国会通信 No.393
【特定化学物質の排出量等の公開等に関する法律案】
1999/5/24
(マンデーレポート第393回の要旨)
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【先週の主な出来事】
【17日(月)】
● 石海さんとともに、菅代表、羽田幹事長、鳩山幹事長代理、熊谷選対事務総長へ
ご挨拶まわり。
【18日(火)】
● 商工・環境合同部会 開催。
衆議院における「PRTR法案」の最終局面。自自公の修正案が通過しそうな気配。
民主党の提出した対案は通りそうもない状況。反対して玉砕するか、「罰則強化」という
小さな譲歩を引き出して賛成に回るべきか議論。
私は、小さな譲歩を引き出す成果よりも、筋を通し、明瞭な争点を提起して反対すべき
であると主張。
●経済産業委員会 開催。核燃料廃棄物についての改正法案 趣旨説明。
●中小企業家同友会 から陳情。
●経団連 産業本部長 長松氏と会談。「知的財産権戦略」について意見交換。
●民主党栃木 常任幹事会 開催。人事問題や統一地方選挙の総括がテーマ。
【19日(水)】
●商工部会 開催。通産省関連の基準・認証制度の整理合理化法案について議論。
●園遊会に出席。
●いがらし文彦励ます会に出席。
●民主党・平成2年初当選組 同期会。
【20日(木)】
●経済産業委員会の現地視察
東海第2原子力発電所を視察。ちょうど100日余の定期検査のために休止中で、
はじめて炉心の中を直接見ることができた。
青い純水の中に置かれた休止中の多数の核燃料棒がとても印象的であった。
視察の中心テーマは、再利用予定の核廃棄物を中間的に貯蔵する施設。
【21日(金)】
●参議院本会議 開催。
学校教育基本法 改正案 外国人登録法改正案等について採決。
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■ PRTR法案について
●PRTR制度とはなにか?
人類は現在に至るまで、約十万種類を超える化学物質を作り出した。
このうち人や生態系への安全性がきちんと確認されているものは、ごくわずかしかない。
これらの化学的物質の悪影響を未然に予防し、人と生態系の安全を確保し環境汚染を
未然に防ぐ、包括的なシステムを早期に確立する必要がある。
それがPRTR制度である。
(=Pollutant Release and Transfer Register 環境汚染物質 排出・移動 登録)
すなわち、PRTR制度とは、有害なおそれのある環境汚染物質の排出量や廃棄物と
しての移動量を企業の報告させ、政府はそれを国民に公表するという制度である。
そしてこのような制度を作るものとして今回政府が出してきたのが
「特定化学物質の排出量等の公開等に関する法律」案である。
● この法律の意義は三つある。
1)(対政府)化学物質の環境への負荷を総合的に把握することができこのことに
よって効果的な対策をはじめて作ることができるようになる。
2)(対国民)化学物質の情報を全地球的な意味合いで把握することができ、主体的な
政策決定に参加できる。
3)(対企業)効果的なリスク削減の方法を責任を持って、しかも自主的に作成できる
ようになる。
● 政府案の問題点はなに?
☆国民の知る権利が明記されていない。
☆企業の届出の内容は「移動量」と「排出量」のみであって
「取扱量」や「貯蔵量」が除かれている。把握は完全ではない。
☆データの届け先が「国」となっているが、企業にとり身近で、しかも
災害のときの第一次的な対応先である市町村のほうが良い。
☆政府案では、企業がデータを帳簿として備え付ける義務がないし、虚偽の場合の
立ち入り検査権などの規定がない。
☆政府案では、地球温暖化物質(代替フロンなど)や、環境ホルモンを除外している。
☆政府案では「企業秘密」を所管大臣が判断することになっている。
これでは業者へ甘くなる恐れが強い。
☆政府案では、虚偽届出に対し20万円の行政罰を規定するのみである。
これは環境と人体への危険から行って軽すぎるのではないか。
すくなくとも罰則を規定すべきである。
●以下は、以上の問題意識に立ち、民主党が対案として提起した主な内容である。
@国民の知る権利を保障
(1)国民は、化学物質の環境への排出量その他化学物質による環境の汚染の
状況等に係る十分な情報の提供を保証される
(知る権利の保障=情報公開の徹底)
(2)情報公開は請求によるものではなく、企業秘密を除き、個別データも含めて
すべてに公開される
(3)データの公開は、市町村、都道府県、国のすべてで閲覧可能で、インターネッ
トでも公開を義務づけている
=いつでも、誰でも、どこでも簡単に情報を取ることができる
(4)届出内容の拡充・ 移動量、排出量だけではなく、取扱量、貯蔵量、最大貯蔵量
も届出内容とする〜住民の関心事項を広く届出させ、公開する
A地方自治体の活用=データの正確性を担保、化学物質のリスク削減の推進
(1)対象事業者のデータの届出先は、一番身近な自治体である市町とする
PRTR制度に十分な対応が可能となる
(2)対象事業者以外の移動・排出量の推計は都道府県が行う国・事業者等に対する
協力要請によりデータの正確性を担保
(3)OECDのガイダンスマニュアルにおいても、「国レベルでのデータの統計を正確で
制度の高いものにするためには、地方政府の関与が重要である」とされている
(4)帳簿の備え付け義務、立ち入り検査権限の付与、罰則の強化
・事業者のデータを帳簿として備え付ける義務を負う(政府案にはない)
・届出が虚偽と疑われる場合、市町村は立入検査ができる(政府案にはない)
・データを届け出ないか、虚偽の届出を行った者に対しては50万円以下の
罰金(政府案は20万円以下の過料)
(5)リスク削減計画の策定
・化学物質によるリスクを削減するために、市町村はリスク削減計画を策定す
ることができる
・ 事業者や住民と一体となって化学物質によるリスク削減を行う
B対象化学物質の範囲の拡大=柔軟な制度の構築
(1)対象化学物質については、化学的知見の進展や社会的な問題の惹起等に
柔軟に対応できるよう、法律上幅広く設定
(2)対象化学物質を定める場合には、その案を国民に示し意見を聴取した上
で選定するという透明な制度により決定
(3)OECD原則でも「すべてのPRTRシステムは、実施途中の評価を可能とし、
必要性の変化に応じて関係・関連団体による変更が可能な柔軟性をもつべき
である」とされている
(4)政府案では、地球温暖化物質(代替フロン等)や内分泌攪乱物質(環境
ホルモン)は法律上対象から除外されており、柔軟な対応ができない
C企業秘密の取扱=統一的な基準を定め、不服審査制度により企業秘密を判断
(1)公表しないことにより保護される利益と公表することによる利益を比較衡量し
て公表するか否かを決定
(2)企業秘密については、政令で具体的な基準を定めるとともに、最終的に
は国の中央化学物質情報公開審査会において統一的に判断する
(3)政府案では、業所管大臣が企業秘密につき個別に判断することになり、
企業秘密が不当に拡大する恐れがある
■ 衆議院の商工委員会では環境委員会との合同審査が行われ、政府案と、民主党案が並行
して審査された。そしておおづめになって、公明、共産から修正案が出されるとともに、
各党の非公式のつめが行われたが、上記民主党の提案に対し、与党側は「罰則強化」
程度の歩み寄りしか示さなかったと聞いている。
まず市民が自らの環境への化学物質からする負荷を知る権利すら明記できないようで
あっては、なんのための新法案かと言いたい。
反対し、政府案の足らざる点をさらに追求することこそ、市民のための判断といえよう。