国会通信 No.320


 【地球温暖化問題】

1997/10/20 (マンデーレポート第320回の要旨)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 【先週の出来事】 15日 霞ヶ関HP実態調査の打ち合わせ。(党本部)  16日 幹事会に出席。     上記実態調査の案文の了承を受けた。     コミュニケーション総局打ち合わせ。 18日 地球温暖化防止 京都会議に向けての署名活動。(地元)     栃木県司法書士会で講演。(「行政改革の本質」) 19日 雀の宮学童リーグ戦開幕式で挨拶。     ツインクリンク茂木で低燃費レースを見学。     ディスクゴルフ栃木県大会の表彰式に列席。   【地球温暖化問題】 1 地球温暖化問題とはなにか? ● 地球温暖化問題とは、温室効果ガスが大気中に過剰に放出・蓄積されることに   よって、大気中の温室効果ガスの濃度バランスが崩れ、地球上の気温が上昇する   現象のことです。 ● 温室効果ガスの代表は、二酸化炭素です。そのほかにメタン、亜酸化窒素等が   あります。 ● 地球温暖化問題を検討するIPCCの試算によると、今のまま行けば、21世紀末 の地球全体の平均気温は、約2℃(約1℃〜約3.5℃)上昇し、海水面は約50p  (約15p〜約95p)高くなると言われています。 ※IPCCとは、Intergoverment Panel on Climate Changeの略で、 「気候変動に関する政府間パネル」のことである。 2 COP3(京都会議)とは何のことか? ● COP3とはThe third session of the Conference of the Parties   のことで、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの2000年   以降の数量目的を決定するために開催される国際会議を指しています。   今年12月に京都で開催されることになっており、議長国としての   日本は会議のまとめ役として重大な責任を負っています。 ● 2000年までについては、ブラジルのリオデジャネイロに   おいて合意された気候変動枠組条約がすでに存在しています。   しかしこれは1990年レベルの安定化といった消極的なものであり、   しかも努力目標であって法的拘束力を有していません。これに対し、   COP3では、法的拘束力を有する目標の合意を目指しています。 3 日本のCO2排出量は世界第4位です。 ● 世界の二酸化炭素排出量の中で、第1位のアメリカの排出量は   約25%、第2位の中国は約13%、第3位の旧ソ連は約11%、   そして日本は第4位の約6%(5.7%)となっています。(1994年度) (参考)世界の二酸化炭素排出量(1994年)             %        アメリカ      25.0        中国        12.6  旧ソ連       11.0  日本         5.7  ドイツ        4.2  イギリス       2.6  カナダ        2.3  イタリア       1.9  フランス       1.9  オーストラリア    1.4 その他OECD国    9.6 その他非OECD国  21 ● 一人当たりのCO2排出量   日本人は、年間一人当たり3.0トンの二酸化炭素を   大気中に放出している。これは世界では第6位。 ● GDPとCO2の関連   GDPで二酸化炭素の排出量を割ってみると、日本は   石油換算で128トンと先進国中では第6位。ダントツの   第1位は中国の1351トンである。 3 議長国としての日本の提案は?   10月6日に日本は、以下の内容の提案をまとめた。  ◆ 基準削減率として5%とする。   (基準年は1990年、目標年は2008年〜2012年)。  ◆ 各国の目標は、GDP当たりの排出量、一人当たりの    排出量及び人口増加率により差異化される。    具体的に言うと (a)1990年のGDP当たりの排出量(A)が、 1990年の附属書I国全体のGDP当たりの排出量(B)より低い 国:  削減率(%)=5% ×(A/B)   (b)1990年の一人当たりの排出量(C)が、1990年の附属書I国全体の 一人当たりの排出量(D)より低い国: 削減率(%)=5% ×(C/D)   (c)1990年から1995年までの人口増加率が同時期の附属書I国全体の 人口増加率を上回る国については、そのより高い人口増加率が各国の 目標を決定する際に考慮されなければならない。 4 日本政府の提案に対する私の考え方 (1) まず、なぜ5%なのかの根拠が明らかでない。 (2) また上記の(a)も(b)も、数式の意味するところは、 全体の国と比較して、エネルギー効率が良い国であったり、一人 当たりのエネルギー消費が少ない国は、その分だけエネルギー 削減率を減らして良い、との考え方である。極端な言い方をすれば、 (a)は先進国向けの5% の緩和方式、(b)は途上国向けの5%の緩和方式である。  しかし、これは二酸化炭素排出の量的観点が欠落していることが まず問題である。地球への負荷の側面から言えば、 個々の国のエネルギー効率の良し悪しよりも、結果として 地球にどれだけの二酸化炭素を排出しているかのほうが、 より重要である。巧妙ではあるが、哲学はまったく欠如している。  たとえば、主要国のGDPあたりの1次エネルギー消費量は、 百万ドルあたりで見てみると、OECD国の平均が石油換算 289トンで非OECD国の平均は689トンである。 先進国は(a)方式を使えば5%の削減率をかなり低く 緩和することができる。  また一人当たりの二酸化炭素排出量を見ると、 OECD国平均が3.4トン、非OECD国が0.7トンであるから (b)方式を使えば、途上国は5%をかなり緩和することができる。  日本はといえば、先進国のなかでもかなり優等生であるから、 GDP当たりのエネルギー消費量でも先進国のトップクラスであり、 一人当たりの二酸化炭素排出量でもアメリカの2分の1と優秀である。 (a)でも(b)でも、それなりに5%を大幅に緩和することができる。  このような「お手盛り提案」ではとてもこの方面での リーダーシップをとることなどできそうもない。