国会通信 No.342


 【NPO法案 成立】

1998/3/23 (マンデーレポート第342回の要旨)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ■ 3月19日 衆議院本会議において「特定非営利活動促進法(NPO法)」   が可決成立した。1994年の10月にさきがけでNPS研究会を設立以来   あしかけ3年5ヶ月、ようやく成立した。この法案の作成に最初から   関わりを持ったものの一人としてひときわの感動を覚える。 ■ わが国の社会構造上の問題点は、官僚セクターと産業セクターの   二つが過重になっている点である。すなわち、公共サービスは行政セクターが行い、     一方民間セクターは営利企業が行う営利事業が中心である。   この二つにほぼ限定された極端な二元社会がわが国の社会構造である。 ■ この社会構造が、結果として「大きな政府」をうみだし、価値観の多様化に   対応できない硬直した社会を作ってきた。   また民間セクターが企業中心になることで「会社人間」に象徴される生活の豊かさ   を実感できない社会状況を生んできた。   NPO法はこのような日本社会の壁を突き破ってくれるであろう。 ■ さらに、経済の観点から見ても、市民が自主的に活動できる   新たな活動領域を多様に生み出すことにつながっていく。   それはわが国の経済に新たな雇用と需要を生み出すことは間違いない。 ■ この法律の目的は   「特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、   ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動   としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に   寄与することを目的とする。」   ことである。(1条) ■ 特定非営利活動法人の定義   以下の12項目に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの   利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。」    一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動    二 社会教育の推進を図る活動    三 まちづくりの推進を図る活動    四 文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動    五 環境の保全を図る活動    六 災害救援活動    七 地域安全活動    八 人権の擁護又は平和の推進を図る活動    九 国際協力の活動    十 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動   十一 子どもの健全育成を図る活動   十二 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、      助言又は援助の活動 ■ このNPO法の特長は?   1 従来の公益法人制度と違い、主務官庁制を採用せず、     原則的に書面審査による認証としたこと。   2 所管庁は、活動が県内にとどまるものは県、他県にまたがる     ものは経済企画庁に一元化したこと。   3 認証の要件は、法律に書ききることによって、所管庁の裁量の余地を     なくしたこと。   4 法人の活動評価は法人の情報公開で行うとしたこと。   5 10名の正会員等の要件で法人化でできこととし要件を     容易なものとしたこと。   など法人の自主性、自律性、多元性を尊重することに力点を置いていることである。 ■ ただ以下のような問題点も残している。   1 本法は、民法34条(公益法人)の特別法と位置づけられたため、     認証制とせざるを得なかった。すなわち「許可」とい著しい役所の     裁量を拒絶することには成功したものの、本来めざしていた     「準則主義」にはまだまだ距離があること。   2 民法との棲み分けのために活動内容は12項目の限定列挙と     ならざるを得なかったこと。   3 市民活動の経済的自立を支える寄付に関する税制の優遇措置などの、     優遇措置についても3年後の検討課題として先送りされたこと。     などである。     ただ、税制の優遇措置を急ぐあまり、優遇の是非を判定する権限を     所管庁にゆだねる愚は避けることができた。     これは評価して良いと思う。