国会通信 No.392


 【司法制度の改革】

1999/5/17 (マンデーレポート第392回の要旨)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 【先週の主な出来事】 ● 10日(月)  1 参議院 ガイドライン特別委員会 開始。質問戦の応援傍聴。  2 本会議 司法制度改革審議会設置法案についての趣旨説明 及び質疑。      ● 11日(火)  1 日米欧 総合安全保障議員協議会の年次総会に出席。     今年四月 NATOに新規参加した三カ国すなわちポーランド、チエコ、    ハンガリーの駐日大使の話を聞く。    ☆=三カ国ともコソボに対するNATOの方針は支持しているが    地上戦突入については「ポ」は賛成だが、「チエ」は慎重、「ハ」は反対であった。    コソボとの地理的近接性と見事に対応している。  2 経済産業委員会開催 電気・ガス事業法の改正案につき趣旨説明を聴取した。  3 政策審議会で「知的財産権戦略小委員会」設置を決める。    座長は簗瀬参議、事務局長は大畠衆議に。 ● 12日(水)  1 商工部会開催。    「通産省関連の基準・認証制度合理化法案」について通産省をヒアリング。  2 ガイドライン特別委員会の応援傍聴をした。    ☆ =野呂田防衛庁長官の問題発言二点あり。    一は「周辺事態法案により沖縄の危機高まり得る」といいながら翌日撤回。    二は「威嚇射撃は憲法違反にあたらない」と示唆しながら翌日撤回したこと。    危機管理の際、瞬時に憲法判断を迫られるのが防衛庁長官。その的確性は多いに    疑問である。 ● 13日(木)  1 経済産業委員会 開催。    電気ガス事業法改正案について質疑の後、採決。付帯決議を代表して提案。  2 「2000年問題」小委員会 開催。    国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター所長 公文俊平教授から    ヒアリング。 ● 14日(金)  1 高度情報化社会PT 開催。    インドの情報産業の現状について、(株)ランス社長鈴木昭氏からヒアリング。  2 参議院 本会議 開催。    核燃料廃棄物等に関する法律案について趣旨説明質疑。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 【司法制度の改革】 1 衆議院で可決された「司法制度改革審議会設置法案」が参議院に送付され、   先週月曜日から審議が始まった。 2 司法制度改革への取組は、今回が戦後三回目。   第一回目は、昭和20年11月、司法省内に設置された「司法制度改革審議会」での   論議。   第二回目は、昭和37年、内閣に設置された「臨時司法制度調査会」により調査審議が   行われた。 3 法案の趣旨説明によれば、設置法案の概要は以下の通りである。   1) 審議会の設立趣旨       21世紀の社会のありよう=複雑・多様化、国際化、規制緩和等によって      「事前規制型」社会から「事後チェック型」社会に移行する。      このような社会のニーズに応えうる司法の機能の充実・強化を図ること。   2) 審議会のメンバー      十三名の人数だけ定めてある。メンバーの選任要件については特段の規定なし。   3) 設置期間      二年間 4 問題点    1) 司法の現状についての厳しい認識が足りないのではないか。    2)司法の目的を、規制緩和後の紛争解決に特化しようとしているのは問題。    3)司法の行政化・官僚化という基本的な問題認識が欠如しているのではないか。 5 司法の現状   司法の現状に対しては、国民からさまざまな不満や批判がある。それは、次の   三点に集約される。法案はこの点への厳しい認識が欠けている。    1)三権分立を基本原理とする日本国憲法なのに、立法や行政に対するチエック      機能が弱すぎる。      立法裁量や行政裁量が絡む事件については、司法は過度に自己抑制的。      違憲審査権は「さび付いた伝家の宝刀」と化している。       「大きな行政」と「小さな司法」という旧体制のまま。   2) 紛争解決機能の弱体化      ☆ 裁判は時間がかかり過ぎる。その結果、費用も高額になる。      ☆ 行政訴訟においては、行政当局の主張が優先される傾向。      ☆ 法曹人口は諸外国と比べて格段に少ない。      このような傾向から、わが国の司法は「二割司法」と揶揄されている。   3) 裁判所は、国民が必要とするときに、利用することができる制度として      認識されてはいない。国民に縁遠い場所。 6 司法機能の目的についても法案は不足している。   司法の機能は、紛争解決の手段だけに特化するのは問題。   立法・行政に対する監視と抑制、人権の擁護と社会正義の実現という役割もある。   来るべき21世紀の社会を、規制緩和と経済的合理性だけ強調し、競争原理のみが   支配する社会や、社会的弱者が切り捨てられる弱肉強食の社会にしてはならない。    したがって、司法改革が目指す方向は、紛争解決手段としての機能を充実・強化する   とともに、国民の権利・自由を守るために、立法や行政に対する監視と抑制の機能を   充実させることにある。 7 司法の行政化をどう防ぐか。   司法が市民を向いていない。司法が見ているのは、行政である。   裁判官も法務省に出向する。   ときには予算担当者となって政治化への根回しの仕事すら行うことになる。   そして法務省の民事局や刑事局のエリートにならない限り司法部内での出世が   おぼつかない。   このような現状を司法の行政化と言いたい。   これを打破しない限り、いつまでたっても裁判所は市民の味方になってくれない。   これを解決する決め手は、「法曹一元化」「陪審制度」「参審制度」である。 8 「法曹一元化」・「陪審制度」・「参審制度」   1) 「法曹一元制度」は、裁判官を弁護士の中から任命するもの。   2) 「陪審制度」は市民が裁判で事実関係を認定する制度。   3) 「参審制度」は市民が裁判官とともに評議をして裁判の結論を出す制度。   裁判官がエリートであっては市民の共感を得る審判は難しい。   また裁判制度に市民を参加させる事で、司法の官僚化を防ぐことができるはずである。