国会通信 No.429
【パテント戦争を勝ち抜くためには】
2000/2/21 (マンデーレポート第429回の要旨)
●現在、中央公論に「アメリカの新たな挑戦状」を連載中の岸さん。
先日聞いた彼の話は大変刺激的で面白かった。
●特に 1)発明概念の日米の差が問題の根源
2)金融特許における日米の圧倒的な格差
との二つの指摘は、とても有益だった。
●「発明」概念の日米の差
日米両国の特許法を比較して見ると
日本 特許法2条=
「発明とは自然法則を利用した技術的思想の創作のうち
高度のもの」
米国 特許法101条=
「新規かつ有用な方法、機械、製品あるいは組成物、
またはそれらについての新規かつ有用な改良を発明
または発見した者は、、、、特許を受けることができる。」
となっている。
※アメリカは「方法」もいれており、日本より広い。
※アメリカは発明のみならず「発見」も含めており、日本より広い。
など、日本の特許法は
「自然科学的」「工学的」な狭さを強く感じる。
●ビジネス特許などの、経済活動のノウハウにまで、
特許を拡張的に考えるアメリカとの差は、
まず特許法の基本的な考えかたの違いから生じている。
●金融ビジネス特許の日米差
まず、金融ビジネスにおける主要技術の日米特許比較をしてみると、、、
主要技術 日本 米国
セキュリタイゼーション 出願なし 多様な担保をもっ
(証券化技術) た証券化の特許あり
デリバティブ 出願なし 100件を超える特許
あり
など、日本の特許出願が非常に少ないのが歴然としている。
●これから、電子商取引はますます盛んになるが、
パテントの面では日米の圧倒的な差はさらに拡大するばかりである。
さらに、このような金融ビジネスの新手法についての
開発研究体制もきわめて遅れているようである。
これに対し、アメリカはまさに特許の対象を、
自然科学的な分野から、経済学的な分野にまで急激に拡大している。
●特許は属地主義であり、アメリカでの特許でも日本で特許として
認める必要はない。
しかし、経済のグローバル化の中で、世界最大の自由市場である
アメリカの取り扱い例が、事実上の世界標準になる例は
枚挙にいとまがない。
●特許の対象である発明概念の日米の差、
これを放置しておけばますますわが国の状況は不利になるのではないか。
●わが国の特許法2条を、ただちにアメリカ並に改正する
事の危険性はある。体制の遅れたままで、アメリカ並にすると、
当座はアメリカの有利な状況をさらに強くすることになるからである。
●しかし、このまま放置すると、日米の格差はますます
拡大するのは必至である。
そして絶望的なまでに差がついた後での門戸開放は、
さらに取り返しのつかない打撃をわが国に与えるであろう。
このような事態を避けるためにも、特許法2条の改正を含む
抜本的なパテント戦略を早急に立ち上げる必要がある。