国会通信 No.322


 【暗雲漂う京都会議】

1997/11/4 (マンデーレポート第322回の要旨)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 【先週の出来事】  10/30 自治労県本部定期大会に民主党栃木代表として出席   /31 党本部 幹事会に出席    /31 プロジェクト2010 「複雑系としての経済」      講師 西山賢一 埼玉大学教授  11/1  エコリレーに参加。宇都宮から西那須野町まで自転車で走破。   /3  民主党群馬結成パーティーに出席。    【暗雲漂う京都会議】 1  12/1から10日間の日程で開催される地球温暖化防止のための京都会議の成功を   願って、全国6コースのエコリレー(自転車リレー)が始まっている。   11/1 栃木県が起点の中部山岳コースがスターとした。   この日は栃木県庁を午前9時に出発、宇都宮市、河内町、氏家町、矢板市、   西那須野町の各役場を自転車で訪問、各自治体の温暖化防止に協力する旨の署名を   頂きながら走った。   私は栃木県の実行委員会の副委員長を務めている。   かねてこの日のためにと減量に取り組んできたが、何とか100キロ以下に   落とすことに成功、宇都宮大学の環境問題サークル「エコキッヅ」の皆さんや   市民のボランティアの参加者とともに、愛用のマウンテンバイクに乗って、   宇都宮から初日の目的地である西那須野町まで完走した。 2 ちょうどこのエコリレーと並行するようにドイツのボンで   「温暖化防止に向けた最終準備会議」(AGBM8)が開催されていた。   温室効果ガスの削減の具体的な数値目標や期限を定める議定書案をまとめる   というのがこの準備会議の最大の目標であることは言うをまたない。   そして31日は最終日であったが、参加国の合意を得るまでには至らず、   最終会合を京都会議の開催前日に付け加えて、幕を引かざるを得なかった。  3  日本側は外務省、環境庁をはじめとする大きな代表団を送ったが、成果はほとんど   得られなかったようである。   日本案は前々回のマンデーレポートで指摘した通り「5%」という表面上の   削減目標を、柔軟性と差異性の2点から大幅に緩和できるようになっており、   実際は限りなく削減目標を低くすることができる案である。   これは、90年の安定化=0%を主張したアメリカの露払いの役割をしている   ようなものである。   これでは、議長国としてのリーダーシップを発揮することなどはじめから   困難である。 4  アメリカ、EU、日本、G77と中国、そしてAOSIS(小島しょ国連合)の   主張が膠着状態になっており京都会議の成功は非常に困難な印象である。 5 いくつかの抜け穴   前出の気候フォーラムのAGBM8通信には、各国代表の提案中に多くの   「柔軟性条項」(抜け穴)が潜んでいることが指摘されている。 1)HFCs、PFCs、SF6 (※) の除外   日本や、EUの案にはこれらが含まれていない。これらのガスの温室効果を   考慮に入れなければ温暖化防止の効果は著しく低くなる。   たとえばEUの15%という高い数値目標も、これらが除かれていることで、   実質はわずか5%程度にしぼんでしまう。 ※ HFCs=ハイドロ・フルオロ・カーボン      PFCs=パー・フルオロ・カーボン       SF6 =六フッ化硫黄      これらのフロン代替物質は強力な温室効果を発揮する。   自動車のエアコンから漏れ出たHFCの量は日本では火力発電所10基分、   西ヨーロッパでは5基分のCO2に相当すると言われている(95年)。 2)熱い空気の取引   排出量の少ない国の空き分をかって埋め合わせをするやり方。 3)国際間の航空機や船舶用の燃料の除外   これらの抜け穴に十分注意する必要がある。 6  政府与党代表団の不可思議な対応   AGBM8に対して与党からは愛知和男、鈴木恒男(自民)、堂本暁子(さ)、   辻元清美(社)、の5名の議員団が派遣されていた。   各人とも自社さの環境問題の専門家であるが、それゆえに日本案について   批判されると対応に苦慮していたようである。   連絡がなかったとか、意思決定過程が透明ではなかったとか、   苦しい説明をしていたようであるが、結果として日本の政治的意思決定は   一体誰がしているのかといった基本的な疑問をもたれてしまったようである。   日本の意思決定は、議員ではなく結局官僚が行っているのかといった印象は   わが国にとって好ましいものではない。そして日本の政治全体に対する信用を   失うことにつながっていく。逃げの対応はかえって信頼を失わせる。