国会通信 No.450


 【民主党版ヤングレポート2】

2000/7/24 (マンデーレポート第450回の要旨)


【先週の出来事】 ■17日(月)   ●8:00〜9:30 マンデーレポート第449回。 ■18日(火)  ●10:00〜12:00 常任幹事会。  ※代表選挙を9月上旬に実施する事を決定。  ●13:00〜17:30 金融特別委員会。  ※そごう問題についての集中質疑を行った。  閣議で決定した「公費導入・救済」の方向を、予期した以上の世論の反発を受けて、  総理と与党政調会長が簡単に覆して行く。  閣議決定とはそんなに軽いものなのか。  みずから主宰した決定を、なんの説明もなく事実上無意味にしてしまったことは、  民主主義のルールから言って大いに問題である。  また、総理は情勢判断を誤った事の責任をとるべきである。 ■19日(木) ●15:00〜16:00 東京財団主催のインターネット国際会議に参加。  ※竹中平蔵さんや孫正義さんの話を聞く。  その他世界中から錚々たる人たちが集まった。  席上、その日の午前中森総理と皆さんが懇談したときの話が披露された。  出席者の中にヤフーの創立者の方がいたのだが、ヤフーの存在は前日はじめて  知ったそうで、IT革命についての総理の認識がきわめて浅薄であることが  はしなくも明かになった。  ところで、この日の日刊ゲンダイに載っていた森さんの実話?は大笑いだった。  連休中、サミット参加国の首脳を歴訪した森さん。  クリントン大統領にどう挨拶したら良いのかと外務官僚にアドバイスを求めたとか。  曰く、まずは「How are you?」と言い、相手が「I'm fine thank you, and you?」  と答えたら「Me ,too.」と応じれば良いと。  さて、クリントンさんと面会した森さん。まずのっけからつまずいた。  How are you? を なんと Who are you? (「あなたは誰?」)とやってしまったそうな。  しかし、むっとしながらさすがは大統領、多分ジョークなんだ、  それならジョークで返そうと「I'm Hillaree's husband.」と答えたそうな。  そしてこれに対してすかさず森さんは、「Me ,too.」(「私もそうなんだ」)と答えたそうな。  ちょっとできすぎの感じもする。しかし、ジャクリーン夫人の人気の高さをジョークにして、  「私はジャクリーンの夫です」とやったのはケネディ大統領。  クリントンもケネディーの信奉者の一人だから、このやり取りはあながち作り事ではないかもしれない。 ■20日(木) ● 8:00〜10:00 ロマーノ・プロディー欧州連合委員長と鳩山代表、菅政調会長ら会見。  国際交流委員長として同席。 ■21日(金) ●18:00〜21:00 民主党県連 幹事会。      ※衆議院選挙の総括 民主党の県連組織の態勢強化の意見が多かった。  ※次期参議院選挙の対策本部の設置を決定。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇     知的財産権 総合戦略 (2)  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆           コンピューターと、遺伝子工学、そして金融ビジネスの3分野こそ21世紀経済のポイントである。 しかし、その3分野における知的財産権の現状において、日本とアメリカの格差が急速に拡大している 事への警鐘を鳴らしたのが先週のレポートであった。 今週から、これからの日本経済のポイントである知的財産権の戦略提案を具体的に述べて行きたい。 今週は知的財産権についての総合的な法体系整備についての提案をしたい。 ■ 知的財産権のための法体系を整備せよ。 ●まず憲法を変えよう。    =知的財産権を憲法に規定せよ。  21世紀の経済活動の中心に知的財産権を位置付けるためにもっとも必要なことは、 国民ひとりひとりに知的財産権の重要性を強く認識してもらうこと、そして社会全体に 知的冒険に挑む気風を満ち溢れさせることが大切である。米国憲法1条8項8号は、著 述及び発明についての保護をうたっている。このことが、米国における知的創造活動に 常に追い風をふかせてきたことは言うまでもない。現在わが国においても憲法調査会に おいて憲法についてのさまざまな論議が活発化している。この際、知的財産権について 憲法上に明確な規定を置き、国民のひとりひとりが知的創造活動にまい進できるような 環境をつくり出すべきである。 (参考)   米国憲法1条8項8号 「議会は、著作者および発明者に対して、一定期間それぞれの著述及び発明について排 他的権利を保障することにより、科学及び有用な技術の進歩の促進を図る権限を有する。」   ●タテワリの法律を統合しよう。   =著作権、特許権などの知的財産権を統括する法体系の整備を。  伝統的な著作権、特許権の概念は、コンピューターの出現と高度情報社会の誕生により 双方を区別して論じることがかえって実態に合わなくなりつつある。特にわが国は、映像、 音声等のアプリケーションの分野では強みを持ち、アニメーションやゲームソフトなど、 マルチメディア時代のコンテンツの分野では世界をリードしてきた。  しかし、著作権=文化庁、特許権=特許庁といった「たてわり行政」のしがらみにと らわれ、権利の創造あるいは権利保護の側面では、万全の体制になっていなかった。  米国は、1998年10月に著作権法の改正を行い、コンテンツのコピー防止技術を迂回す ることを禁止する規定等の新たな立法を行い、わが国もこれにならって今年著作権法を 改正したが、これらの新たな動きも含めて、知的創造活動がさらに活発に行われるよう にするため、知的財産権全体を統括できるような法体系の整備に取り組むべきである。 (参考) 日本における知的財産権のカタログ =著作権、工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)、半導体回路パターン、  不正競争防止法のトレードシークレット。 米国の知的財産権のカタログ =著作権、特許権、トレードマーク(商標)、半導体回路パターン、トレードシークレット ●タテワリ行政を統合する組織を作ろう。    =知財戦略実行委員会の設置 世界の産業情勢について検証し、我が国のある産業分野の優位不利等を認定し、戦略を 立案する機関を内閣府のもとに設置する。  また、この委員会は、知的財産権に関する行政を統括するとともに、著作権、特許権 等の個別知的財産権についての統合的な戦略決定を行う。 さらに、その人材は、官庁だけでなく、民間の優秀な人材も委員に登用する。 ●日本の特許概念は固すぎて、IT革命に対応できない。    =特許概念を変更せよ。(特許法2条の改正)  日本において発明とは、特許法2条において「自然法則を利用した技術的思想の創作 のうち高度なもの」と定義されている。このため、従来は、特許は、「新規性」「進歩 性」「産業上の利用(有用性)」を満たして成立すると考えられてきた。このため原則 として、製品や技術は発明の対象になるが、サービスは対象にならないと解釈されてきた。  しかし、アメリカの特許法の特許概念は、日本のそれとはかなり様相を異にしている。 「新規かつ有用な方法」も「新規かつ有用な発見」も特許の対象にしているのが米国特許法 101条である。このような背景の中で、アメリカはインターネットなどの情報処理 システムを使ったアイデアに、新規性や進歩性を認められれば、特許を認める方向にな ってきた。モノのみならず、インターネットを使ったサービスにも特許を認めるように なっている。その代表が先に紹介した金融ビジネス特許である。  この分野でわが国が著しい遅れをとっていることは前記の通りである。なぜ遅れたか。 その理由は、複数ある。例えば護送船団方式に甘やかされた金融機関に、新商品の開発 意欲が生じなかったことも大きな理由であろう。  しかし、それだけではない。わが国の特許法2条の存在である。同条は、特許の定義 を、自然法則を利用した技術的創作であるとしていた。すなわち日本の特許は、技術を 駆使した工学部的な製品と一般的に考えられてきたことも、研究開発を遅らせた大きな 原因と思われる。  しかし、これを放置するわけにはいかない。なぜなら、わが国の金融機関は莫大なロ イヤルティー(=特許使用料)を米国等の特許権者に払うことになるなど、国境を越え た電子商取引が一般化する国際化時代にあって甚大な損失をこうむることになるからである。 それは結果として、金融コストの上昇につながり、最終的には日本の預金者の利益を知 らないうちに奪って行くのである。このような状況を座視するわけにはいかない。 金融ビジネスモデル特許等の新分野での競争力をつけるための総合的な戦略を策定すべきである。 その基本として自然科学に過度に傾斜しているわが国の特許概念を、アメリカ並に見な おすべき8である。そこで、この特許法2条の考え方を改め、「サービス等の方法」や 「新規かつ有用な発見」も特許の対象にするよう特許概念を抜本的に改革すべきである。  なおその際、国際協調を前提とした我が国特許戦略上、諸外国との連携や共同研究な どを行い、統一した定義の確立に努めるべきである。 (参考) 特許概念の日米比較  日本 特許法2条1項  「この法律で発明とは、自然法則を利用した技術的思想のうち高度のものを言う」     米国 特許法100条  「本法において(a)「発明」とは発明及び発見を言う。   (b)「方法」とは方法、技術、メソッド、既知の方法、機械、製品、組成物    または材料の新しい用途を含む。       同法101条  「新規かつ有用な方法、機械、製品、組成物、またはそれらについての新規かつ有用な   改良を発明または発見した者は、本法の定める条件及び要求にしたがって、それに対   して特許を受けることができる。」 (次回は 知的創造のためのインフラ整備戦略 )