国会通信 No.485

 【小泉フィーバー】

2001/5/7 (マンデーレポート第485回の要旨)


    【小泉フィーバー】 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ♪♪♪ 長い連休があけ、いよいよ小泉内閣との本格的な     論戦が開始されます。緊張感を高めながら、がんばります                           ♪♪♪ ●【小泉フィーバー】   かなりの高い支持率を予想していましたが、細川政権を上回る   90%近い驚異的な高さまでは読めませんでした。正直驚いて   ます。 ●【高支持率の理由】   考えられるのは  @まず国民の側に、現状打破への期待感が強烈に   高まっていること。    A自民党を象徴する最大派閥の橋本派に圧勝したこと。   しかも勝利は、地方党員の圧倒的な支持が導いたこと。  Bその後の党内人事と、閣僚人事で、女性若手の登用を   断行し、派閥論理をこえた実績を見せつけたこと。   などがあげられるでしょう。   また、この驚異的な高さは、1年余にわたって見せつけられた   森総理への憤懣の反動という側面もあると思います。 ●【反動が怖い】   ただ、このあまりの高さに、小泉さん周辺も戸惑いと恐れを   感じているのではないでしょうか。   石原行革大臣も、「富士山どころではない、エベレストの   頂点にたった感じだ」との感想をもらしています。   政権担当の当初から、最高度の支持率を得てしまった   ということは、「あとは下がるしかない」ことを意味して   いるのではないか、そんな恐れを抱くものです。   しかも、政治は最後は実績です。結果です。人事で、   期待に応えることはできても、政策で結果がだせるか   どうかはこれからです。   仮に 結果を出せなかったとしたら、そのときの国民の   間に起こるであろう失望と虚無を予測すると、空恐ろしい   ものを感じます。   小泉内閣は、こんな恐れと戦いながら走りつづけねば   ならないのです。ライバルながら、思わずエールを送り   たくなります。 ●【戦略家の小泉さん】   小泉さんは、なかなかの戦略家だと思います。   現在の自分にとって最大必要なものは「党内の支持よりも、   国民の支持」であるということをよく理解しています。   政権の命運をかけた人事に、橋本派排除を貫徹したこと、   また盟友の山崎拓さんを幹事長に登用しながらも、   閣僚人事ではあえて山崎さんの要望を拒否したことなど、   国民の期待にそった行動をとることを戦略の最優先課題と   しているのではないでしょうか。 ●【唐突な憲法改正】   総理就任後の初会見で、首相公選論を強調し、憲法改正を   言い出したのも、実は小泉戦略の一環であると思います。   具体的な政策展開ではなかなか結果を出せないかもしれない、   小泉さんは、すでにこんな予測も立てながら、国民の   視点をそらそうとしている、私にはそう感じられます。   現実の政策論議から、遠大な憲法改正論議へと。 ●【浅薄な憲法論議】   小泉さんの憲法論議は、どうもお手軽な感じで、私には   違和感があります。   「国民にとって受け入れやすいのは、   首相公選だ、だから首相公選から憲法改正に着手すれば   よい。」小泉さんはこのように考えているようですが、   まずはじめに改正ありきで、そのために首相公選を利用   するかのような便宜的な言い方は問題があります。 ●【首相公選論の論拠はなに】   また首相公選がなぜ必要なのか、肝心な論拠が触れら   れてはいません。なぜ、憲法改正をしてまで、首相公選   が必要なのかを明確にすべきです。 ●【優先課題は経済改革では】   さらに、今の日本にとってもっとも重要な課題は、   経済問題です。それを最優先の課題にすべきときなのに、   緊急性におとり、膨大なエネルギーを必要とする憲法論議   を持ち込もうとするのか、私には理解できません。 ●【民主党が問われている】   ところで、小泉総理の出現は民主党にとっても、大変な   影響をもたらします。 @ (組織論のレベル)   自民党は、党員による民主的な総裁選出を実現しました。   民主党はこれができるでしょうか。 A (政策論のレベル)   小泉さんは、野党の政策を先取りしても良い、とまで   言い切っているように、政策的な差別化をどうするのか    民主党は問われています。 ●【敵失だよりの安易さ】   いままでの民主党は、「敵失だより」の気楽な政党に   成り下がっていたのではないか、こんな厳しい自己批判   をすべきではないかと思います。黙っていても、   自民党は転んでくれる、そしてそれを待っていれば   政権交代は実現できる、などと思っていたら大間違いです。 ●【厳しい党内論議を】     過去の「君が代日の丸」法案にしても、また今度の教科書   問題にしても、基本的な歴史認識の問題すら論議を   まとめられないような政党が政権の担い手になれるはずが   ありません。   両論併記の先送りを許してきたのも、敵失待ちの気楽さの   結果だったのです。   しかし、これからは違います。強力なライバル小泉さんの   出現によって、ギリギリの党内論議が迫られます。 ●【果敢な路線論争も必要】   どこかの新聞で、北海道大学教授の山口二郎さんが、   民主党は路線論争を避けてはならない、と提言しているのを   読みました。同感です。歴史認識の問題、中台関係などの   外交問題や安全保障、規制撤廃とセーフティーネットの   関係などの経済問題、など重要な課題で逃げてきたテーマが   結構あります。それらについての、ギリギリの激しい論争を   避けてきたのが、いままでの民主党です。   これを、乗り越えてこそ本当の政権政党になれると思います。 ●【旧民主と新民主】   民主党という政党が出発したのは96年の9月でした。   そしてそれが拡大したのが98年の4月、前年に分裂した   旧新進党系の議員が参加し、現在の民主党が出発しました。   旧民主の政策と新民主の政策のすりあわせがどのように   行われたのか、いま改めて検証する必要があるのでは   ないでしょうか。 ●【旧民主党のゼロ番政策】   ちなみに、歴史認識については、旧民主党はその基本政策   のゼロ番にあげていました。なぜゼロ番にしたかというと   この問題を民主党の原点として強調しておきたかったからです。   以下に原文のままご紹介いたします。これが現在の民主党   にもきっちりと引き継がれていれば、国旗国家法案の際の   混乱など起こらなかったのではないでしょうか。 (0) 信頼と協力のネットワークを拡げる   ――新党の歴史認識―― 明治憲法体制確立以来の「追い付き追い越せ」の100年間 は、同時に「脱亜」の一世紀であり、日本の経済成長や繁栄 はアジアの人々との共生を欠いた一国中心主義的なものであ った。それはまた、国内にあっては、開発中心の官主導社会 を生み出してきた。官主導の国家中心型社会は、依存と責任 意識を欠いた政治を生み、現在に至っても無責任政治をもた らしている。戦後の半世紀を迎えたいま、改めてその無責任 体制を変革する課題が残されている。私たちは、この課題に 挑戦することを第一の使命として新しい政治集団の創設に臨 みたい。 そして、日本社会は何よりも、アジアの人々に対する植民 地支配と侵略戦争に対する明瞭な責任を果たさずに今日を迎 えている。21世紀に向け、アジアと世界の人々との信頼を 取り戻すため、アジアの国々の多様な歴史を認識することを 基本に、過去の戦争によって引き起こされた元従軍慰安婦な どの問題に対する深い反省と謝罪を明確にする。そうした過 ちを再び繰り返さないための平和アピールを全世界に向かっ て発信する。  このなかで私たちは、一定の歴史観を押しつけることなく、 歴史的事実をめぐるアジアの人々との認識のズレを克服し、 過去の問題にはっきりと決着をつける必要がある。そして、 過去の重荷がアジアをめぐる現実の諸問題に対する認識や対 応に曇りを生じるようなことは、厳に戒めなければならない。   21世紀を迎えようとしている今日、アジア地域はそのめ まぐるしい経済発展とともに、多様な民主主義を実現している。 同時に、市民のエネルギーが国境を超えて相互に結びつき、 環境問題や女性政策、人権政策などについての共通の取り組み が生まれている。私たちは、過去への反省を基本としつつも、 未来に向う新しい絆に着目し、21世紀に向けて信頼と協力 のネットワークをアジアから世界へと拡げていきたいと考え る。