国会通信 No.357


 【142対103】

1998/8/3 (マンデーレポート第357回の要旨)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ■ タイトルの数字は、7月30日に召集された   第143回臨時国会における参議院の首班指名の結果の数字である。    ●菅 直人  142票    ●小渕 恵三 103票   参議院では 菅さんが総理大臣の指名を受けた。   しかし憲法の規定で 衆議院の決定が優越することになっているから   結果として 小渕さんが総理大臣に指名された。   衆議院の結果    ●小渕 恵三 268票    ●菅  直人 164票 ■ のっけから 新米参議として「衆議院の優越規定」のほろ苦さを味あわされた。   これは衆議院から参議院に移ってきた私のようなものにとっては   結構つらいものがある。   関係の条文は憲法67条   第1項では   「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。」   と規定している。   したがって参議院議員であっても総理大臣になれるのであるが、   中には参議院議員は内閣総理大臣になる資格がないなどと誤解   している人がいるのは、以下の規定からくるのであろうか。   第2項   「衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、   法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、   又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、   参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」   当日もこの憲法の規定に従って、両院協議会の協議員選任手続きのための   本会議が開かれ、物別れになることが決まり切っている両院協議会が開かれ、   「話し合いがつきませんでした」との報告を聞くためだけの本会議が開かれた。   きわめて、形式的である。   衆参いづれもがきちんと指名をしてくるのだから   両院協議会を開いても結論は変えようがない。   したがって物別れになるのは最初から見えているのである。   また衆議院の決定通りになるとの憲法の規定がある以上   衆議院側の委員が譲歩することなど考えられない。   そもそもほっといても衆議院の決定通りになる事柄を   参議院の所管事項のメニューに入れるのはどうもあまり意味がないような気がする。   参議院が衆議院と別な意思を持ったことのアピール   すなわち参議院における与野党逆転のアピールはできる。   しかしその意味はそれ以上でもそれ以下でもない。   このような憲法規定をそのままにしておくことに大変疑問を感じるのである。 ■ 小渕内閣の閣僚人事は、参議院で両院協議会の協議委員の選任中も、着々と行われ   ていて、議場にも共同の速報のコピーが持ち込まれていた。   首相の指名投票の途中、前列の佐藤道雄議員が持っていたコピーが目に入る。   彼は大学の先輩で元札幌高検の検事長だった人。   早速、先輩ちょっと見せて下さいとお願いし新聞辞令の中味を見る。   よくよく考えれば、首相の選任手続きの途中にすべての閣僚の名簿が表に出される   などと言うのも失敬な話である。    宮沢大蔵(この難局を70翁に押しつけるとは)    堺屋経企(本質は官僚ではないか)    有馬文部(この人には東大解体の提案はようでけん)    野田郵政(郵貯のポスターによく似あいそう)    等々の感想がわき出してくる。   危機的な状況のはずなのに「危機の認識が欠如している」そんな印象の人選である。   宮沢さんは、組閣の翌日「円安介入には不熱心」と思われるような言葉を安易に   しゃべって円を急落させる。   市場経済の実感はやはりお持ちでない様子。   大蔵大臣のときにバブルの原因を作り、総理大臣のときは住専処理に公的負担が   必要なことを認識しながら断行できなかったのが宮沢さん。   偉大な知識人だが、蛮勇はふるえない人である。   このような宮沢さんに日本経済再生の責任をおしつけ、その影に隠れようとする   小渕さんも加藤さんもかなりお人が悪い。