国会通信 No.366


 【対人地雷禁止法 成立 / 大蔵省との戦い2】

1998/10/5 (マンデーレポート第366回の要旨)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 【先週の出来事】 ●28日 参議院の議員総会開催。      菅谷表からの金融問題についての報告を受ける。 ●29日 10:00 経済産業委員会 開催。            まず「中小企業信用保険法改正案」についての質疑。            昼休みをはさんで17:00まで。         この法案で実は通産省がチョンボ。      国会成立前に政府公報で改正内容を広報。      国会軽視として問題になる。      私は、野党側筆頭理事として事案処理の矢面に。      中小企業に対する貸し渋り解消のためにも法案成立は早期を期したい。      この点では与野党とも一致している。、      しかし、採決前の広報は政府の議会軽視。見過ごすわけにはいかない。      通産省・総理府の軽率は明白である。      結果として本日の質疑終了の直前に通産大臣に陳謝してもらうこと、      そして採決は翌日に行う、ということで決着をつける。      質疑終了後に翌日審議する予定の「対人地雷禁止法案」について      通産大臣から趣旨説明を受ける。      12:00 緊急経済対策本部 全員協議。      山場を迎えた、金融再生問題で中間報告。      私は、発言を求めて「この問題の最大の焦点は      大蔵省から金融についての権限を切り離せるかどうかである」ことを強調した。 ● 30日 8:00      商工部会開催。 全国電気商連合会、公正取引委員会 通産省からヒアリング。      家電製品の安売り問題について議論。      10:00      経済産業委員会 開催。      中小企業信用保険法改正案について、採決。その後付帯決議案について採決。      なお、附帯決議案は各党を代表して私が提案することになり朗読。      (附帯決議は全会一致が原則。そして案文の朗読は野党筆頭理事が行う      のが通例)      その後「対人地雷禁止法案」について小渕総理(1時間)、      与謝野通産大臣(2時間)に対し質疑。採決。      14:00 参議院本会議 開催。      中小企業信用保険法改正案、および対人地雷禁止法案の2案が緊急上程。      (緊急上程=委員会で可決された法案が、その日のうちに本会議に      上程されること)       それにしても、対人地雷禁止法案についての審議はいかにもゆとりがない。      9月中に批准手続きを終了すれば、発効時の来年3月に第1発効グループに      なれるから 何とか月内に審議してほしいというのが自民党からの要請。      もちろんこの法案の重要性は認めているから審議促進に協力したものの      ※本日の水曜日はわが委員会の定例日ではない。無理やり押し込まれるのを       放置すれば、与党のごり押しの道を開く。前例にさせてはならない。       ※その日のうちの本会議上程など、審議がいかにもあわただしい。       等々の問題があった。      今後重要法案の審議に慎重を期させるためにも、例外的に総理大臣の出席と      質疑を 要求し、自民党にこれを容れさせた。      そんなに月内の議了を願うのなら、法案審議の順番をもっと早めればよい      ものを。 自民党の国会対策はどうもチグハグである。  ● 10月1日 8:00 東京翔進会の朝食会を開催。       同会は、ささやかながら私の東京後援会である。高校大学の同級生が中心。       浪人時代、物心両面で彼らには大変お世話になった。       近況報告、今後の活動として「ヴィジョン2020」       (講師をお招きした勉強会)や       来年早々の「励ます会」開催について話し合った。 10:00 メキシコの「レフォルマ」紙、「フィナンシエロ」紙の記者から取材。       日本の金融再生化問題の意義や見通しなどについて熱心に聞かれた。 11:00 緊急金融経済対策本部の役員会に出席。       金融再生問題については「いよいよ大詰め」「与野党合意が成立」などの       新聞の見出し。       しかし、実態はどうだろう。最大のポイントである金融と財政の分離に       ついて、 破綻関係や危機管理関係以外の金融企画立案       (たとえば日銀関係や証券関係)が、 大蔵省の手を離れて金融再生委員会       に帰属するかどうかについては、まだつめきっていない様子。       この点について 菅代表から、交渉担当者の仙谷企画委員長に対して強い       指示が出された。       「この点 つめとかないと簗瀬君から不信任を出されるからな」、       菅さんはこう言って 私を向きにやっと笑った。 12:00 金融経済特の打ち合わせ。       自民党理事の岩井さん、民社党理事の江田さん、長銀小委員長の私、       浅尾参議の 4名が集まり、金融監督庁担当者、長銀側担当者とうちあわせ。       用件は、委員会が要請している文書の適否について。 20:00 自民党・民主党・平和改革の3党派の実務者の間で覚書が交わされ       野党案をベースにして金融再生委員会を中心にした破綻処理システムが       最終的に合意された。       私が最大の関心を持っていたのは、大蔵省の金融に関する       権限をどれだけ剥奪できるかということであった。         この点の覚書の内容をそのまま引用すると       「6 財政と金融の完全分離と金融行政の一元化       金融再生委員会の設置に伴う財政・金融の完全分離及び金融行政の一元化は、       次期通常国会終了までに必要な法整備を行い、平成12年1月1日までに       施行する。」と明確になった。       必要な法整備をするまでは、大蔵省の金融企画局と金融再生委員会の共管で       ある。なし崩しにされないよう、しっかりと監視しなければならない。       このような心配は残るものの、覚書の文面では、大蔵省から金融関連の権限       を奪うことには成功したと言える。良かった。 ● 10月2日  9:00 政治改革本部総会に出席し発言。  この日の政治改革本部の主な議題は、公職選挙法の改正についての  民主党案をまとめることだった。  合意された主なものは  1 衆参の補欠選挙の実施日を、4月と10月の年2回にまとめて行うこと。  2 法定得票に満たない者を、比例区当選からはずすべきである。  などであった。  最後に私は発言を求め、以下の3点を今後の検討課題にすべきよう提言した。  1 選挙規制の撤廃   有権者を愚民視した戸別訪問禁止を代表として、現行の公職選挙法には   実態を無視し、現職の一方的な都合をのみ考慮した、多くの規制がある。   このために、選挙にはいつも暗いイメージがつきまとう。   誰もが明るく積極的に参加できるような、   子供たちのボランティアの対象になりうるような、   選挙法を制定すべきではないか。現行法はこの見地から抜本的な見直しを   すべきである。  2 有権者に親切な選挙制度・選挙行政の確立   前回の衆議院選挙において、選挙制度の改正点を理解していた有権者がどれだけ   いたろうか。おざなりな事前告知だけでは改正のポイントなど理解しようも   かったはず。せめて、投票場に改正点の説明員を置いたり、改正のポイントを   図解したり、ビデオで解説したり位の用意をしても良かったはずである。   これがひとつの例であるように、日本の選挙法や選挙行政は、有権者の立場に   立ったものではない。 今回の不在者投票制度の簡便化が投票率向上に   大変な影響を及ぼした。 このことでもわかるように、有権者の立場に立って   投票しやすい仕組みをどう作るべきか、もっと検討を深めるべきである。   たとえば在外邦人投票制度はもちろんのこと、平日投票制度や、出張先投票制度、   などあらゆる観点から有権者の投票意思を高めるような制度をしっかりと   検討すべきである。  3 直接民主主義的な制度の検討   有権者の、高まる政治参加の意思にたって、首相公選制度や国民投票制度を   じっくりと検討すべきである。   これによってしか、有権者の政治離れを止めることはできないと考える。    9:30 参議院の議員総会 開催。  金融再生問題について、昨夜の合意内容が説明され、全会一致で了承された。  そして本日の夜、衆議院を通過することが確定した。 19:00 緊急金融経済対策本部 開催。  自民党が、強いこだわりを持っていた「早期健全化」スキームについての  自民党案が示される。その内容を見て、唖然とした。  自己資本率が8%をきらない健全な金融機関にも、どうどうと資金注入できるような  内容になっている。  いよいよ自民党の反転攻勢が始まった。  破綻金融機関の処理については、全面的に民主党を中心とする野党案に屈服した。  第1ラウンドは自民党の完全敗北である。  その汚名挽回を、「破綻前処理」ではかろうとする意図がみえみえである。  「早期健全化スキーム」は形を変えた「金融安定化法」である。  同法を廃案にする合意が成立した直後に、表紙を変えて出してきたのである。      しかもその内容は、金融安定化法よりもさらに後退している。  無限定的にジャブジャと公的な資金注入が可能な内容になっているのだ。  不良債権を作った責任をまたしてもたなあげして、  なんでもいいから金融を救済しようとする。  これではいつまでたっても日本の金融機関は自立できない。  国民の税金も底無しの泥沼につぎ込まれる。  健全化スキーム自体を否定するつもりはないが、  これでは賛成できない。  あたかも、テレビ新聞で「金融収縮」を大々的にあおり始めた。  その瞬間を狙い撃ちしたように「早期健全化スキーム」自民党案を出してきたのだ。  そして株価下落の恐怖感をあおりながら、腐った金融機関をまたしても  救済しようとする。  そして民主党が筋を立て反対するや、  景気回復を遅らせ、金融再生に掉さす張本人は民主党だ、  とネガティブキャンペーンをするに違いない。  本当に厳しい戦いの第2ラウンドが始まった。  しかも一般庶民は、解決を遅らせている最大の原因が、  大蔵省の執拗な抵抗にあることをあまり理解してはいない。  評論家の多くも、銀行系のエコノミストたちに  ミスリードされようとしている。  何でも良いから結論を早く、こんな合唱が経済界の一部にも始まった。  自らの権限を少しでも守ろうと執拗な抵抗を続ける大蔵省、  大蔵省の呪縛から抜けられない自民党、  無定見な経済界、本質的には体制維持のマスコミ、  もしここでいいかげんな妥協をすれば、  日本は自己革新の最大のチャンスを失ってしまう。  相当の犠牲を覚悟しながらも、この戦いに勝ち抜かねばならない。  この問題については、土日を通して仙谷企画委員長や岡田政調会長代理などの  実務者が協議を続け月曜日(5日)の午前10:00から再協議することとなった。 ● 10月3日  15:00 民主党栃木 1区総支部 設立大会 開催。  宇都宮、上三川、南河内の1市2町に民主党の支部が立ち上がった。  私は総支部長に選任。県議は2名、市町村議は7名参加。 【対人地雷禁止法の一口メモ】 ● 禁止対象 「対人地雷」=人に接触するなどで爆発する地雷。      その他に「対戦車地雷」や「水際地雷」「混合地雷」などがあるが      これらについては禁止対象になっていない。 ● 禁止内容 「使用」 「貯蔵」 「製造」 「移譲」の4つ。      (なお 米・中・韓・印はまだこの条約に批准していない。       このため在日米軍の貯蔵保有移譲については禁止の対象にならない。) ● その他  4年以内に廃棄すること。      (自衛隊は推定100万個の対人地雷を保有しているが       4年以内に廃棄しなければならない) ● 地雷の現状 ・対人地雷の非人道性 =1 残存性 地中で50年間も効力持続            =2 無差別性 ・ 全世界で   埋設1億1千万個  貯蔵 1億1千万個     ・ 94年の実績 新散布 200万個 除去 10万個 したがってすべての対人地雷を除去するためには1100年かかる計算。 ・ 死傷者    毎月2000人 ・ 被害率    1位 カンボジア 263人に一人          2位 アンゴラ  470人に一人          3位 ソマリア  650人に一人  ・PKO活動での犠牲者 60名死亡 203名負傷 ・対人地雷の価格  1個 3ドルから30ドル ・ 〃 撤去費用  〃  300ドルから1000ドル          (埋設全部の処理=330億ドル)