国会通信 No.360


 【参議院予算委員会で質問】

1998/8/24 (マンデーレポート第360回の要旨)


◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 1 先週の21日(金) 参議院予算委員会で質問しました。まず、1年10ヶ月の   ブランクがあったこと、さらに質問戦の焦点はなんといっても金融問題、   したがって専門的な知識や今までの経緯についての理解が十分でないと、   鋭い追及は難しい。そんなわけで結構緊張しました。 2  特に想像していなかった新しい出来事が前夜から当日の朝にかけて起こって   いました。ひとつは総理が前日の夜、長銀の合併相手と予想されている   住友信託の社長を呼び出し会談したとの話が報道されていたこと。   ふたつめはアメリカのスーダン・アフガンへの報復爆撃の件です。   あらかじめ準備した質問事項を大幅に変えなくてはなりません。   当意即妙のアドリブ質問ということになり、久しぶりにスリルを味わいながらの   質問となりました。   江田五月さんと私で40分の質問時間をめいっぱい使いながら小渕総理、   宮沢大蔵大臣、日野金融監督庁長官らを追求しました。 3 今年3月、預金保険機構は長銀に対して1766億円の公的資金を注入しました。   同機構内にある「金融危機管理審査委員会」が同行を「債務超過ではない」と   認定し、 金融システム安定化に資するための資金として注入が決定された   わけです。しかし、その後株価は急落し、50円を割りこむまでとなり、   ムーディーズの格付けも下げられ、長銀への信頼は著しく下がっていきました。   もし金融監督庁をはじめ政府がこのような実態を知った上で3月の資金注入や、   これからの合併に際しての資金援助(5000億とも1兆ともいわれている)を   行おうとしているのなら、それは「破綻隠し」の「銀行延命策」でしかありません。   巨額の不良債権の穴埋めとして国民の税金を使うことは許されることでは   ありません。 4 江田さんや私の質問に対し、総理をはじめとして政府は長銀の実態については   今調査中であると答えるのみで、詳細な実情を明らかにしようとしません。   情報開示なく国民に目隠ししたままで、公的資金注入を追認させようとする   やり方は許すことができません。   アメリカでは金融機関の破綻処理については「最少化の原則」にのっとって   行うことが明記されています。   「最少化の原則」とは、できるだけ国民の税金を使わないで破綻処理をすべきで   ある、とのしごく当然の原理ですが、日本ではこの点の取り組みが大変甘いのです。   そして「金融システム安定化」「預金者保護」という大義名分のみで、   歯止のない公的資金投入が行われようとしています。このことはなんとしても   阻止しなければならないと考えます。 5 参考までに私の予定していた質問項目をあげておきます。長銀関連の質問時間が   大幅に増えた結果質問項目のすべてをこなすことができなかったのが残念です。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※        質 問 要 旨             民主党 新緑風会  簗瀬 進 1  自民党敗北の意味について ○ 参議院選挙で敗北した理由をどのように分析しているか ○ 組閣後さらに支持率が低下している理由をどう分析しているか ○ 「too little、 too late」の意思決定 ○ 「オーケストラの指揮者」とはどんなリーダーか ◎ 経企庁長官が変わっただけで、数字が変わってしまうのはおかしい。      2 大蔵省の財政至上主義について(蔵相、日銀総裁、金融監督庁、預金保険機構)  ◎先日の本会議での蔵相の反省の弁のもっと深い意味を聞きたい。   それによって未来への教訓となる。  ○ バブルを生んだ原因はなにか    プラザ合意後の円急上昇 いわゆる「円高不況」対策としてとった低金利政策が    最大の原因だったのではないか?    (当時としての最低の金利2.5%を86年7月から88年12月の    2年3カ月にわたって続けた。)    88年12月29日 株価史上最高値の3万8915円    ○ 本来財政政策を展開すべきところ金融政策で代替しようとしたのではなかった    のか?  ○ バブルのおかげで 大蔵省は 90年度予算で平成悲願の「赤字国債脱却」を    果たせたのではないか。  ○ 住専処理の公的資金投入必要性を示唆しながらそれができなかったのも財政至上    主義の大蔵省の反対が強かったのではないか。  ◎ バブル崩壊後の大蔵省による「金融政策」と「財政政策」は「金融政策」に偏っ    てしまった為に、不況の穴を広げてしまったのではないか。  ○ そして、不良債権処理のための金融の収益環境のバックアップを再び金利政策に    頼ったのではないか。    95年には0.5%の超低金利政策。  ◎ とどめを指したのは「財政構造改革法」である。  ○ ネットの財政赤字論についてはどう思うか。    「先進国中最悪との認識」はフェアではない。  ○ またそれを可能にしてきた 日銀の大蔵省に対する従属性。  ○ 大蔵省の財政至上主義と、金融護送船団主義こそ今日の不況をもたらした    最大の原因である。    ○ さらに、それをコントロールできなかった政治の弱さ。  ○ 以上の10年間の「教訓と結論」       1 官僚主導政治の克服     2 財政と金融の分離     3 護送船団方式の解体 3 預金保険機構および金融監督庁の金融監督体制について  (蔵相)  ◎ 「預金保険機構」「金融監督庁」は大蔵省の傘から抜け切れない印象が残る。     どこに何人いるのか質問したい。 ■ アメリカの連邦預金公社(FDIC)の体制   ◎検査要員の人数(93年末) は    ワシントン本部           178名    全米8カ所におかれた地方事務所  3793名                   計 3791名      ■ 預金保険機構は 289人   金融監督庁は  403人 うち検査部は 165人   まず スタッフの数が少なすぎるのではないか。 ■ 預金保険機構は、いまだ大蔵省・金融機関の人材に依存してる。     285名(現在)のうち        大蔵省出身   41名        ◎検察、裁判所 13名        国税庁出身   65名        日銀出身    31名         金融機関    76名     護送船団関係者の合計 213名             全体の74%  ◎ 預金保険機構には金融関係者が76名もいるが、     この内訳を銀行名を出して聞きたい。    ◎ 大蔵省の管理下にある「預金保険機構」の中に、金融危機管理審査委員会   (佐々波 委員会)がある。   その佐々波委員会が長銀に対する1766億を決定した事は大いに疑問がある。   その際の審査と決定手続がどのように行われたか具体的に聞きたい。    審査した人数、期間等。   ■ 金融監督庁について    ◎ 現在の都銀19行に対する検査の方法、検査人員の割り振り、1行当たりの期間   を聞きたい。 ◎ 単純に計算すると一行当たり約8名になるが、   (検査部165名÷19行)   巨大銀行を相手にこの人数で出来るのか?                       ○ 金融監督庁長官の金融監督についての認識 ◎ 検査部165名の検査官が、専門家集団になりきれていないのではないか。    アメリカの預金保険公社の金融機関閉鎖事務部隊の例   「データ処理班」「試算分類班」「資産管理班」「負債処理班」「人事班」などと、   職務分担が明瞭であるが、金融監督庁の場合はどうか。 ■ 大蔵省に残っている金融企画局の問題点   以上の預金保険機構や、金融監督庁の機構を変えたり人事を増強したりする場合、   大蔵省の金融企画局を通さねばならない。(大蔵省組織令61条62条)   今回のブリッジバンク法案も所管は大蔵省の金融企画局。    結局 くびねっこはしっかり大蔵省が抑えている。   これでは金融、財政の分離とは言えないのではないか。 4 総合的な情報政策の確立について (総理、郵政、厚生) ◎ 情報政策関連の予算   各省庁への予算は、        平成8年度 3651億        平成9年度 4841億         10年度 5186億   と増え続けているが、相互間での調整がどう取れているのかわからない。    縦割り的な予算に見える。   統一した戦略的な構想に基づいて予算を総合的に調整すべきである。   その機能をどのように作るべきか。 ◎ 現在までの政策は、ユーザーの立場に立っているとは思えない。ユーザー側に立   った政策の確立がなされていない。(サプライサイド) ◎ 情報強者(パソコンを購入することが簡単に出来る人、キーボードに違和感を感   じない人)の為の政策であるとのイメージが強い。    政策を情報弱者へ観点を変えていく必要がある。   (ディスアビリティーの観点から見ると、厚生大臣にも質問) ◎ 社会全体の情報発信量をどのように拡大していくかの基本戦略がない。   学校、病院、そしてNPOなどを通じた整備を早急にすることによって情報量が   増加していくような政策を出すべきだと考える。  5  核の傘と情報の傘について    (防衛庁長官 外相)   ○ 論文 「情報革命と新安全保障秩序」 (ジョゼフ・ナイ 前国務省国際問題担当次官補 ウイリアム・オーウエンズ 全統合参謀本部副議長 共著)の考え方をめぐって   ◎ 「情報」というものを、これからの日本の新しい外交政策の指針にしていきたい   と考えている。 ◎ アメリカは情報政策を安全保障の観点から、出していこうと考えている。 ◎ 情報基盤の整備を進めていくことは、インターネットの普及やNPOなどの活躍   の場が広がると考える。   これは、世界との国境が低くなっていく事につながり、   「核に依存した安全保障」から、「情報による相互信頼に基づく安全保障」へと   変えるべきである。   「情報は核を越える」。   この考え方で新しい安全保障の基本を構想すべきであると考えるがどうか? ◎ 私は、「情報」によって国境を乗り越えられるという考え方をこれからの日本の   新しい外交政策としていくべきだと考えている。