国会通信 No.319
【菅代表の代表質問2】
1997/10/13 (マンデーレポート第319回の要旨)
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【菅代表の代表質問2】
先週に引き続き、10月1日に行われた民主党菅代表の代表質問の重要な部分を
紹介します。
◆財政構造改革と公共事業の見直し
1 補正予算についてのしばり
政府が今国会に提出した財政構造改革法案は、当初予算について一般歳出の各分野別
のキャップ(上限)を定めるというだけで、補正予算には何らしばりがない。枠外
であるということで、従来通り補正予算が多額の金額にのぼることになると、
財政構造改革もしり抜けになる。これをそのまま放置してよいのか。
補正予算についても法律の規制のしばりをかけるべきである。
2 公共事業についての「時のアセスメント」提案
財政再建のためには、工事単価の見直しや一般競争入札の拡大などによる公共事業の
コストダウンと同時に、「時のアセスメント」という観点から、時代に合わなく
なった無駄な公共事業を見直していくシステムを作る ことが不可欠である。
自民党の公共事業に対する考え方は、五年計画を七年に引き延ばすことをするだけで、
一度決めた事業の中止や撤回を含む根本的な見直しは、あまりやろうとしていない
ように見える。
また、一度開始した公共事業を途中で中止する場合は、それまでにかかった補助金の
返還を求められるから自治体は中止できないのだということが従来から指摘されて
きた。自治体の判断で事業を中止する場合は過去の補助金を返還しなくても
いいように改めるべきである。
◆高齢化社会に備えた社会保障制度改革
現在、自民党は、医療や年金の保険料について、高齢化が進むのだから当然である
として、負担増を納得させようとしている。もっと知恵を出し、医療や年金の仕組み・
構造を変えることによって、より活力のある高齢化社会をつくることが可能であると
考える。
1) 薬剤費負担が高すぎる理由
医療費の伸びを見ると、一つは薬の負担が30%と諸外国に比べて極めて大きい。
個々の薬価は年々引き下げられるのに、薬剤費全体は全く変化がないのはなぜか。
それは、従来の薬と同じような薬効の新薬が毎年認可され、同じような薬効を持つ
古い薬よりも高く薬価が設定されることに問題の根がある。
本当の意味で画期的な薬が開発費用などを勘案して高い薬価に設定されるのは理解
できある。しかし、従来ある薬と薬効の面で大差のないものまで、新薬であるという
だけで高い薬価がつくのは、厚生省の指導のもとに中医協がねじまげられていると
か言えないのではないか。
医療費の約三割、約八兆円を占める薬剤費、特に、新薬が一律に従来の薬よりも
高い薬価がつく現在の薬価制度は、根本的に改めるべきである。
2) 社会的入院の問題
本来ならば介護で十分対応ができるお年寄りを、病院に入れて治療をすると
いうことが医療費の高騰を招いている。これを避けるためにも、介護保険法案
の早期成立をはかり、2000年のスタートに向けた準備をすべきである。
3) 年金制度の問題点と「リバースモーゲージ」の提案
年金制度は、現在の制度のままでは現役世代の特に若年層は、自分たちの払った保険
料や税金の中から年金に振り向けられる費用の方が、将来自分たちが受け取る年金
よりも多くなるという逆転現象が起きると指 摘されている。
老後の生活安定の一つの考え方としてリバース・モーゲージの検討が必要である。
これは、ちょうど住宅ローンの逆で、持ち家を担保に老後の資金の融資を受ける
制度である。一定の契約期間が過ぎても生きている間は、その住宅は使い続ける
ことができる。この制度を創設し老後の生活安定の助けにすべきである。
4) 高齢者のための街づくり
活力ある高齢化社会を作っていくには、元気のいい高齢者が社会的に活躍しやすい
街づくりが重要である。都会では通勤時間が長く、職場と生活地域が離れているため
に、現状では高齢者の働き場所が増えてこない。
この解決策として高齢者のための職住近接の街作りを進めるべきである。
これが実現すれば、週に何回か働くというようなフレキシブルな雇用の形態も生まれ、
高齢者の雇用や市民活動など社会参加の機会が広がっていく。
さらに、公的住宅を中心に高齢者の住みやすいバリアフリーの賃貸住宅の建設を、
高齢化社会のインフラ整備として促進していく必要がある。
◆教育改革
1) 内申書の廃止
先日、神戸で中学生が小学生を殺害するという大変残念な事件が発生した。
この事件の背景には、よりいい高校へ、よりいい大学へという学歴偏重の
サラリーマン社会の価値観が、子供の世界まで圧力としてのしかかって
いることがある。成績の善し悪しという一つの価値観ですべてが決まる
システムや構造に子供が押し込めらているのではないか。こうした教育の
現状を変えていくには、まず中学における内申書の廃止を検討することが
必要だと考える。
2) 高校全入制の提案
少子化の現状においては、卒業試験はあっても、入学試験はなしで
いずれかの高校にはすべて入学できるという「全入制」をとっていっては
どうかと考える。
◆日米防衛協力・新ガイドライン
1) 超法規的な行動への歯止め
何らのガイドラインのない状況では、その場になって超法規的な行動がとられていく
可能性があることを考えると、事前に一定のガイドラインを作成しておくことは重要
である。
しかしもちろん、ガイドラインに盛り込まれるものは、現行憲法の専守防衛や
非核三原則などの原則が守られたものでなければならないのは当然である。
個々の問題についてはこの国会で十分に議論をし、検討し、そのうえで、
何らかの形で国会承認という手続きが必要と考える。
2) 自主判断の原則
民主党が重視しているのは、あらゆる周辺事態に対し、このガイドラインに基づく
行動がとられるのではなく、あくまでその有事の内容によって、米軍の行動を支援する、
あるいは支援しないことの自主的な判断ができるということである。
そのための仕組みとして、現在の日米安保条約に基づく事前協議に加えて、
このガイドラインに沿っての行動をとるかどうか話し合う日米間の協議機関を
あらかじめ決めておく必要があると考える。
一部の党が批判しているような自動参戦装置にこのガイドラインがなることは
あってはならない。あくまでもわが国の自主的な判断によって、支援を決める
という「自主判断の原則」が守られなければならないと考える。
◆国連改革・対人地雷全廃
民主党も国連改革、国連における武器輸出の制限、核廃絶の推進を目指すと
いう姿勢を鮮明にしたうえで、常任理事国を目指すことは、一つの方向で
あると考えている。しかし、今回の小渕外務大臣の発言は、単に常任理事国
になりたいということであって、常任理事国になることで何を実現したいの
かが見えていない。また、対人地雷の全廃について、わが国が積極的に国
連の場で主張し、その実現に努力すべきと考える。
◆二酸化炭素排出量削減の数値目標
次に、地球温暖化問題に関する京都会議(COP3)を前に、二酸化炭
素排出量削減の数値目標を明確にすべきである。政府は、いまだに米国政府に
気兼ねして、数値目標についてはあいまいな態度をとっている。
わが国は、温暖化による被害を防ぐ意味から、米国を除く他の国々と歩調を合
わせてこの問題に取り組む必要があると考える。CO2の削減計画について、
わが党としては、2010年までに先進国では12%以上削減すべきであり、
わが国としては20%削減を目標として努力すべきと考える。
◆ 一年の反省と新たな決意
最後に、民主党は、9月28日に結党一年を迎えました。この間に、数
々の議員立法を国会に提出し、その実現に向けて与党との政策協議も続け
てきました。しかし、与党の皆さんは結局、これらの法案の成立に協力す
るという態度を示されませんでした。国民の目からはそうした与党と協議
をすること自体が、ある意味で政権に擦り寄っているというように受け止
められたことも大きな反省材料になっています。私たち民主党は今後、選
挙によって政権交代を目指す「健全で完全な野党」のスタンスで臨んでい
きたい。来る参議院選挙、さらに次の衆議院選挙で政権交代を実現し、
「自由で安心できる社会」を目指して頑張りたいと考えています。