国会通信 No.340
【ネットの財政赤字は?】
1998/3/9 (マンデーレポート第340回の要旨)
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● 先週の出来事
7日 連合栃木主催の 栃木県庁前広場で行われた 春期生活闘争に参加。
3000人の参加者の前で 7月の参議院選挙に出馬する決意を述べた。
その後 宇都宮市内 二荒山神社前の街頭演説に参加し、
現在の不況の原因の多くが 大蔵省が意図的に行って来た
「財政状況は世界で最悪」との誤ったキャンペーンによる
心理不況の面が強いことを訴えた。
● 日本の財政状況は 先進国の中では もっとも良い。
この真実の姿を 大蔵省は国民に伝えない。
この意図的な 情報操作こそ 問題なのである。
橋本総理は、「財政構造改革」路線を 事実上撤回しているにもかかわらず
それを明言しない。周辺の野中幹事長代理 や 山崎政調会長が しきりと
アドバルーンを上げているが 予算成立までは 政策転換を明言しない方が
よいと判断している。
なぜなら これを 明言した瞬間 自らの提案している予算が誤ったものである
と自認することになるからである。
報道によれば 昨日 山崎政調会長は 10兆円規模の景気対策を
予算成立後補正予算として提案したいと 述べたそうである。
かりに このような提案ができる 財政状況であるとしたら
なぜそれを 正々堂々 本予算として提案しなかったのか。
本予算として提起しているなら 予算執行は 半年以上 早まったはず、
すなわち 景気回復の足取りを半年も遅らせたことになる。
政府は 景気回復を遅らせた罪を 負うべきことになる。
ここにも 自民党政策の 先送り主義 後出し主義の
大きな弊害を見いだすことができる。
● そもそも 橋本総理の財政構造改革の バックグランドとも言うべき
財政認識は、「財政は、 現在主要先進国中最悪の危機的状況に陥っている」
(「財政構造改革の推進について」 平成9年6月3日閣議決定)とする
ものであった。しかし、この認識自体 大変な誤りである。
日本の財政状況は「先進国中最悪」と言うほどのものではない。
● むしろ ネット=正味でみれば 先進国中 日本はもっとも良いのである。
だから 先日のG7においても アメリカをはじめ諸外国からの
日本の財政出動を求める大合唱に なんの反論をすることできないのである。
日本国民に対しては「財政が最悪」と言ってだますことはできても
先進国の財政のプロに対しては このような詐術は通用しないのである。
なぜなら 日本の財政状況は ネットでは 世界でもっとも良いことが
世界の常識だからである。
● ネットの財政赤字とはなにか?
以下の数式をおぼえていただきたい。
(総負債高) − (金融資産) = (純負債)
これがネット=正味の財政赤字である。
どの家庭でも企業でも 負債と資産を両方持っている。
その双方を総合して初めて財政状況の真実の姿を把握できる。
しかし大蔵省は、実は負債の話しか国民に耳に入れようとしない。
金融資産の話は 絶対に強調しない。
そうして 国民をマインドコントロールしてきたのである。
● さてこのネットの財政赤字を見たときに 日本の現状はどうなのであろうか。
経済企画庁の発表した「国民経済計算年報」97年版によれば
95年末の政府の負債残高は448兆円
おなじく政府の金融資産(社会保障基金や外貨準備金など)残高は394兆円
したがって
448兆円 − 394兆円 = 54兆円
が 95年末の わが国の 純負債なのである。
● 負債の448兆円だけ取り出すと その対GDP比は80%を超える。
これは確かに主要先進国のなかでは最悪である。
(イタリアを除いて大半が60%台)
● しかし、この純負債残高の対GDP比を見ると、
以下のように日本は主要国の中ではもっとも低くなっている。
すなわち先進国の中では もっとも良好な財政状況であるのだ。
日本 = 14.3%
フランス = 39.3%
英国 = 44.2%
ドイツ = 48.1%
米 国 = 49.2%
● 資産だけを取り出して見れば、確かに日本の負債総額は
主要先進国中最大ではある。
しかし、相当の金融資産も保有しているので、総合すれば先進国中、
純負債残高のGDP比は最小なのである。
このような状況にあることを政府はもっと的確に国民に
伝えるべきである。一方的な数字のみを強調し、しかも「最大」を「最悪」に
あえて 言い換えるなど、かなり意図的なものを感じる。
● きびしい財政状況を必要以上に印象づける 大蔵省の真意は何か?
それは「財政支出の抑制」を至上命令と考えている 大蔵省の本能から来た
意図的な政策誘導であることは間違いない。「しまりやの主婦感覚」といったら
女性差別化もしれないが いつも厳しい厳しいと 言い続け お財布のひもを
縛り続けるのが大蔵省である。それが全部悪いとは言わない。
しかし時と場合によりけりである。
このような意図的な政策偏向が 財政出動を常に後らせ そしてその規模を常に
小出しにさせている。大胆な政策転換を 拒み続けている。
また 国民に必要以上のストレスをかけ 消費マインドを凍結してしまった。
● この大蔵省を押さえ込めない 自民党の政治を変える以外 現在の不況は
続くであろう。