国会通信 No.314
【米の臨界前 核実験に反対する。】
1997/9/8 (マンデーレポート第314回の要旨)
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【先週の出来事】
9月4日 党本部の幹事会に出席。
訪米予定の鳩山代表に対し、9月中旬に予定されている米国の第2回の
臨界前核実験に反対すべきである旨、進言した。
また、民主党としても核廃絶に向けた明確な取り組みや新たな提案を
しっかりと行って行くべきであり、そのための党内の機関を新設すべき旨
提案した。
【米の臨界前 核実験に反対する。】
1 臨界前核実験とはなにか?
● まず「臨界」とはなにか?
核物質を一カ所に一定量以上集めると、核分裂反応が連鎖的に起き、
膨大なエネルギーが発生する。このエネルギーを一挙に解放するのが
核爆発である。そしてこの核分裂の連鎖反応が始まる直前の段階を
「臨界」と呼ぶのである。
● 臨界前核実験(=未臨界核実験)とは核兵器用プルトニウムを実際
に装着して高性能火薬を爆発させ、その衝撃波をプルトニウムに当て、
核分裂の巨大な連鎖反応が起きる前に実験を停止、核物質のさまざまな
反応や動きを調べる。すなわち核爆発を起こす直前の状態を再現するも
のである。コンピューターを利用したシミュレーションと合わせて、
核戦力を維持するための重要な手段であるとされている。臨界前
核実験では、核爆発のプロセスを臨界直前の状態で止めるものであるが、
手順そのものは、基本的に核爆発実験と変わらない。
2 7月2日の 第1回臨界前核実験
● 米国は、本年7月2日米国が現在保有する核兵器の性能を維持
するためとして、臨界前実験と呼ばれる核物質実験をネバダ州の
地下核実験場で初めて実施した。
● 米政府は「核物質は使うが物理実験であり核爆発は伴わない。
したがって包括的核実験禁止条約(CTBT)の規制の対象外」
というのが米国の言い分である。
3 第2回目の予告
7月時点で米当局は、この臨界前核実験を全部で5回行う旨
予告していた。今回その第2回目の予定が米当局者から明らかにされた。
米エネルギー省当局者には8月25日、臨界前核実験を9月
中旬にネバダ州の核実験場で実施すると述べた。
4 臨界前だから「核実験」ではないという米国の理屈はおかしい。
● 爆発を伴わないのでCTBT(包括的核実験禁止条約)に
違反しない、というのが米政府の言い分である。確かにCTBTが
禁じているのは「核兵器の爆発実験、その他の核爆発」である。
しかし、核爆発そのものは伴わないが、手順はいままで行われてきた
核実験と全く変わらず、「臨界前」の言葉が示す通り、核分裂反応を
途中で中止させるだけであって核実験であることに変わりはない。
● 米国政府は、いままで包括的核実験禁止条約(CTBT)を先頭に
立って推進してきた。そのアメリカが、核廃絶の意欲よりも、核の
抑止力維持の強固な意思を示すことこそ、CTBTの趣旨にまっこうから
反対する行動である。このような大国のエゴを認めるわけには行かない。
● まず、この米国の態度はCTBTの発効をいっそう危うくさせるで
あろう。条約づくりの交渉過程では、核爆発を伴う実験だけを禁止する
ことや、核廃絶の期限を明記しないなど、の問題点が見えていた。
NPTは非核国の核開発を禁じながら、現在の5常任理事国=核保有国に
対しては「誠実な核軍縮交渉」を求めるだけの不平等性を持っている。
それなのに非核国が条約延長を認めたのは、保有国が核軍縮に努力すると、
あらためて約束したからだ(CTBT条約の採択に際しては「核保有国が
核軍縮を誠意をもって実行する」との一文が加えられた。)。
すなわち非核国=保有の永久的禁止、有核国=核軍縮義務のバランスの
うえで成り立っているのがCTBT体制である。米国の態度は、この
核保有国に対して向けられた削減努力を真っ向から無視する態度であり、
最終的にはCTBT体制全体を崩壊させる危険をはらんでいる。
CTBTはこれまでに日本を含め41カ国が調印した。
残るはインド、パキスタン、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)である。
米国の今回の実験は、核保有国の核軍縮への努力がまやかしであるから
CTBTには調印しないと言い続けてきたインド等の言い分を全く
裏付けることになってしまう。
● さらに、この米国の態度は、核保有の潜在的な欲求を持っている
開発途上国を 著しく刺激し、新たな核開発競争を激化させかねない。
● 核廃絶の道は遠く厳しい。これからさらに核分裂物質生産禁止
(カット・オフ)や、核兵器使用禁止、保有禁止へと、二の矢、
三の矢を放ちつづけて行かねばならない。
さらに、わが国の外交の基本に「核の抑止力に対する挑戦」を
置くべきであると考えたとき、今回の米国の臨界前核実験については
明確な反対の姿勢で臨むべきである。