国会通信 No.369
【臨時国会の総括】
1998/10/26 (マンデーレポート第369回の要旨)
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● 第143臨時国会が終了した。
自分なりにこの臨時国会を総括してみた。
1 「菅首班指名」で始まり、「額賀問責」で終った。
参議院での与野党逆転の結果を象徴していたのは、
冒頭での菅首班指名であり、最終盤での額賀防衛庁長官の問責決議可決であった。
ただ、残念なことは、参議院での与野党逆転を、野党側が戦略的に使い切って
いないことであった。
もちろん、自民党もそこは十分警戒して臨んでくるし、野党の思惑通りに
行かないのは当然である。
また、野党の間でも、各党の利害が簡単には一致しない。
率直に言えば、民主党の一人勝ちを他の野党は当然好まない。
こんなことから、最初と最後の人事案件では足並みをそろえられたが、
金融再生法案では後半戦では野党連携を自民党によって切り崩される結果となった。
参議院先議の活用や、個別に各党のイニシャチブ法案を設定するなど、
野党間の連携をもっと緻密にまた戦略的に行うべきである。
2 自民党は機能不全に陥った。
小渕総理のリーダーシップのなさ、総理としての著しい見識不足は目をおおうばかり
だった。
私は、参議院の予算委員会で締めくくりの質問をした。質問の当日の夕刊に、
小渕総理が「日本の金融機関のかかえる不良債権は100兆円ちかい」と発言した旨の
記事が載っていた。その根拠をただすと、総理は「いやたいした根拠があったわけで
はない。
想像以上に多いということを表現したかった。たいへん軽薄な発言であった。」
と釈明した。
かつて自分の発言を「軽薄」と評した総理があっただろうか。
さらに、不良債権の金額は金融再生国会と銘打った今国会では、それ自体大変重要な
政治的事実である。
これをこのような軽い認識しか持っていないのかと思うと、情けなくなる。
さらに、後ろに控えていた大蔵省の政府委員に耳打ちされて、慌てて「77兆円」と
訂正したのは良いが、実はこの数字も誤っている。
正確に言うと、総理の聞き違いであり、さらに言えば、総理の頭の中に政府発表の
第2分類の債権額が「87兆円」であることがインプットされていないという
ことである。
私がそれを指摘して、ようやく87兆円という「正解」にたどり着いたのである。
100兆円→77兆円→87兆円。
小渕総理の不良債権額はたった一日でこれだけ変わったのである。
このような総理が金融再生のリーダーシップを担えるはずがない。
総理がこのようであるから、訪米前に成立した野党代表との合意もうやむやになるの
である。
さらに自民党の内部も若手の実務担当者と、政調幹部との間では完全に溝がで
きている。
若手の認識は、大蔵省の権限を金融再生問題でいかに削ぐかということで民主党の
考え方と基本的には一致している。
この線で、与野党合意ができたと思ったら、本国に持ちかえると、
せっかくの合意が大蔵省容認派の幹部によって覆されてしまう。
この繰り返しが法案の処理を長引かせたのである。
外から見ると自民党は機能不全に陥っているかのように見えた。
3 第2ラウンドは、民主党の敗北か。
マスコミは、破綻した金融機関の処理についてのスキームの構築を第1ラウンド、
また破綻全の金融機関への資金注入の問題を第2ラウンドと区別し、第1ラウンドは
民主党の勝利、しかし、
第2ラウンドは、自民党が平和・改革と自由党を共同提案者として取り込み野党を
分断、民主党は孤立化して敗北した、と評価するのが一般的である。
しかし、私はそのように見るのは正しくないと思う。
まず、第2ラウンドも「金融再生委員会」という大枠にしたがって処理しなけれ
ばならない以上、第1ラウンドでの民主党勝利の枠組みは続いていると言って良い。
さらに、破綻前の資金注入について民主党はもっとも厳しい「自己査定」「情報開示」
「経営責任追及」を要求した。
結果的に、民主党は筋を貫いて安易な妥協をしなかったので反対に回ったが、
民主党の厳しい主張があったからこそ、結果的に自由党・平和改革による修正要求を
自民党が飲むことにつながったのである。
修正後の、自民・平和改革・自由三党提案の早期健全化法案は、
金融機関の保有株式の評価について原価法でも良いとするなどまだ大変甘いもので
あるが、当初の自民党単独案から比べれば、ずいぶんましなものになっている。
民主党の厳しい態度があったからこそ、自民党を修正に追い込むことができたので
ある。
このように考えてみると、第2ラウンドで民主党は敗北したなどと単純に
言えるものではない。
4 早期に臨時国会を開催せよ。
今臨時国会は、金融関連法案の処理だけが優先され、自民党の反対もあって、
民主党が要求した最も重要な景気対策、減税問題、雇用対策、
さらには、懸案の情報公開法の議了、防衛庁汚職の解明などが十分審議できなかった。
さらに参議院の経済産業委員会では、民主党や公明党の強い要求によって
会期末ギリギリの時点で石油公団関係の報告書が委員会に提出され、
石油公団総裁等に対する簡単な質疑が行われた。
この問題は特殊法人に対する行革の一面も併せ持つ大変間口の広い問題である。
さらに文芸春秋に掲載された前通算大臣の堀内さんの論文も話題になっている。
当然前大臣の参考人招致も考慮しなければならない。国会の責任として、
これらの重要課題のほか、小渕内閣の政治姿勢や内閣自体の是非についても徹底的に
議論し、必要な対策を講じていく必要がある。
この意味からも、できるだけ早期に臨時国会を改めて開催する必要がある。