
2 比例代表制型民主主義ゲームと小選挙区制型民主主義ゲームでは
戦い方の原理が異なっている。
比例では、政党の持つ理念や政策の体系性が全面にでる。さらに
民意の「鏡のような反映」が期待される結果、不可視の「民意」
を可視的にする整理された政策体系が強く求められることになる。
さらに選挙の意味も個別委任と言うより次の選挙までの包括的な
委任の性格が強い。さらに多党分立の傾向があるため、選挙後の
連立が一般化し、有権者の手の届かないところで政権参加政党の
組み合わせが行われ、場合によっては組み替えが行われる。
これに対し、小選挙区型では、様相が異なる。
有権者が、直接の投票によって多数派を選択し、多数派を形成することが
重要である。「民意」は具体的な人(=首相=党首)を選ぶこととして
理解される。そして、政党は、任期中に実現可能な信頼性のある
政策パッケージ(=政権構想)を有権者に訴えることが重要である。
選挙後について言えば、選挙で決定された与党―野党の構図は
厳格な拘束力を持つ。すなわち与党は政策の実現に全責任を持ち、
野党は次の選挙における多数派の奪回のための戦略的活動に全力を
あげる。これが望ましい与野党の役割分担である。
さらに与野党の枠組みは有権者の選択である以上、これを選挙の手続きなしで
簡単に変えることは許されない。また、選挙後の与党へのくら替え、あるいは
与党からの引き抜き工作、あるいは選挙前に自民党と対決するようなことを
言いながら、選挙後ころっと変わって自民党と手を組む、などのことは
許されない。
3 政治に携わるプレーヤーたち(=政党、政治家、有権者、マスコミ)が、
制度の変更で戦いのルールが変わったことに気づいていない。
これが問題である。
4 野党は、次の選挙後のリーダー(=首相候補者)と任期内に達成できる政策
を明示し、最大限の共通項を探り調整し、与党に選挙で勝つことに全力を挙げ
るべきである。
5 小選挙区制度の中で新・一党優位性が確立するとの悲観的な見方も強い。
しかし、そうとばかりは限らない。
6 政権交代を実現するための最大の障害の一つには「自民党プロブレム」とも
言うべき問題がある。すなわち自民党は徹底した人気取り政党であり、政策の
論理的な整合性は最初から無視している。したがって徹底した自由競争の
新保守主義政策に純化することがない。この論理的な雑居性を分解すること
これが私の常に変わらず追求してきた政治的な課題である。
7 保保連合の動きがまさに自民党に対し、新保守主義の純化を
迫る動きであるなら、私もむしろそれは歓迎したい。
ちなみに、私の立場は規制緩和等の自由経済政策を
進めつつも、ブレア流に参加の平等を確保する等、なんらかの
修正を加える必要があると考えている。
両者が、国民に有効な選択肢を提示できるような状況になるのが
望ましいと考える。