国会通信 No.524

 【知財戦略の政策競争を】

2002/3/11 (マンデーレポート524回の要旨)


◆ 先週は、知的財産権関係の会合が3つ続きました。 1 3/4 米国大使館・東京アメリカンセンター主催      知的財産権問題セミナー     「ブロードバンド時代におけるオンラインコンテンツの保護」 2 3/6 東京大学先端科学技術研究センター主催     「知的財産の総合戦略」勉強会 3 3/7 民主党 経済産業部門・知的財産制度改革推進議連合同役員会 こんな動きに参加しつつ、ようやく遅まきながら、知的財産権の重要性に ついての認識が、日本においても高まりを見せてきたような感がします。 ◆私は、民主党の知的財産権戦略プロジェクトチームの座長として、 2000年の6月に「はばたけ知的冒険者たち」と題する、民主党知的財産権 戦略案をまとめて発表しました。(その詳細は私のHPに掲載していますので ごらん下さい)  そこで一番主張したかったことは、いわゆるIT革命は、コンピューター の生み出すさまざまな知的成果物を、「守り」「育て」「新に生み出し」そして 戦略化するプロセスと密接不可分であるということでした。 ◆知的財産権は特許権と著作権を総合した概念です。 インテレクチュアル(知的)の「I」と プロパーティー(財産)の「P」、そして ライト(権利)の「R」をとって、アメリカでは「IPR」と言う事が 多いようです。 ようするにIT革命とIPRは密接不可分であり、私流に言えば IT革命とIP革命は車の両輪なのです。 ◆実は1980年代のアメリカは、日本の集中豪雨的な輸出攻勢にさらされて、 今の日本をはるかに上回るほどの深刻な危機感を持っていました。 「このままではアメリカの自動車産業はもちろんのこと、コンピューター産業も 半導体産業も、すべて日本の企業につぶされてしまう。」これが当時のアメリカの 一般的な風潮でした。 ◆そこでアメリカが積極的に展開したのは特許権(パテント)やコンピューター プログラムのような著作権を経済戦略の基本に位置づけ、国内的には積極的に その創造・活用を図り、国外的にはそれらへの侵害に対し果敢に戦っていくという 体制作りでした。 ◆アメリカは、初等教育から高等教育のレベルアップにはじまり、特許紛争を 専属的に管轄する裁判所の設置などの司法改革、知財を経済戦略の根幹として 推進する行政体制など、国政全般にわたる改革を推進しました。これを プロパテント政策と言ったりします。 ◆今通常国会の冒頭、小泉総理は内閣に「知的財産権戦略会議」を置く旨 施政方針で述べました。これは民主党の戦略案ですでに提案されていたことですが 元祖本家争いをしても仕様がありません。アメリカに遅れること20年。 遅きに失した感がしますが、知財こそ21世紀の日本の指針であると自覚し、 この分野における与野党の積極的な政策競争をすべきであると感じています。 ◆6日に行われた東大先端研主催の勉強会。基調報告をした元特許庁長官の 荒井寿光さんのレポートは大変有意義でした。その荒井さんからこんなことを 言われました。「簗瀬さん、あなたのレポートは多いに参考にさせていただき ましたよ」。その言葉を、うれしさ半分と悔しさ半分で聞きました。 ◆荒井さんは、政府の知財戦略会議の中心メンバーです。私たちがまとめた 内容が荒井さんを通じて政府の中で実現のプロセスに乗りつつあることは とてもうれしく思います。しかし、民主党が政権の座にあったなら、もっと 早く知財戦略が実現したはずな。それを考えると悔しくもあり残念でもあります。 ◆民主党での全体的な取り組みも今後加速しなければなりません。良い意味での 与野党の政策競争が激しく展開されるよう、積極的に仕掛けるつもりです。 ◆前記荒井さんの基調報告の概要は以下の通りです。参考にしてください。  【知識経済への移行と日本の知的財産戦略】 (東大先端研講演用資料) 2002年3月6日  元特許庁長官 荒井寿光                             知識経済社会 @ 農業革命 A 産業革命 ■ 第1次産業革命 ■ 第2次産業革命 B 情報革命                            情報革命 1 特色 @ デジタル コピーが早い A グローバル B スピード 2 どこで何を作っても同じ品質 3 知的財産の重要性がます                              知的財産の変化 @ ソフト化 モノから知恵へ A 新規性より有用性 B 財産的価値の上昇 知財=ビジネス                               知的財産の流れ @ 広い保護 A 強い保護 B 早い保護 C 国際化 D 情報化                              特許出願のグローバル化 ■特許出願 ―内国出願  70万件 ―外国出願 600万件                             今なぜ知的財産戦略か 日本経済の危機 低成長・高失業・貿易黒字の減少 (原因) @ 製造業の空洞化 A サービス産業の金融技術が遅れた                             実は特許も構造改革が必要 @ 成立件数では特許大国ではない A 基本特許に弱い B 今までの大学は特許嫌い C 特許などの技術貿易収支は赤字                             日本の大学はアンチ・パテント @ 大学は特許より論文を重視 A 「特許は独占悪」という神話 B 特許明細書を書くのが負担 C 特許委員会の手続きが面倒 D 特許費用がない                             企業の問題 @ 基本特許が導入できない A ビジネス・モデル特許に乗り遅れ B 知財部門はコスト・センター C ニセモノの被害 D 職務発明問題(中村修二教授)                             特許裁判の空洞化 @ 日本の特許裁判    遅い    安い A 裁判所の努力    体制強化    計画審理 B 特許法の改正 損害賠償額の引き上げ                              これからは日本もプロパテント(特許重視)の時代 @ アメリカは1980年代のレーガン政権 プロパテント政策を推進し、大成功 →産業連携が進み、ベンチャー誕生 →経済再生 A 日本は基本特許を導入、製品輸出 →もはや基本特許の導入は困難 →独自開発が必要                                  もの作りから知恵作りへの転換 知財立国をめざす @ 科学技術基本計画(5年間 24兆円) A 大学改革 B 司法改革 →今がこの流れを活用する好機                              2010年に世界一の値財立国になろう! 知的財産国家戦略フォーラム 2002年1月提言                                4つの視点 @ 個人・・・創造活動に十分な報い A 法人・・・知的財産を重視する経営 B 日本・・・国全体が知的創造活動を支援 C 世界・・・国際性ある制度と運用                            7つの戦略 1 大学戦略・・・知財の源流となる大学改革を @ 知財を生み出す研究環境 A 特許も大学教官人事の評価基準に B ベンチャーのための規制緩和 C 知財費用の予算化 D TLO(技術移転機関)の育成と競争                        2 教育戦略・・・知財を生み出す人材教育を @ 知的創造・発明に関心をもたらす教育 A 教員に知財教育 B 発明体験プログラム C 起業家育成プログラム                         3 企業戦略・・・知財を企業益の柱に @ 知財会計・知財報告書の導入 A 特許法の職務発明規定を廃止 B 外国出願を増加 C 1社1基本特許運動 D 知財ビジネス産業の振興                            4 行政戦略・・・知財を支援する行政に @ 出願人に親切に教える A 中小企業やベンチャーを支援 B 特許は出願されたら、すぐ審査     滞貨を一掃し、スピードを上げる C 特許電子図書館のサービス向上                           5 外交戦略・・・日本の知財権益を守る @ 「ニセモノ」放置国家の監視・制裁 A ニセモノの流入を防ぐ国際貿易委員会の設置 B 世界特許の実現 C 主要国知的財産閣僚会議を提唱                          6 立法戦略・・・21世紀型の知財法体系を作る @ 知的財産国家戦略会議の設置 A 知財基本法の制定 B 3倍賠償制度の導入 C 情報窃盗罪の制定 D 知財を育成する税制に改正                         7 司法戦略・・・知財訴訟の空洞化に歯止めを @ 知的裁判所の創設 A 知財ロースクールの立ち上げ B 知的財産政策大学院の創設 C 弁理士昨日の抜本的強化 D 仲裁機関の機能強化                                                   【先週の活動記録】 ■3月4日(月) 8:00AM 524回マンデーレポート 9:30AM 法律相談 1:30PM 米国大使館・東京アメリカンセンター主催 知的財産権問題セミナー     「ブロードバンド時代におけるオンラインコンテンツの保護」 5:00PM 国会コーラスリサイタル事務局会議 6:00PM 国会コーラスリサイタル練習 ■3月5日(火) 11:40AM 参議院事務局管理部長レク 11:50AM 国際交流課レク 0:00PM 常任役員会 0:30PM 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ 1:00PM 議運理事会 1:30PM 議員総会 7:00PM 翔進会 本日13時より、参議院議運理事会が開会されました。 次回の本会議について議論。成案は得られなかった。 次回の理事会は、3月7日木曜日の正午。 ■3月6日(水) 11:00AM 芸術団体との懇談会    ★文化芸術振興基本法について懇談会。     野村萬さん(日本芸能実演家団体協議会会長)や     崔洋一さん(日本映画監督協会 専務理事)ほか     のみなさんと意見交換しました。   0:00PM 国対・理事合同会議 6:00PM 東京大学先端科学技術研究センター主催     「知的財産の総合戦略」勉強会に出席。     ★知的財産の総合戦略について議論しました。    1 知識経済への移行と日本の知的財産戦略      荒井寿光 貿具保険理事長 元特許庁長宮    2 国際的動向をふまえた日本の知的財産戦略      ジョージワシントン大学 法料大学院      知財プログラムディレクター       マ一チン エーデルマン氏    3 日本のロースクールの準備状況      久保利 英明 弁護士    4 知的財産分野における専門法曹養成機関の必要性     玉井克哉 東大先端研教授 ■3月7日(木) 9:00AM 読売新聞編集委員・鶴岡様来訪    ★個人情報保護法案の行方について取材を受けました。     野党4党の共通見解を説明しました。(上記)  11:30AM 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ 0:00PM 議運理事会 5:00PM 経済産業部門・知的財産制度改革推進議連合同役員会    ★弁理士会のみなさんと意見交換。 6:30PM 輿石東国対委員長を励ます会 本日12時より、参議院議運理事会が開会。 与党は来週13日の水曜に国税2法、15日の金曜日に地方税3法の 趣旨説明・質疑を両日とも昼休み開会で行ってほしいと提案。 民主党・新緑風会は予算委員会での審議予定をみないと決定できないと 発言。明日改めて協議を行う事になりました。 ■3月8日(金) 10:00AM 参議院厚生課長レク 10:10AM 財務省理財局たばこ塩事業室レク 10:20AM 国土交通省住宅局長・都市整備局長レク 10:30AM 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ 11:00AM 議運理事会 1:30PM 議運理事会 本日11時、13時30分の2回議運理事会が開会。 11日の衆議院予算委員会での証人喚問をうけ、11日12日の 参院側の予算委員会の日程が固まったので、13日の本会議で 国税関係2法案の趣旨説明を受けることを了承しました。 次回の参議院本会議は来週3月13日の水曜日の午前10時から開会、 国税2法案の趣旨説明・質疑を行い、所要時間は1時間20分程度と決定。 ■3月9日(土) 11:00AM 吉田家・吉岡家披露宴 6:00PM 宇都宮御幸地区やなせ進後援会役員会 ■3月10日(日) 10:30AM 緑が丘地区体育協会・創立30周年記念式典 1:30PM BSU練習 6:30PM 増子輝彦を囲む会    ★かつて衆議院の同期生 増子輝彦さんの会に    来賓として出席。捲土重来をめざす増子さんを激励。 10:00PM前後 大田原市長選挙、千保候補の選挙事務所訪問。