国会通信 No.371
【英国訪問の報告】
1998/11/24 (マンデーレポート第371回の要旨)
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11月9日から18日までの間、英国を訪問しました。
まずは10日から14日までの間はスコットランドの首都エジンバラで開催された
NAA(北大西洋議員評議会)にオブザーバーとして出席。
後半はロンドンで英国経済情勢や金融情勢について視察してきました。
●北大西洋議員評議会は、NATO加盟国の国会議員相互が忌憚のない
意見交換と協力の場として1955年に設立されました。
日本は2年後にオブザーバーとして参加することとなり、
それに対応する議員の組織として「日米欧総合安全保障協議会」が超党派として
結成されました。以来毎年の年次大会に代表団を送っています。
私も衆議院初当選以来、この協議会に参加していましたが、今回派遣の勧誘を受け、
即座に出席の返事をしました。
それは、冷戦構造が終焉した跡のNATOがどのように変化しつつあるのか、
ユーロ誕生後の安全保障のシステムがどう変化しようとしているのか、
新たな地域紛争に対してNATOがどう対処しようとしているのか、
そしてこれらに対して各国の議員たちが生々しい意見交換をしている光景を
この目で確認したい、などのさまざまな興味深い問題点を感じたからです。
●現在NATOに正式加盟している国は19ヶ国。かつては16カ国であったものが
98年にチエコ・ハンガリー・ポーランドの三カ国が新規加入、かつての東欧圏の
ほとんどがオブザーバーとして出席し、NATOは拡大基調にあることは
間違いありません。
これに対して消極的な対応を迫っているのがロシアであるが、
このロシアも同じくオブザーバーとして代表団を送り、有名(悪名?)高い
ジリノフスキー氏も出席して会場では活発に発言していた。
もちろんロシア代表団の目的はNATO拡大へのけん制にあることは明かです。
たとえば、コソボへの対応についてもロシアはセルビアよりで、
NATOの姿勢とは反対です。
しかし、それでも会議に同席し横紙破り的な発言も辞さず、議長の米国上院議員の
ウイリアムロス氏に無視されながらも、最後まで退席しなかったのが大変印象的でした。
● 最終日の13日には、総会が開催され、ソラナNATO事務総長、ブレア英国首相も
来賓として出席し、基調報告をしました。
ソラナ事務総長は、コソボの報告を中心にしながら、地域紛争の解決にNATOの
はたす役割を積極的に評価しました。
さらにロシアについても、コソボ問題では立場の違いが明確化したが、
大量破壊兵器の不拡散問題などの多くの問題で共通の関心が存在していると指摘して、
ロシアへの配慮を見せていました。
ブレア首相は、NATOが欧州と北米の自由と民主主義、グローバルバランスを
保障してきたものであり、冷戦後もその必要性に変化はないこと、
欧州の安全保障に対して米国のコミットメントが大切だが、外交及び安全保障での
強い欧州は北大西洋の同盟にとっても有益であり、NATOおよび欧州の強化が
望ましい、と述べていました。
● 会議を通して、印象に残ったことをあげると、
1 欧州の安全保障について、何段階もの会議体や連合体(WEU、OSCE、NATOほか)
が 重層的に重なり合っていること。
これはアジアの安全保障との大きな違いである。
2 議員間の率直な意見の表明が会場では行われていた。かなり突拍子もない意見も
平気で交わされていたのが愉快だった。
3 会議の合間に行われたエクスカーションでは、1台のバスに各国の議員が同乗して、
軍港が 廃止されたあとの再利用状況を視察したが、会議のあとの開放感や
肩のふれあう臨席のよしみということもあって、多くの国の議員と交流を
深めることができた。
4 会議の運営は、幹事国ともいうべき少数のグループの根回しであらかた
決まっているようである。
何回も出席し、顔なじみになっていることが重要なのであろう。
その点、わが国の場合はどうも海外派遣は交代交代になっている。
改めるべきだろう。
5 残念ながら、アジアからの出席は日本だけ。そのために同時通訳の設備もなく、
予算の関係上通訳を同行できなかった私には、
コミュニケーションのはんでがあった。もう少し語学力をつけなければ。
6 ブレア首相は、やはり輝いていた。電子カメラに納めようと、
私も前列まで出ていったが、発言が終った後、出席議員の全員が立ち上がって
拍手を送っていた。言葉の明晰なことと、表情の豊かさ、目の輝きなどに、
未来への希望が象徴されているような感じ。
話の内容はともかく、その表情だけで聴衆を納得させてしまう雰囲気を持っている
のがすごい。
●ロンドンでは、英国の中央銀行であるイングランド銀行に行き、現在そこに同居して
いる「金融サービス機構」を訪問しました。そして同機構の
コンプレックス・グループス部門のポール・ライト局長に面会しました。
英国でも、現在イングランド銀行に集中していた金融監督権を分離し、
日本の金融監督庁にあたる「金融サービス機構」にこの権限を移管しようとしています。
そのさなかに訪問できたことは大いに有益でした。