国会通信 No.512

 【承認問題】

2001/12/3 (マンデーレポート512回の要旨)


●30日(金)の参議院本会議で、自衛隊承認問題についての採決が  行われた。この問題では民主党内で意見がわれ、衆議院の採決では  20名を超える造反者があった。参議院ではどうかとマスコミ注目の  的だった。 ●参議院では反対者2名。棄権者5名。合わせて7名の造反者が出た。  私は、賛成した。 ●私はかなり深刻に悩んだ。しかし最終的には賛成することに決めた。  以下その理由を説明したい。 ●私が悩んだ最大のポイントは、自衛隊へのシビリアンコントロール  の原則が全く確立されぬままに、海外派遣の既成事実が積み重ねられる  ことへの重大な懸念があるからである。 ●テロ特措法は、自衛隊の撤退要件を明記していない。  またさらに、予算の限度を明記してもいない。これは重大な欠陥である。  なぜなら、世界のシビリアンコントロールの常識から言えば、  「和・戦」の決定と「予算」は議会が決めることが当然とされている  からである。この最低の常識すら欠落しているのが今回のテロ特措法である。  これは、同法が1年間の時限立法であるとか、自衛隊の活動期間が  基本計画で来年5月までの6ヶ月という短期間に過ぎない等の理由で  不備が補える話ではないのである。 ●そもそも、わが国には自衛隊へのシビリアンコントロールの基本原則が  いまもって不明である。調べてみると、この件に関する防衛庁の関係文書は  たった一つしかない。それは昭和40年に防衛庁が国会に提出した  「シビリアンコントロールについて」という報告文書があるのみである。  隊員や指揮官への規範としての意味をもつものは、これ以外に存在していない。  シビリアンコントロールへの関心の低さは疑いようもないのである。 ●これは防衛庁に限ったことではない。国会の論議にしても、マスコミの  理解にしても、この分野への関心と理解の低さは驚くべきである。  一例をあげると、マスコミではシビリアンコントロール=文民統制と  簡単に解説する。しかしこの解釈こそ、国民の理解の低さ、誤解を呼ぶ  もとになっている。文民=非軍人あるいは民主的手続きで選ばれた総理大臣が  軍隊をコントロールすれば、それで事足りるのかといえば、そうではない。  民主的に選ばれた国民の議会が、重要なチエックをすることこそ  シビリアンコントロールの基本なのである。 ●いわゆる55年体制の自社対立は不毛な防衛論議に終始した。そして  多くの弊害をもたらしたがその一つが、シビリアンコントロール論議が  浅い議論で止まってしまったことである。なぜなら、自衛隊は「軍隊」か?  という前提問題で延々と小田原評定を繰り返していたからである。 ●その結果シビリアンコントロールについての基本原則についての深い  論議は行われず、基本原則も確立されぬままPKO法、周辺事態法、  そしてテロ特措法と自衛隊派遣法が続々誕生するようになってしまった。  この由々しき事態になんとか待ったをかける、これが自分の使命であると  思っている。 ●それではこの使命を果たすために私はなにをなすべきか。あるいは  なにをなしてきたか。私は、民主党の部会で、シビリアンコントロール  の原則が確立されずに自衛隊が派遣されることについては反対すべきで  あるとの発言を最初にした。また再三、テロ特措法に基づく基本計画の  なかに撤退要件が明記されていないこと、また自衛隊が派遣されている  他国において政変があり、外国政府の派遣についての「同意」が事実上  意味を失ったときの対応など重要なことが基本計画から抜け落ちている  点など指摘してきた。 ●しかし、最終的に先週22日(木)の部会では意見がまとまらず、  鹿野部会長はネクストキャビネット(民主党の影の内閣)に意見集約を  ゆだねたい旨提案し私はこの提案をやむをえず了承した。  その際、私はこの問題については湾岸戦争のときのアメリカ議会の例を  ひきながら、立法作業では党議拘束はあってよいが、事実問題の「承認」  では各人の判断にゆだねてよいのではと党議拘束をはずすように提案した。  しかし、この件は採用されなかった。結果として、ネクストも意見集約できず  最終段階では鳩山代表一任と言うことになって「賛成」に決まったのである。 ●代表の出した結論は私の考えとは異なった。私はどうすべきか悩んだ。  しかし、 1 シビリアンコントロールを確立するための努力は、今後ともあらゆる   機会を通じて継続すべきであること。 2 そのための基盤として民主党の存在は重要であること。 3 鹿野部会長の判断を了としたことの責任。 4 議運理事としての職責。   等々を考えて承認に賛成することとした。 ●なお、参議院においては自衛隊の行動に歯止めをかけるための最後の  努力をすべきであると考え、外交防衛委員会での質疑内容に部門会議で  でた数々の疑問点を集約し、防衛庁から確認答弁を取るようにしたらどうか  と提案(27日の役員会)。 29日に行われた委員会では、党内で指摘された  疑問点がぶつけられた。限られた時間であったが、重要な答弁も引き出した。  以下重要なやり取りを紹介する。(質疑者は、木俣、秦葉両議員) ■シビリアンコントロール基本法の必要性について  (質問 秦葉)  我が国においてシビリアンコントロールというものは、昭和40年に防衛庁が  国会に提出した「シビリアン・コントロールについて」という文書があるのみで、  国際情勢の新たな変化に全く対応できていないと私は思っています。  この際、例えばシビリアンコントロール基本法であるとかそのようなものを  策定して、シビリアンコントロールの具体的な原則規定等を定めていく必要  があろうかと思うんですけれども、長官はどのようにお考えでしょうか。  (答弁 防衛庁長官)  そういうふうな原則を持つということは必要だというふうに思っており  ますが、その原則については、我が国としてのシビリアンコントロールと  して防衛庁長官や総理大臣は文民でなければなりませんし、重要事項は政府が  安全保障会議を開催をして決定をする、また閣議決定をする、そして国会に  報告をする、そして国会で御審議いただくということで基本原則は成り立っ  ているというふうに思っております。   これは世界各国共通したものであり、具体的なオペレーション等について  は、どの国も軍の行動等については一般的に支障があるという観点で明らか  にしていませんし、また、こういう点についても、米国議会等においては理解  をして政府に対してそのような行為を行わせている、それの基本的な枠内に  おいて行動させていただいているというふうに基本的に思っております。 ■外国の同意が基本的に明記されていないの法律の不備ではないか。  (質問 木俣)  外国の同意が基本計画の中に明記されていないのは法律の不備ではないかと  我々は思っていますが、この御答弁をお願いします。 (答弁 防衛庁長官)  この同意を得るということは法律の基本原則の一つですが、外国の同意に  関しては対応措置の実施に係る法律上の前提条件であることから、あえて  この基本計画の中で項目を立てて示す必要はないというふうに思っています。  外国の同意が得られない状況になれば、通常活動を実施する区域や派遣  する自衛隊の部隊の規模、構成、基本計画に記載されている事項を変更する  ことになるということになるわけですので、その基本計画を変更した場合には  遅滞なく国会に報告するということになるわけです。 ■実施要綱において、撤退の手順等を明らかとすべき。 (質問 木俣)  続いて、一番これ問題だと思っていますが、同僚議員からもありましたが、 撤退の手順です。これを明らかにすべきだと思いますが、この手順を詳細 にお答えいただけますか (防衛庁長官) 不測の事態も起こる可能性もあります。そういうとき、 まず派遣された部隊の長が、そういった事態に至った場合には、活動の 一時休止または避難等によって危険の回避を行います。あわせて、部隊長は 防衛庁長官まで報告をし、防衛庁長官による実施区域の変更もしくは活動の 中断の命令を待ちます。防衛庁長官は、この実施要項において指定した実施 区域の部分が法律や基本計画に定められた要件を満たさないとなった場合に は、速やかに実施区域の指定を変更をするか、そこで実施されている活動を 中断を命令します。  実施区域の指定が変更せられた場合には、部隊長は速やかに変更後の区域に 移動をします。また、中断を命ぜられた場合には、速やかに活動を中断して 部隊の安全を確保すると同時に関係国に連絡をすると。そして、派遣の終了 または活動への復帰の判断に資する情報、資料等の収集を実施をし、長官まで 報告をすると。そして、中断すべき状況が解消した場合には、その状況を長官 まで報告をするというふうな手続、手順になっています。 ■ 国会が撤退すべきと判断した場合においての対応について (質問 木俣)  国会が撤退すべきと判断した場合についての対応について、考え方は整理  されているんでしょうか。 (答弁 防衛庁長官)  これは、そういう事態に至る前に、当然のことながら政府全体の問題として  総理また官房長官にも相談をして決断をいたしたいというふうに思っており、  なるべく国会でそのような御判断をいただく前に対処すべき問題だというふうに  思っておりますが、当然のことながら、議院の決議によって活動を終了すべき  だと国会が御判断をされたら、政府としてはこれを尊重して対応するものと  いうふうに考えています。  (質問 木俣)  つまり、防衛庁長官または内閣総理大臣が判断する前に、  国会の方ですべての基本計画または実施要領、この対応措置がもう既に  無理であるということを国会で判断した場合にはすべての計画を中断  すると、こういう理解でよろしいですね。 (答弁 防衛庁長官)  国会の御決定だということで、これを尊重して  対応したいというふうに思います。 ●委員会の答弁ではまだまだ不充分。しかし、国会議員として利用できる  機会を活用しシビリアンコントロールがなし崩しにならないよう出来るだけの  努力をすべきである。 ●今回のテロ特措法及び派遣承認問題についての民主党執行部の対応は  きわめてまずかった。  まず、党内論議を待たずに、代表や政調会長が先走った発言をした。  このことが一面亀裂をさらに深くしてしまったこと。またその後の  対応策の幅を狭くしてしまったことを大いに反省してほしい。 ●私は、次善の策としての「党議拘束」をはずすべきだと提案した。  部会でも、参議院の役員会でも提案したが、執行部はこのことには  あまり興味を示さなかった。予算の採決や、法律の制定とは違う。  事実行為としての自衛隊派遣の承認というきわめて個人的な判断の  部類だからなどの理由を設けて、党議拘束をはずしておけば、事態は  もっと違っていただろう。 ●それにもう一つ言いたいのは、いわゆる民主党保守派と言われる  人たちの外交政策についての誤った考え方である。政権交代をする  ためには、外交政策は前政権と連続していなければならない、、、、。  信じがたいことだが、彼らは本気でそう信じているのである。  だからテロ特措法も賛成すべきだと考えているし、承認も当然だと  思っているようだ。  しかし、これは絶対に間違っている。クリントンにしろゴアにしろ、  ずいぶんと外交政策は違った。また歴史的に見ても、アメリカの  共和党と民主党は基本的には外交政策の違いから誕生しているのだ。  彼らの考え方は基本的に間違っている。  現在の執行部が彼らの意見にミスリードされないよう自分は全力を  尽くさねばならない。 ●党内に多様な論議があることをまずは充分踏まえるべきである。  そして自民党に対抗する勢力を作るために、その対立を乗り越えて、  溝をうずめていくための知恵と辛抱の限りを尽くすべきである。 ●造反者にも一言言いたい。私自身一時は造反も考えた。しかし  造反はある意味で簡単である。野党であるから役職停止と言っても  与党ほどの痛みはないし、執行部の締め付けも例えば次の選挙に  対抗馬をだすまでの迫力までには至らないのが民主党の現実である。  反対を言えば、一部の人からは喝采をあびるであろう。 ●しかし反対する前に党内で反対論を多数にするためどれだけの努力を  したのか聞きたいところもある。決定までの時間がなかった、両院議員総会を  開かせなかったなどのことは言い訳でしかない。絶対に民主党に反対させたい  と思えば、党内での署名活動からはじまって、ネクストキャビネットや  役員会での意見表明、最後は実力行使まで含めての最大限の阻止行動を  とったのか。私の見るところどうもそこまでの努力はなされなかった。  それをせずに本会議での突然の造反では、たんなる自分の存在証明でしかない。 ●造反者の言い分もじゅうぶん理解できるし、私自身「職を賭けても  反対する」と主張した。しかし、自民党はシビリアンコントロールについては  きわめて関心が薄い。この問題を引き続き追及し、シビリアンコントロールの  原則を確立するためにも民主党に踏みとどまって活動を続ける必要がある。  一瞬、離党を予感しながらも、踏みとどまって、外にあっては自民党、  内にあっては党内保守派の皆さんとの葛藤に勝利するこに全力を尽くす決意を  した。このように考えて、最終的に常任案には賛成したのである。 【先週の主な活動記録】 ■11月26日(月) 8:00AM 511回マンデーレポート      その後上京。        0:30PM 議運理事会 0:40PM 議運委員会 1:00PM 本会議     ★法案についての採決。  6:30PM 簗瀬進君の辻説法500回達成を祝福する会     ★東京では3年半ぶりのパーティー。      参議院議員になってからは初めて。      300人余の皆さんが参加していただいた。 ■ 11月27日(火) 8:00AM 日米欧安全保障議院協議会臨時総会、勉強会     ★講師は 森本敏氏。      アメリカは、テロとの戦いを      21世紀の安全保障戦略の基本においた。      したがってアフガン後も、テロ支援国への戦い     (対イラク、スーダン、ソマリアその他)を      継続、拡大することは必至。それに対して      日本がどう対応するかが大きな問題である、、、、      との指摘が印象に残った。  10:00AM 経済産業委員会     ★売掛金債権を担保にしての融資等の制度創設など      法案の趣旨説明。        0:00PM 常任役員会 1:00PM パーティー御礼挨拶まわり 3:00PM 裁判官訴追委員会 5:10PM 下野新聞・川又記者 来訪 5:30PM 議運委員長招待 6:30PM 下野新聞・飯島記者 来訪 ■ 11月28日(水) 8:00AM 経済産業部門役員・衆参委員と経済産業省幹部との朝食会 9:00AM 国対委員長と打合せ 9:30AM 議運理事会 9:40AM 議運委員会 10:00AM 本会議     ★平成11年度の決算案についての趣旨説明・質疑。       雇用対策緊急基本法案についての  〃   。      あがり法案の採決。 0:00PM 国対・理事合同会議 1:00PM 村木裁判官に対する弾劾裁判第3回公判     ★この日は、村木判事に対する弾劾裁判の判決言渡し。      「非訴追人を罷免する。」との内容。      小菅拘置所での村木氏への尋問から始まって、訴追請求、      公判での尋問、そして論告求刑、判決言い渡しと、      一連の手続きの最初から最後まで特定訴追委員として      付き合うことになった。なかなか出来ない経験をさせて      もらった。  1:30PM 倫理選挙特委員会     ★電子投票法案についての質疑。採決。 2:00PM 議運理事会 6:00PM 渡辺直治県連幹事長就任祝賀会 ■ 11月29日(木) 10:00AM 経済産業委員会 11:30AM 国対委員長と打合せ 0:00PM 議運理事会 6:30PM 小川勝也君と21世紀を語る会 ■ 11月30日(金) 9:00AM 国対委員長と打合せ 9:10AM 議員総会。    ★この日の本会議では焦点の自衛隊派遣承認案件についての     採決がある。この件を議論するため鳩山代表、菅幹事長、     岡田政調会長が出席。議員と意見交換。(詳細は上記参照)  9:30AM 議運理事会 9:40AM 議運委員会 10:00AM 本会議 1:00PM 経済産業省・特許庁より知的財産権レク 1:40PM 下野新聞・川又記者取材     ★福田県政についての1年間の感想。 2:30PM 市村様 来訪     ★国際芸術フェスティバル開催について。 3:00PM 有馬議員訪問 ■ 12月1日(土) ■12月2日(日) 10:00AM 栃木親菊会第48回菊花大会 0:00PM 県連幹事会 2:00PM 県連研修会