国会通信 No.356
【十年一日】
1998/7/28 (マンデーレポート第356回の要旨)
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■ 以下の文章を そのまま読んでいただきたい。
これは 平成元年5月23日づけの自民党政治改革大綱の冒頭の文章である。
「いま、日本の政治は大きな岐路に立たされている。
リクルート疑惑をきっかけに国民の政治に対する不信感は頂点に達し、
わが国議会政治史上、例を見ない深刻な事態をむかえている。
なかでも、とくにきびしい批判がわが党に集中している。
(略)
いまこそ事態を深刻かつ率直に認識し、国民感覚とのずれを
ふかく反省し、さまざまな批判に応え、「政治は国民のもの」と
宣言した立党の原点にかえり、党の再生をなしとげて国民の信頼回復を
はたさなければならない。そしてこのことが引き続いてわが国の
あかるい未来をひらいていく唯一の道であることを信ずる。」
(略)
「もとより 永年続いた制度の改革はけっしてやさしくはない。
しかし、国民の政治にたいする信頼を回復するためには、
いまこそ自らの出血と犠牲を覚悟して、国民に政治家の良心と
責任感をしめすときである。」
■ 一読して明快なように 真剣な自己批判、危機感が伝わってくる。
そして、改革のためにはいかなる自己犠牲をもいとわない気迫が感じられる。
さすが後藤田正晴 政治改革本部長が中心になってまとめただけのことはある。
衆議院初当選直後の私も直ちに一委員に任命され、
小沢さん、羽田さん、武村さんたちの激しい議論にずいぶん啓発された。
しかし、それから10年、今回の自民党総裁選出劇はどうだったか。
危機的な状況はリクルート事件よりもさらに深刻である。
なぜなら、派閥の論理に埋没していることに、当事者はなんの疑問も
感じていないからである。
「冷めたピザ」と揶揄される小渕さんをたいした混乱もなく選出、
小渕さんは、党三役を宮沢、渡辺、三塚の派閥均衡人事をなんのためらいも
なく実行。10年一日の定番ピザを作り続けている。
梶山さんは100名を越す支持に気をよくしたのか、
新グループ結成宣言程度の姑息な気炎をあげたのみ。
小泉さんは、にやけながら「自分を受け入れる土壌は自民党にはないんだな」
と評論家のような感想をもらすのみ。
なぜ決起しないのか不思議である。
若手の中からも「都市新党」などとその場しのぎの動きが
あっただけで、本質的な問いかけなどなし。
老いも若きも 恍惚としてほろびの瞬間を待っているようだ。
「凡人・軍人・変人」の秀逸なコメントのみが生々しく記憶に残り、
国民と自民党とのずれはさらに深くなっている。
■ 政治改革大綱は、「党改革の断行」という項目をあげ
以下のような具体的な提言をしている。自民党のみなさん
に改めて進呈したい。
記
(1) 派閥の弊害除去と解消への決意
(2) 近代的国民政党への脱皮
@ 族議員の反省
今日、特定の業種・業界にたいする影響力の行使により、
議員活動が部分利益に偏しているとの、いわゆる族議員への
批判がある。
このため、族議員を生む原因になっている部会、調査会、
委員会などの党・国会人事の固定化に一定の歯止めを
もうけることを検討する。政務調査会においても、
縦割り型の行政機構の弊を助長するのではなく、
むしろ行政を横断する横割り型を重視し、政策の
総合調整機能の強化充実をはかる。
A 当選回数主義の改善と信賞必罰の徹底
B 候補者決定の新しいルール
十年一日のごとし。
10年前の提言は見事に無視され続けているのが
よく分かるであろう。恐竜はいよいよ自分の巨体が
支えきれなくなってきたようだ。