国会通信 No.410
【東海村臨界事故発生】
1999/10/4 (マンデーレポート第410回の要旨)
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【先週の出来事】
●1日(金)PM3:30 民主党の両院議員総会 開催。
鳩山新代表が就任あいさつ。
強大な自自公政権に対抗する決意を表明した。
そして
人事面 (羽田幹事長留任、菅政調会長就任が主な軸)
組織面 (政策面の「政務役員会」と党務の「常任幹事会」の二本柱)を
提案し、満場一致で了承された。
なお、私自身は新たに「常任幹事」と「国際交流委員長」に任命された。
●同日 PM4:00 民主党 東海原子力事故対策本部の緊急ヒアリングを実施。
前日に発生した、東海村JCO臨界事故への対応のために
鳩山代表を本部長とする上記対策本部を設置。
この日午前中はいち早く現地調査を行った。
その結果を報告するとともに、科技庁、エネ庁、そしてJCO関係者
を緊急聴取した。
その内容については、後記。
●3日(日) 宇都宮市会議員13名で構成する民主市民連合の研修会で講演。
テーマは、「民主党のめざすもの」。
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【東海村JCO 臨界事故 発生】
ウランが核分裂を連鎖的に続けている状態を「臨界」という。
そして核分裂に伴って発生するエネルギーを利用して発電するのが「原発」である。
原子力発電所は、この「臨界」をコントロールし、暴走しないように何重ものチエック
システムを持っている。
さらに臨界を止めるシステムも当然用意している。
さらに、
人体に有害な影響をもたらす「中性子」やその他の放射線を防御する堅牢な構造基準を
持っている。
しかし、今回臨界が発生したのは、これら通常想定されていた場所とはまったく異なった
場所であった。
核燃料を製造する工場。
そもそも臨界が起こりようもないと考えられていた場所。
そこから「臨界」が発生したのである。
● 事故発生の初動の状況
9月30日 AM10:35
東海村の役場やJR東海駅の北西約2キロにある
(株)JCO(旧社名 日本核燃料コンバージョン)のエリアモニターが
突然吹鳴した。
初動の段階で会社は、被爆した3人の従業員の救急搬送、その他の従業員への
非難指令等に忙殺され、外部への事故の第一報の発信は、事故発生後一時間
以上経過した
AM 11:37となる。
11:51 消防車到着。
11:52 救急車により3名を搬出。
12:15 外部第二報(周辺線量の測定結果)発信。
12:35 村の放送あり。
「JCOで事故発生、放射線物質が漏れた様子。
周辺住民は避難のこと。」
12:46 村の放送。
「住民は外に出ないように」
13:18 所長より、県と村に対し住民避難の要請を行う。
以上の経過事実を見ただけでも
初動の対応が適切でなかったことは明かである。
自らの従業員対策のほうを優先して、住民への被害拡大を防ぐ事への対応は、
あとまわしになってしまった。
● 被爆の状況
作業委員は 多い人で、8000ミリシーベルトの被ばくであった。
ビキニ環礁で被ばくした第5福竜丸でも4000ミリシーベルト程度だった。
一搬の許容限度は年間で1_シーベルトから、その被ばくのすごさが実感できよう。
● 株式会社JCOの概要
資本金 十億円 株主 住友金属鉱山の100%出資会社。
事業内容:原子燃料の製造販売。ウラン化合物の精製売買。その他。
● 事故原因と事故状況推定
通常は
1 溶解塔(原料の8酸化ウランを硝酸の溶液で溶かす)
2 貯塔 (貯塔は直径制限あり。ここで1から送られてきた溶液を窒素ガスで攪拌混合)
3 沈殿槽(2から送られてきた溶液を沈殿させ、沈殿したものをやがて仮焼する)
といった工程をとおる。
しかし、なぜか今回の事故では、2がスキップされ、溶解塔から直ちに沈殿槽に溶液が
注がれてしまった。
さらに、今回精製されていたのは、濃縮度の低い軽水炉用(4%)ではなく高速
増殖実験炉「常陽」用の濃縮度が高い(19%)もの。
そのために沈殿槽に注がれる上限を2.3キログラムとしているはずなのに、その制限の
7倍の16キログラムが注がれていた。
整理すると以下の3点が重なって「臨界」に達してしまったものと思われる。
1 工程省略 (貯塔をスキップした)
2 過重 (高濃縮度のウラン溶液が、過大に集中。制限重量の7倍)
3 形状制限なし(「貯塔」は臨界しにくいよう直径制限その他の構造になっている。
長細い形状。これに対し「沈殿槽」は沈殿が主目的のため、直径制限
なしの臨界を防止するなどの考慮がない装置)
●疑問・感想
1 今回限りの人為的ミスだったのか。
単なる、過失ではないような感じがする。たとえば、上記「貯塔」省略をする際に
「溶解塔」と「沈殿槽」をわざわざ「ロート管」でつないであったと説明した。
むしろ恒常的に工程省略=違法作業をやっていたのではないか。
2 16キロのウランを扱っていたのが、たった3人とは。
半径10キロ圏の生命や健康に重大な害をもたらしかねないウラン化合物の精製に
携わっていたのがたった3人とは。
工程に関与する人間の数がこの程度では、相互チエックの可能性はきわめて低い。
危険防止のシステム設計自体が不充分であった事を示している。
3 安全基準の全体的な見なおしを核分裂が目に見える施設=すなわち「原発」
そのものに対しては厳重な危険防止のシステムが二重三重にはりめぐらしてある。
しかし、今回やっと明らかになったように、関連施設全体の安全管理システムは
万全ではないようである。
4 間違える事を前提にしたマニュアルやシステムを人の注意力のみに依存した
システムは必ず誤りを犯すものである。
仮に、人間が誤った行動に出た場合は、必ずそれを阻止できるようなシステムに
すべきです。
また人為に変わってメカが対応するウエートも高めていくべきであろう。