国会通信 No.422

 【「情報平和主義」宣言】

2000/1/4 (マンデーレポート第422回の要旨)


【情報平和主義宣言(2025年の展望)】   ●手始めに、21世紀の第1クォーターを考えよう。  いよいよ2000年代が始まった。  新しい千年紀の幕開けにあたって、四半世紀単位の発想をおすすめしたい。  よく100年の大計と言うが、変化のスピードが急激な現状では、100年幅の構想を  立てるのは容易ではない。  その点25年くらいが、現実的な想像のハバとしてちょうど良いところである。  そのころ日本は少子高齢化がピークを迎え、また多くの経済学者が、中国は日本を抜い  てGNP世界第2位の経済大国になっていると推測している。  そんなわけで21世紀の第1クォーターを構想するのが有益である。 ●アメリカの発想はどうなっているか  昨年9月15日、合衆国21世紀小委員会が「New Coming World」というレポートを発表  した。  この委員会は、クリントン大統領が2期で退任したあと、次の大統領に引き継ぐべき  安全保障戦略についての提案をまとめるのがその任務である。  共和党の前下院議長であったニュートギングリッジ氏も委員に名を連ねており、超党派  の英知を集めた、けっこう力の入ったレポートである。  そして、その内容を一べつしただけで分かるのは、アメリカの強い自信と自負である。  たとえば、「将来の展望」の12のポイントの第一番目にあげられているのは  「1.経済的に強力な米国は、2025年まで主要な政治、軍事及び文化的勢力であり続け  る。そして米国は今後も国際環境の形成に重要な役割を果たす。」  まさにウイルソン主義と言われる伝統的な「AMERICA'S NO 1」の認識が明らかにされて  いる。   また、「9. 米国の軍事力は世界第一であり続ける。」としたうえで、  「12. 米国に対する多様で複雑な脅威に直面するときは、同盟国への依存を強くする。  しかし信頼できる同盟関係の形成および維持は困難となる。」とし同盟関係の変化に  ついても注意を喚起している。 ●米中対立激化のなかで果たすべきわが国の役割  このように考えるアメリカにとって、恐らく21世紀の第一4半期のアジアの構図は  緊張感の高まる米中関係である。  この基本構図を背景にしてわれわれが考えておかねばならないことは、このような  両超大国の間にはさまれたわが国のとるべき国際的な進路である。  日米関係の基軸は変えるべきではない。  しかしアメリカ追従主義のままでは、日中の緊張感は深まるばかりである。  私は、わが国が果たすべき役割は、米中間の緊張を緩和することだと思う。  このような米中対立のモデレーターとしての役割こそ、わが国にふさわしい  行き方である。  そしてこのようなモデレーターの役割を、もっとも効果的に演じられるような  わが国の国際的なヴィジョンをしっかりと構想すべきであろう。  別な角度から言えば、新しい安定した国際的な新秩序形成のために、  わが国が行える事はなんなのかをしっかりと構想しておくべきである。 ●情報平和主義の提案  以上の観点にたって、私は情報平和主義の提案をしたい。  情報平和主義とは私の造語である。  情報平和主義とは、「情報による平和と信頼の創造」のことである。  1 すべての紛争の原因は人間の誤解と偏見のもとづく。    情報平和主義は、情報ネットワークの国際的な拡大によって、人種、信条、習俗を    超えた、国際的な信頼関係の醸成を目的とする。そして、誤解と偏見にもとづく    殺戮や紛争の究極的な根絶をめざすものである。  2 情報平和主義は、コンピューターネットワークの自由で自発的な意思形成の    特性を最大限に尊重する。    そしてこの特性が、より良く発揮できるような法制的・技術的な環境を整え、    この環境を損なおうとする直接的間接的な攻撃に対して断固として戦うものである。  3 情報平和主義は、コンピューターネットワークが、世界の富める国の国民も、    また貧しき国の国民も、言語の差を乗り越え、安価でかつ簡易に意思疎通が    できるよう最大限の努力を払う。    そしてコンピューターネットワークが、やがて地球市民社会の必要不可欠のインフ    ラに成長することをめざす。  4 情報平和主義は、今後当然予想される、情報先進国と、情報途上国の間に    起こりうる、新たな情報紛争の調停者となるべきである。    情報先進国が陥りやすい身勝手な情報覇権主義や、情報途上国が陥りかねない    情報孤立主義、そのいずれもが世界の安定した秩序の阻害要因となりうる。    情報平和主義は、その両者の間に立った緩衝剤としての役割を常に意識して    果たして行くべきである。  5 わが国にとって情報平和主義は、情報政策のみならず、経済政策、外交政策、    文化政策の統合する基本的目的とすべきである。すなわち、21世紀のわが国の    めざすべき基本的指針こそ情報平和主義と考えるべきである。    わが国の情報政策や外交政策の基本に、この情報平和主義の実現    (=情報による平和の創造)を位置付け、この点での積極的な国際貢献を行うべき    である。    そして情報先進国と情報途上国との間で起こるであろうさまざまな対立を和らげる    調整者(モデレーター)としての世界の平和と安定、諸国民の信頼の創造にわが国    は尽力すべきである。    これがすなわち私の21世紀構想である。   ●情報平和主義の政策メニュー  1 情報平和主義のための国際研究センターを設置する。    そこでグローバルな市民対話の実現を目指し、多国籍の学者や研究者による、    さまざまな研究を行う。        たとえば、多数の異言語を共同研究し、言語の障壁をとりのぞいて、    自由に話ができるようなシステムを、ハード面とソフト面から研究し完成する。    Ex 超軽量、超高速の同時通訳機の創造。      また、障害者のためのコンピューター利用の増進を目指して    コンピューターインターフェースの共同研究を行う。  2 コンピューターを通した意思疎通のための基本的なエチケットやルールを作り、    世界全体の共通インフラとしての情報環境向上のための国際機関を設置する。      (E-コマース等の経済的な利用についての国際会議は頻繁にあるが、     コミュニケーションのルール作りにづいての国際的な動きはまだまだ     不活発である。)  3 情報についての各種トラブルに対応できる斡旋・調停等の機能を持った    情報紛争処理機関を設置する。  4 情報インフラ整備のためのサポート集団を設置し要請に応じて各国に派遣する。    (ノウハウ、技術指導。コンサルタント。その他。)