国会通信 No.317


 【日米安保ガイドラインの問題点】

1997/9/29 (マンデーレポート第317回の要旨)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 【日米安保ガイドラインの問題点】 1 9月23日(火)小渕恵三外務大臣、久間章生防衛庁長官、   マデレーン・オルブライト国務長官及びウィリアム・コーエン国防長官は   日米安全保障協議委員会(SCC)を開催し、昨年来検討をつづけてきた   「日米防衛協力のための新たな指針」(=「指針」)について合意した。 2  これは、1978年11月27日の日米安全保障協議委員会(SCC)で了承   された「日米防衛協力の指針」を19年ぶりに改めたものであり、   昨年4月に橋本総理・クリントン大統領が、「日米双方の緊密な協力関係を   増進するため」に78年の指針を見直すことで合意したことに基づく作業の   結果でもある。 3 指針は、以下の3分野を中心に検討を行ってきた。         (1) 平素から行う協力        (2) 日本に対する武力攻撃に際しての対処行動     (3) 日本周辺地域における事態(「周辺事態」)で        日本の平和と安全に重要な影響を与える場合    特に新しく入った「周辺事態」の場合に多くの問題点がある。 4 指針はその「基本的な前提及び考え方」の部分で以下のことを   明らかにしている。    1 (日米同盟関係の基本的な枠組は変更しない) 2  日本のすべての行為は、日本の憲法上の制約の範囲内において、      専守防衛、非核三原則等の日本の基本的な方針に従って行われる。    3 (国際法の基本原則並びに国連憲章を関連する国際約束に合致すること)    4  指針及びその下で行われる取組みは、いずれの政府にも、立法上、予算上 又は行政上の措置をとることを義務づけるものではない。しかしながら、 日米協力のための効果的な態勢の構築が指針及びその下で行われる 取組みの目標であることから、日米両国政府が、各々の判断に従い、 このような努力の結果を各々の具体的な政策や措置に適切な形で反映 することが期待される。日本のすべての行為は、その時々において 適用のある国内法令に従う。」   2が明記されているのは当然である。しかし、4は問題である。   いずれの政府にも立法上の義務づけをしていないといいながら、   指針であげている具体的な協力項目例の半分近くが新規立法事項で   あるということである。大統領制のアメリカと議院内閣制の日本では   基本的な違いがある。国外的な立法努力の約束は、政府と与党   が一体化されている議院内閣制では、約束の意味がずいぶんと重い。 シビリアンコントロールの意味は、民主主義的な統制が軍隊に対して   行われているかどうかである。国会審議を、外交交渉が先付けで拘束   するような結果は、民主主義的統制からいって多いに問題である。 5 「周辺事態」の中味がはなはだ不明確である。   指針は、「周辺事態」のことを以下のように規定するのみである。 「周辺事態は、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態である。  周辺事態の概念は、地理的なものではなく、事態の性質に着目した  ものである。」  「平和と安全に重要な影響を与える事態」であって地理的概念ですら  ないとすればこの事態の解釈についての歯止めはなんにもないのと  同然である。  台湾有事を明記してほしくない中国の立場を配慮して玉虫色にした  結果であろうが、しかし、その結果歯止めが全くなくなってしまった。 6 私は、周辺事態の概念は使うべきではないと考える。   自国に対する攻撃と同視しうるかどうかで決めるべきであり、   3の(2)のなかで解決すべき問題であると考える。