国会通信 No.329


 【市場は正直】

1997/12/22 (マンデーレポート第329回の要旨)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆   (順延のお詫び:昨日の22日は、朝8時から民主党栃木の選対会議が開催された    ためマンデーレポートは24日に順延されました。    そのため原人日記の発信も本日になったことをお詫びします。) ■ 1 株価一万五千円割れ   ●週明け22日の東京株式は、前週比515円安の終値1万4799円と    二年五ヶ月ぶりの安値で引けた。また大阪株式も、1万4591円と    年初来安値を更新、こちらは11年9ヶ月ぶりに1万五千円を割り込んだ。   ●市場は正直である。十兆円の交付国債発行による金融対策や、2兆円の    特別減税にしても、市場の不安感を全く払拭できなかったことを明瞭に    示している。 ■ 2 10兆円の金融対策    この構想を示されたときよほど橋本総理はうれしかったのだろう、    こんなすばらしい計画はないとばかりに絶賛したようである。   ●預金保険機構に上限10兆円の国債を交付する。この国債は繰り延べ債という    種類で現金を交付する代わりに後日要求に応じて支払いをするものであり、    建設国債や赤字公債のような歳入債には該当しない、したがって財政構造改革法    の対象外になる。だから財政改革のかけ声とは矛盾しない。    これが橋本総理が小躍りして喜んだ理由である。   ●一言で言って姑息である。    財政改革を火だるまになってやるとのポーズをとりながら、    必死になってその抜け道を探す、なんと矛盾した態度なのだろう。     「改革」ポーズを取りながらの、しり抜け探し、これこそ橋本政権の本質である。    全てに中途半端。そして本音と建て前の欺瞞 の連続、このような繰り返しの中で    日本は可能性を急速に失いつつある。    市場はこんな橋本政権の本質をしっかり見抜いているのである。   ●しかも、政府の金融対策は、前回も指摘した通り、情報開示による実態把握や    原因追究にむしろ障害となる。そして、経営責任や行政の監督責任という    病巣の隠蔽につながる。    この致命的な欠陥を海外の投資家は的確につかんでいるのである。 ■3 2兆円の特別減税    君子豹変。    クリントン大統領からの親書で、突然橋本総理はコペルニクス的な展開をした。    絶対にやらないと言ってきた所得税減税をいとも簡単に認めてしまった。   ●国会終了直後に発表するのは卑怯である。   ●財政構造改革法は「当初予算」を縛っている。   これを逆用して、今年度の「補正予算」で赤字国債を発行、これを財源として    来年度の2兆円減税をすることにした。姑息なすき間のピンポイント爆撃である。   ●財政構造改革法が「補正予算」を落としたことについて、これが「しり抜け」に    使われることの危険性を民主党は早くから指摘していた。まさに予測通りだった。    橋本総理は、改革者という虚構の仮面をかぶるのはもう止めたらどうか。    2兆円はやらないのに越したことはないと思う。しかし中途半端な額である。    こんな金額で景気刺激の効果があると信じている現状認識の甘さ。   ●2兆円の金額に、失敗を恐れて対策を小出しにしかできない官僚政治の保身    そのものを感じる。兵力の分散投入は、戦術としてもっとも下策である。   ■3 予算狂騒劇が、再び始まった。   ●政府は20日77兆6691億円の98年度予算、    1兆1431億円の97年度補正予算、    36兆6379億円の98年度財政投融資計画の各大蔵原案を決定、各省に内示    した。   ●赤字国債発行減額の政府目標は1兆2500億円だったが、    発行減額は約3400億円にとどまり、目標にははるかに届かなかった。    2003年度に赤字国債発行をゼロにするとの目標は初年度から    つまづいたかたちである。   ●「なんとか折衝」といわれる茶番劇が再び今年も始まる。    大蔵省にひざまづきながら、陳情をくり返す各省の予算担当者、    大蔵省をはじめとする各省にふれふす地方のお役人、ごったがえす議員会館と    自民党本部。    どこにも橋本総理の言う六大改革の気配は感じられない。   ●大詰めと、マスコミが騒ぎ立てる「大臣折衝」     最後の大臣折衝の時に、大蔵大臣が各省大臣にわたす「おみやげ」は    最初からほぼ決まっているのだ。    真剣そうに対峙する大蔵大臣と、各省大臣は、じつは霞ヶ関の官僚という    黒子に操られている人形でしかない。    それを知りながら、最後の大臣折衝に望む大臣を拍手で送り出す族議員たち。    結果がはじめから見えている芝居を、木偶(デク)のようになってくり返す    議員たち。    予算の時期、唾棄すべき永田町と霞ヶ関は、その姿をさらに露骨に明らかにする。    この国は本当にいつになったら変わるのだろうか。