国会通信 No.513

 【国会日程と皇室行事について】

2001/12/10 (マンデーレポート513回の要旨)


●私事だが、われら夫婦は結婚して21年になるが、残念ながら子供がない。  妻は、慶応病院に通ってからだを痛めながら努力をしてくれたが報われなかった。  だから、このたびの皇太子殿下ご夫妻の第1子ご出産は、他人事ではなく、  夫婦ともども心からお喜び申し上げたい。 ●一方で今国会は、議院運営委員会の理事という立場もあって、皇室の御慶事によって  行われる皇室行事と国会日程の関係をまじめに考える機会が多々あった。 ●かつて衆議院でも議運理事を務めたことがあったが、細かいことは忘れたが、  天皇陛下の外遊日程と国会日程が微妙にからんだことがあった。特に、重要法案の  国会審議や解散など、政治日程と皇室日程が重なり合い、天皇陛下がいつ日本に  帰られるのかによって微妙な駆け引きが行われたことを記憶している。 ●私個人は、象徴天皇制はおおいに賛成である。「君臨すれど統治せず」が英国の  良き伝統であるなら、天皇と将軍が並立したわが国の歴史も、「権威」と「権力」を   分立させたわが国の見事なバランス感覚を示していると思う。象徴天皇制は  もちろん日本国憲法が明記したものであるが、同時に日本古来の伝統と見事に  マッチした制度である。 ●さらに付け加えれば、天皇に「権威」のみならず「権力」をも付加しようと  するとき、わが国の歴史は誤まった方向に動き出す。明治・大正・そして昭和の敗戦  に至るプロセスがその実例である。 ●もっとも、それは天皇個人の問題というよりも天皇に政治的な権力を与え、  そのうえで自分に都合よく利用した勢力の問題であるが。 ●さて今国会、最終日の前日に衆議院で採決され、参議院に送られてきた地方自治法  の改正案の審議である。住民投票や合併問題を含むこの重要法案を1日残すだけで  参議院に送ってきた衆議院の考えはまったく理解できない。参議院の存在をまったく  無視しているといっても良い。そのことの是非は置くとして、衆議院の本会議の採決の  際、担当大臣が出席するのが通例なのにもかかわらず、副大臣で済まされたとのこと。  なぜ総務大臣が立ち会わなかったのか。 ●噂によると、総務大臣は採決の時間に、皇居で、天皇陛下とかねての日程があって  そちらを優先したとのこと。もしそれが真実ならゆゆしい問題である。なぜなら、  宮中行事を優先した結果、衆議院の採決の際の慣例が無視されたことになるからである。 ●日本国憲法の象徴天皇制を認めたうえで、注意しなければならないのは皇室を政治に  まきこむことである。だからこそ、両者のバッティングがないよう、極力神経を使  うべきであると考えてきた。 ●今国会では、ご誕生に伴う賀詞の奉呈を国会が議決した。そして賀詞案の案文を  議長が朗読する際に、衆議院の議運は全議員が起立することを決定した。そのため、  参議院としても横並びせざるを得なかった。 ●しかし調べてみると、賀詞朗読の際の全議員「起立」の前例はないのである。そもそも  現在の皇太子殿下のご誕生のときは、賀詞の奉呈も行われなかったのである。 ●全議員起立の根拠もはっきりしない。院を代表し、議長がすでに賀詞を奉呈したので  あるから、改めて起立することの必要性は薄いとも言える。 ●自席に座って、心をこめたお祝いの拍手を贈るほうがむしろよかったのではなかろうか。  ●最終日の審議の仕方も、実は異例だった。最終日、懸案事項がなければ本会議は  きわめて短時間で終わる。所要5分程度である。 ●しかし、今回は午前中に所要1時間で地方自治法改正案についての趣旨説明質疑、  そしてあがり法案の採決。そこで中断して午後1時半から再開、所要5分の「閉会中  処理手続」についての審議と、2ラウンドに分けて行う異例の形になった。 ●その原因の一つは、衆議院が最終日1日しかないのを承知の上で、重要法案の地方  自治法改正案を参議院に送付してきたことがある。 ●しかし、もうひとつの「配慮」があったことも間違いない。それは、前半と後半の間に  行われた宮中行事、すなわち皇孫殿下の命名の儀に、正副議長が出席するための配慮で  もあった。 ●皇孫殿下の誕生自体はもちろん喜ばしいことである。正副議長が命名の儀に参列し  国民を代表してお祝いを申し述べることに意義を唱えるつもりは毛頭ない。しかし、  皇室のいやさかを願うなら、国会行事と皇室行事のバッティングにはつねに細心の  注意を払うべきである。 ●話は前後するが、臨時国会のさなか、開会式における国旗の掲揚と、本会議における  国旗の常時掲揚が、まずは衆議院の議院運営委員会で決定された。そして、それに引き続き  参議院の議運でも、委員長が野党の反対を押し切ってこれを決定した。   ●最初は開会式での国旗掲揚の話が、いつのまにかすべての本会議での国旗掲揚にまで  拡大した。  その結果、来年の通常国会では、正面から見て議長の左脇に、かならず国旗がスタンドに  建てられて鎮座することになる。 ●そして両院とも与党から出ている委員長の「しきり」でこれが決められた。  なぜこれほどまで強引なやり方をして国会に国旗を掲揚しなければならないのか  まったく理解に苦しむ。なぜなら、象徴が象徴であるためにもっとも重要なことは、  強制されないということに尽きるからである。 ●私は、皇孫殿下のご誕生はこころから祝福したい。しかし、同時に、国会議員とし  ての緊張感を失ってはならないと考える。なぜなら、政治が必要以上に皇室に関与する  ことは、象徴天皇制の基本を揺るがすことにつながりかねないからである。 【先週の主な活動記録】 ■12月3日(月) 8:00AM 512回マンデーレポート 9:30AM 読売新聞・高橋記者 0:30PM 議運理事会 0:40PM 議運委員会 1:00PM 本会議     本会議後 常任役員会懇談会 6:00PM 国会コーラスリサイタル 練習 ■12月4日(火) 0:00PM 常任役員会 1:00PM 議運理事会 ■12月5日(水) 9:30AM 議運理事会 9:40AM 議運委員会 10:00AM 本会議 10:20AM 倫理選挙特別委員会 10:30AM 議運理事会 0:00PM 国対・理事合同会議 1:00PM 共同通信・平野記者 取材 6:00PM 裁判官訴追委員会懇談会 ■12月6日(木) 10:00AM 経済産業委員会 0:30PM 国対委員長と打合せ 1:00PM 議運理事会 ★この日、衆議院は地方自治法改正案を可決。そして参議院に送付するとのこと。  残りの会期はたった1日。そんな短期間でなにを審議しようというのか。  それを承知で参議院に送ってくるのは、衆議院の参議院無視。なんたることか。  今後 これを前例にしないこと。またこんな送り方をすれば 参議院で廃案と  することもありうることなど、参議院議運の与野党一致の意見として衆議院に  申し入れるよう主張。委員長、も与党の理事も賛意。この申し入れを前提にし  参議院での趣旨説明質疑、その後の継続とする取り扱いに賛成した。  議運の委員長は理事会終了後ただちに衆議院議運委員長に面会。この趣旨を  厳しく伝えたようだ。 ■ 12月7日(金) 9:00AM 国対委員長と打合せ 9:30AM 議運理事会 9:40AM 議運委員会 10:00AM 本会議 1:15PM 議運理事会 1:30PM 本会議 ★この日 私がかつて代表理事をつとめた栃木県中央信用組合を含む県内の  3つの信用組合が破綻申請をした。不良債権の増加、これに伴う引当の  急増などでいづれも債務超過に陥ったためである。地元紙の取材に対し  出資者を始めとして応援していただいた皆様に心からお詫びしたい旨の  コメントをだした。 ■12月8日(土) 4:00PM 石橋町柔道スポーツ少年団忘年会 6:00PM やなせ進を育てる会 黒磯地区グループ懇親会