国会通信 No.449


 【民主党版ヤングレポート1】

2000/7/17 (マンデーレポート第449回の要旨)


【先週の出来事】 ■10日(月) ●8:00〜9:30 マンデーレポート第448回。 ■11日(火) 8:30〜 9:30 県執行部との懇談会。 10:30〜11:30 鳩山代表と今後の外交日程について協議。 11:30〜12:30 サミット対策本部 開催。    サミット期間中、各国から沖縄にかけつけた  NGOの団体と意見交換の機会をつくる事を決めました。  ■13日(木) 13:00〜14:00 民主党参議院役員選挙管理委員会開催。 ■14日(金) 10:00〜12:00 国道4号余笹橋の開通記念式典に参加。  ■16日(日) 14:00〜17:00水島広子衆議院議員の公募した秘書の面接を行う。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  沖縄サミットでは、IT革命が脚光を浴びている。  このIT革命の流れに乗り、  知的財産権(Intellectual Property Right)の  明確な戦略を立てながら経済再生に成功したのがアメリカであった。  このアメリカの戦略を象徴するのは1985年に発表された  ヤングレポートである。  民主党にあっては、21世紀の日本の経済戦略の基本に、  わが国独自の知的財産権戦略を位置づけるべく、  昨年以来 知的財産権戦略PTを設立し、  その検討結果をまとめて、  このたび    『はばたけ 知的冒険者たち        知的財産権についての21世紀戦略 (民主党IP戦略)』  として発表した。  私が座長として取りまとめたものであるが、  民主党版「ヤングレポート」として中央公論の7月号でも  解説記事が掲載された。以下その内容を紹介する。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 第一 知的財産権(IP=Intellectual Property)を    制する者は世界を制す (略) 第二 特許をめぐるわが国の危機的状況                次代をになう技術として誰もが指摘するのは、情報通信分野であり、    遺伝子工学である。そしてさらに最近注目されているのは、    金融ビジネス特許の分野である。    しかし、これらの重要な分野でわが国はアメリカから    かなり遅れを取ってしまったのは明かである。    1980年代の成功におごり、さらにその後のバブル崩壊の後遺症で、    アメリカのみならず、台湾や韓国にも遅れをとろうとしている    分野が出現している。      昨年特許庁は、コンピューターの心臓部をなす「システムLSI」、    21世紀の金融システムの鍵を握ると予測される「金融ビジネス特許」、    そして「遺伝子工学」の3分野をしぼり日米の技術力格差をチエックした。    インターネットで公開されている調査結果を要約すると以下の通りである。 ■ システムLSIについての日本の特許の現状。  まずシステムLSIとは、高度に集積された、  高速のそして多数の機能システムを持つ、小さな半導体チップに  ふんだんに盛りこまれた高付加価値の回路のこと。  通信や、音楽など、それぞれのアプリケーションに  対応するように設計されている。  これからのコンピューターの心臓部分である。   このシステムLSIの根幹をなす4つの要素技術について、  日米の技術力比較をするとどうなるか?  結果は圧倒的な米国優位であることが明白である。   @ マイクロプロセッサー関連技術     (米:日=73:18)   A 膨大な情報処理を可能にするCAD技術 ( 〃 =71:21)   B 廉価で信頼性の高い検証技術      ( 〃 =54:21)   C 微細なプロセス加工技術        ( 〃 =42:26)    以上のように4つの要素技術のうち@〜Bの三つについては  米国が圧倒的に優位に立っている。  がんばっているのは C微細なプロセス加工技術であるが、  これにしても米国の42%に対して日本は26%。  見方を変えれば研究開発はアメリカでやって、生産技術は国外に、  という役割分担が確立している事の証拠かもしれないのである。 ■ 金融ビジネス特許の日米比較 1) 金融ビジネス特許とは    コンピュータ技術、通信技術の進歩、そしてインターネット  人口の急激な増加を背景に、これら基礎技術と経済法則を利用する  経済システム(ビジネスモデル)が密接に関連をもった特許のこと。  この流れは新たな金融商品を生み出している。 2)これらの金融関係の技術の主なものは以下の通りである。  ◆セキュリタイゼーション(証券化:Securitization):    銀行、企業などが所有する(住宅ローン、自動車ローン等)債権を    証券の形で流動化し、不特定多数の投資家に販売、資金の調達を行うこと。 ◆デリバティブ (金融派生商品:derivatives) :     通貨、金利、債券、株式を対象とした、    先物、先渡、オプション、スワップといった取引の総称。 ◆VAR (Value at Risk):     投資をするときに見込んでおくべき妥当な損失額を想定する技術。 ◆ALM (資産負債の総合管理:Asset Liability Management):    銀行であれば、預金と貸出しの金利・期間を把握して、    どの程度の流動性ないしは金利リスクを負っているかを    理解した上で必要な調整を行い、リスクの最小化と収益の    最大化を図ること。 3)邦銀はほとんど特許を持っていない。   1994年〜97年にかけて米国の金融機関が米国の   特許商標庁で獲得した金融ビジネス特許は90件。   これに対し、日本の金融機関が日本の特許庁で認められた特許は3件に過ぎない。 ※日米の金融ビジネス特許の現状 ◆Securitization   (日)出願なし(米) 様々な担保による証券化が特許となっている ◆Derivatives  (日)出願なし (米) 新規なオプション取引などデリバティブ自体   ◆VAR   (日) 単一取引のリスク把握 (米)複合取引により生じるリスクの把握  ◆ALM  (日)金利変動に基づく伝統的な管理   (米) キャッシュフローに基づく統合的な管理 4)世界の金融機関の急激にして大規模な再編成の背後にあるのは、   実はこのような金融ビジネス特許の開発に必要な大規模な投資を   実現するためなのである。   しかし、この点の邦銀の開発能力は極端に遅れている。   この状態を放置したままでいると、米銀に対し、   莫大なロイヤリティー(=特許使用量)を払わねばならない状況に   必ず陥るであろう。 ■遺伝子工学についての特許状況     イネゲノムについては、日本の農業生物資源研究所が  はじめて塩基地図の全部を完成させた。  またヒトゲノムについても、日本の慶応大学の清水信義教授を  中心にしたチームと英米のチームが協力してヒト22番染色体の  構造の全貌を世界に先駆けて解明するなど、優れた業績もある。  しかし、基本技術や実用化技術は完全に米国が先行している。  この分野では、遺伝子地図そのものを特許の対象とすべきかどうかで、  現在も激しい争いがある。  政府や、あるいはその助成を受けた機関は、  遺伝子地図自体を特許の対象とすべきではないとする点で、  ほぼ足並みをそろえ、協調的な研究体制、そして成果としての地図は  全部公開する等の合意はできている。  しかし、アメリカのセレーラ社に代表されるような企業は、  どこよりも早く遺伝子地図を解明し、特許対象にしてしまおうと  考えている企業もある。  この問題についての国際的なルール作りを急ぐべきである。 ◆◇次週は知的財産権の戦略