国会通信 No.361


 【栃木県北部の水害視察】

1998/8/31 (マンデーレポート第361回の要旨)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 1 先週の28日(金) 前日の栃木県と福島県の集中豪雨被害を   視察するために、午前7時45分の新幹線に乗り、那須塩原駅に向かった。   前日遅れていた新幹線もこのときは正常運行していた。到着後   路上で視察のための作業服および長靴を着用し、直ちに黒磯市役所に。   同市の災害対策本部で藤田市長を激励し被害の様子を聞いた。   そして、さらに行方不明者や倒壊家屋がかなり出ている那須町役場に向かった。 2 那須町役場に向かうための最短コースは、余笹川にかかっている   いくつかの橋をわたって東進することだが、すべて通行禁止になっている。   そのため南下して黒羽町まで下がり、そこから北上するコースをとった。   途中、沼野尾地区では家が流され行方不明になっている後藤さんのお宅を   訪問することができ、その場にたたずんでいたご姉妹の方からお話を   聞くことができた。あらためて自然の猛威、濁流の怖さを実感させられた。 3  普段は5メートルの幅しかなかった川が10倍の50メートルに膨れ上がっている。   水田は、土石がちりばめられた河川敷になってしまった。   納屋にあったトラクターや乾燥機などの重い農機具もすべて流されている。   半壊した家は、ナイフでえぐられたようだ。水に飲み込まれた樹木は、砂地に   たてられたマッチ棒のように簡単に倒れていった。荒々しい自然の威力に、   人間はなすすべもない。 4 橋は、水面からあまり離れていなかったため、流木や流石をせき止めて   小さなダムを作ったようだ。このため水位は急激に上昇し、後藤さんの自宅を   浮き上がらせてしまった。助けを呼ぶ声を耳にしながら、水面下に姿を   消していくのを目撃した人たち。彼らの悲嘆に打ちひしがれた表情を目にしたとき   慰める言葉すら失ってしまった。河川の堤防や橋梁の構造についても早急に検討   しなおすべきである。 5 その後那須町役場に到着。自衛隊の給水車が飲料水の供給を開始していた。   役場の正面ロビーには、パンやおにぎり等の食料品が用意され、電話連絡のための   無料電話が10台以上設置され、救援体制は早急に整備されつつあった。   町長は国土庁政務次官の視察に立ち会うため、直前に庁舎を出発していたため、   行き違いであった。台風4号はさらにゆっくりと関東地方に向かっている。   これ以上雨が降り続くことを恐れる。 6 参議院では、金融安定化問題をあつかう特別委員会の設置について   与野党間の合意がようやくまとまった。全体の委員長を自民党がとり、   長銀問題をあつかう小委員会を設置し小委員長を民主党が出すことになった。   その設置のための本会議が明日開かれる。   ロシアの経済危機、世界同時株安、1万4000円の底が割れ、そして   集中豪雨による被害、日本の危機を実感させる1週間であった。 7 長銀問題での政府の答弁は実に矛盾に満ちている。   「長銀=健全」と言っておかねば3月での1766億円の資金注入の法的根拠や   住信との合併推進を説明できない。   しかし、「長銀の現状=システム危機」としなければ資金注入についての必要性を   説明できない。政府自身、自家撞着に陥っている。   自らの日本リース等のノンバンクへの債権を放棄し、その結果自己資本不足になり、   その不足を補うために公費を入れるなら、結局国民の税金で失敗した会社の借金の   肩代わりをしてやることに他ならないのである。   そんなことが許されるわけはないのである。   そのなかで長銀の実態についての情報は開示されぬままである。   これでは到底、国民的合意は与えられない。   おそらく真実の情報を開示すれば、その瞬間「健全」と言ってきたことが   虚偽であったことが明らかになるのではないか。 8 金融安定化についての野党3党の合意案がまとまったが、   おおきな焦点は野党とくに民主党が    ● 安定化法案成立のための与野党歩み寄りの方向を選択するか、    ●それとも自民党を追い込んで解散総選挙の方向を目指すかである。   国民の多くは今何を望んでいるのだろうか。   解散による現状打開か、金融安定のための何らかのシステム作りか、   もちろん原則は与野党合意の成案作りを目指すべきであろう。   しかし、情報開示、最少化原則、大蔵分離の3つの原則が貫徹されない   成案しか得られないようなら、わが国の国際的な信頼は回復しない。   いたづらな延命は、かえってガン細胞を全身に転移させる。   そのときは解散に追い込むしかないであろう。