国会通信 No.363


 【金融経済特別委員会で質問】

1998/9/14 (マンデーレポート第363回の要旨)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        お詫び   先週はテキストの用意が出来ませんでした。 マンデーレポートは原稿なしで実施しましたが、 皆様への発信が出来ませんでした。 謹んでお詫び申し上げます。 1  北朝鮮のミサイル問題、金融問題、そして集中豪雨災害対策と多事多難な出来事が   続いています。5日(土)には民主党の羽田災害対策本部長とともに   黒磯、那須地域の災害復旧状況を視察、そしてその結果をもとに7日(月)には   野中官房長官に   「激甚災害の早期指定、災害弔慰金の早期支給、がれき処理の推進、」など   10項目の要求をまとめて要請行動を行いました。 2 災害対策は現地の役場の皆さん、ボランティアの皆さんを含めて懸命に   行われていますが、視察の中で浮かび上がってきたのは、実態に合わない   硬直的な制度です。 【「現状復旧」vs「改良復旧」】   例えば、水田に土砂が覆いかぶさってしまい、   水田として現状回復するのには費用もかかるし、   いったんダメになった無理に水田に復旧しても、収穫は期待できない。   とするなら例えば、「畑」に改良してしまったほうが良いわけです。   しかし現行の補助金の規則だと、「現状復旧」なら付けられるが地目を変えて   しまう「改良復旧」なら付けられないとなっている。   「水田」を「畑」に変えるのは「現状復旧」ではないので補助金がつかないことに   なる。これでは実際意味がナイのではないでしょうか。 【全壊・半壊・床上・床下?】   また住宅被害の認定も   「全壊」・「半壊」・「一部損壊」・「床上浸水」・「床下浸水」の   5段階になっているが、   例えば垂直の柱や屋根は残っているが   土砂をかぶった結果、形式的には全壊に当たらないけれど、   実質的には建て替えねばならないのだから「全壊」と見るべきなのではないか。   等々の問題が出てきます。   このような実態に合わない硬直した制度は当然あらためるべきでしょう。 3 金融経済対策特別委員会での質問   10日(木)には 金融経済特別委員会で参考人質疑が行われ、私も30分の   質問時間を与えられました。この日、参考人として出席したのは、   長銀頭取の大野木氏、そして長銀関連のリース3社の社長でした。   私は、基本的には以下のように考えています。  長銀は3月の時点から「実質破綻」に陥っていたこと、  したがって「健全な銀行」として1766億円の巨額な資金注入をした政府の行動は、  実質的に金融安定化法違反であること。  また8月21日に発表された「住友信託銀行との合併に向けた経営改善策」  (以下経営改善策)で明らかにされた、合計5200億円の債権放棄の提案は  以下に記載するように受け入れられないこと。  そしてこの債権放棄を行う前提としての公的資金注入は認められないこと。  この考えが正しいことを立証する目的をもって参考人質疑にのぞみました。  ただし質問時間が30分しかなく、かんじんの「債権放棄の是非」にさしかかった  ときに残り5分しかなくなってしまい、十分な質問ができませんでした。  大変残念です。 4 債権放棄の適法性と妥当性   長銀が8月21日に発表した経営改善策によれば、不良債権の抜本的処理策として   ノンバンク3社に対する総額5200億円の債権放棄を行うことになっています。   「債権放棄」とは、銀行にとっての重要な資産である貸し金債権を棒引きして   チャラにしてやることです。   当然それは銀行の自己資本率(資本/資産)を低くします。   そのため公的資金(=国民の税金)を注入して自己資本比率を高くしてもらい、   そのうえで住友信託に合併してもらおう、と計画しているのです。   資金注入の金額がいくらになるのか、長銀側も政府も質問に対しては明確な答えを   していません。   したがって憶測で言うしかないのですが、長銀の自己資本は今年3月の決算でも   8000億円弱しかありませんでした。   そこに、経営改善策でいう5200億円の債権放棄=資本目減り=と、   さらに2300億円の不良債権への引当をすることになっていますから、   総額は7500億円の資本低下をすることになりますので、政府が予定している   資金注入の金額は5000億円とも1兆円とも予測されています。   いうならば長銀への資金注入は、合併に消極的な住友信託を納得してもらうための   持参金です。   しかし、債権放棄であけた穴を国民の税金で穴埋めし、そのうえで住友信託と   合併させて長銀の破綻を回避する、このような政府のやり方に賛成するわけには   いきません。 1)金融機関の本来から言って、他人の資金を預かり(=受信業務)、   それを責任もって運用すること(=与信業務)が本質です。   金融機関が運用している資金のもとは、他人からの預り金なのです。   債権放棄を安易に許すのは、預り金運用の責任を最初から免除して   しまうことにつながります。いわゆるモラルハザード(倫理破綻)に   つながっていきます。だから、これを簡単に認めてはならないと思います。 2)長銀には、多くの債務者がいるはずですが、そのなかで   日本リース等3社だけに債務免除の恩恵を与える理由が不明確です。   なぜこの3社だけ特別扱いにするのか、金額が大きい、社会的な   影響が広範だなどと頭取は説明していましたが、それは理由になりません。   なぜならゼネコンやメーカーなどほかの大口の債務者の中にも、   同様の立場の債務者は多数いるはずです。なぜリース3社だけの   債務を免除するのか、納得できる説明はされていません。 3)リース3社はいずれも長銀の資本が入り(1%〜5%)、   役員の多くが長銀関係者です。   債務免除の優遇をするのが自分の関連会社であるというのは、   お手盛り以外の何物でもありません。 4)債権放棄は金融機関のもっとも重要な資産である、   貸し金債権を放棄することです。それは当然会社の資産を低下させ、   株主の利益を相当損なうはずですが、株主の同意を得たわけではありません。   現に長銀に出資した、アメリカの投資会社から株主訴訟が提起されています。   債権回収の最終的な努力もせずに、多額の債権放棄をすることは   株主の利益を損なうこと明らかです。これを株主の同意なしで行うのは   妥当性を欠くどころか適法性もないと思います。 5)債権放棄をすると自己資本比率が下がります。   そしてその穴埋めを公的資金すなわち国民に求めるのは、   結果としてリース3社の借金の穴埋めを国民に求めることに   ほかなりません。リース3社という民間会社の借金の尻拭いを   国民に求める納得できる理由はまったく見当たりません。   さらに、リース3社すなわち「日本リース」「日本ランディック」   「NED」の3社とも、バブル期の放埒な貸し付けによって   経営内容を悪化させた会社です。バブルの失敗の付回しを   国民にさせることは許されないと思います。 6)債権放棄の措置を取ったとしても、リース3社の経営再建の見込み   はかなり低いのではないかと思われます。   たとえば私の質問に対し日本ランディックが7月時点で   資金ショートで倒産する危機にあったことを頭取は認めています。   合併の前になんとか倒産を防ごうとする思惑が明瞭です。   今回の長銀への資金注入は、いわば住信との「合併」のための   「厚化粧」です。しかし、どんなに化粧をこらそうと、実質破綻の   状況を変えることは困難な状況であると考えます。   また国民の税金を投入する納得できる理由もありません。   破綻の事実を隠しながらなんとか「合併」にこぎつけようとする、   政府と大蔵省の強引なスキーム   すなわち   「債権放棄→資金注入→合併実現→破綻回避」といった   政府の考えている処理策には賛成するわけには行きません。