国会通信 No.534

 【有事法制について】

2002/5/27 (マンデーレポート534の要旨)


●先週22日(水)、民主党本部で事態対処法=いわゆる有事法制  についての全議員政策懇談会が開催された。しかし、この時点でも  法案に対する民主党の態度決定はなされなかった。 ●個人的には、民主党の対応は遅きに失していると考える。  堂々と反対すべきである。 ●有事法制の必要性は認めるが、政府の出してきた法案は、  根本の構造から改めない限り、百害あって一利なし。  修正の範囲をはるかに超える悪法である。 ●党内の一部には、政権担当能力を示すために廃案にすべきで  はないとの意見があるそうだ。しかし、先日の全議員懇談会  では、いわゆる保守派とみなされている議員の間でさえ、  今回の法案はあまりにもひどすぎるという声が圧倒的であった。 ●政権担当能力を示すということの意味を勘違いしてはならない。  外交・安保政策について与党の路線を漫然と継承するのが  政権担当能力ではないはずだ。 ●むしろ、与党の矛盾や誤りを徹底的に追及する能力、そして  それを国民にしっかりとアピールする能力、そして、重要法案で  あればあるほど与党との戦いをやりとおす能力、これが政権担当  能力ではないだろうか。 ●私はそのように考えるから、有事法制の必要性を認めつつも、  不備な法案に断固反対することになんの矛盾も感じない。  民主党のふんぎりは遅すぎるし、分かりづらい。私には理解不能だ。 ●国家の非常事態はありうると思うし、その際に、国民の生命と  安全を守るための何らかの措置は必要である。その措置を怠った  結果、超法規的な対応しか出来なかったとしたら、それは民主主義の   大原則すなわち「法の支配」が行われなかったことを意味する。  その事態はもちろん避けるべきである。 ●しかし、非常事態への対応であるからこそ、法の支配とギリギリの  境界線でのきわどい考慮が必要となる。  今回の法案では、有事の場合の「国民の協力義務」が明記されている。  「協力」という言葉は美しい響きを持つ。しかし、それは、自発的  な協力ではなく、義務化された協力なのである。 ●したがって「協力」=「権利制限」であり、協力=人権制限である。  たしかに憲法上、人権は「公共の福祉」に従わなければならない。  政府は、審議過程で、人権も「公共の福祉」に従わなければならないと  なんども強調する。しかし政府は重大なミスリードをしようとしている。 ●「公共の福祉」が人権の制約原理であることは間違いないが、  これは人権相互のぶつかり合いの場合のことなのである。  「公共の福祉」は、「人権」対「人権」の相克を乗り越える原理である。  「人権」対「公権力」のぶつかり合いのことを言っているのではない。 ●むしろ「公権力」は「人権」を最大限に尊重すべきであるというのが  憲法の一貫した態度であることを忘れてはならない。  そして「公権力」が一方的に人権を制約することが許される場合が  あるとすれば、それは一部の人権主張が多くの人々の人権を妨げる  場合のみである。だからこそ、今回の有事法制に国民の権利保護規定が  置かれていないことは、致命的な欠陥というべきなのである。 ●衆議院の事態対処特別委員会は、与党のみで公聴会の日程を  決定し、それに反発した野党は、決定済みの日程以外の新規  日程を入れることを拒否、衆参とも空転が続いている。 ●PKO法や周辺事態法でも衆議院の審議時間は90時間前後に  及んでいる。それと比較しても、有事法制の論議時間は、  たった34時間。公聴会日程をこなすとその後は総括的質疑を  したうえで採決するのが委員会のおおよその慣行であるから、  自民党国対は34時間で審議充分と判断したことにほかならない。 ●いままでの3分の1程度の審議時間でしかない。  しかも政府の答弁は不統一であり不明確であって、具体性を  著しく欠いているのはマスコミの指摘するとおりである。  このあまりにも拙速な運び方には、驚きを通り越して、恐怖を  覚える。 ●この法案は戒厳令法案でありあるいは総理大臣への独裁権授与法案である。  この法案によっって、国民の人権への正面切った制約が可能となる。  県や市町村の自治権も正面から制約できることになる。  だからこそ、国民の充分な理解がなければならない。 ●さすがに与党のなかにもこの重要な法案について野党の審議  拒否のまま強行採決することへの異論が出てきた。  まずは地方の公聴会も中止になっていたが、先週末には27日に  行うはずだった中央公聴会の日程も中止となった。 ●しかし、その異論や慎重論は、法の支配や民主主義への深い洞察から  出たものではないようだ。党内抗争、小泉政権揺さぶりの思惑での  決断しかない。何をかいわんやである。 ●このような流れを受け、今週国会は正常化するかもしれないが、  致命的な欠陥をもつ有事法制は、廃案しかないと考える。 ●蛇足だが、本日自衛隊宇都宮北駐屯地の創立29周年で戦前の国家主義  についてこんな話をしてきた。 「今国会ではいわゆる事態対処法制を議論しているところだが、  充分な論議が尽くされ、国民的な合意が形成されることが重要である。  そうでなければ一番困るのは現場にいる皆さんである。」 「ところで、自分は、不朽の名著として『失敗の本質』という本をあげたい。  イデオロギーの曇りなく、太平洋戦争の失敗の分析をした名著である。」 「そこでの分析によれば、失敗の原因は、戦略の目的が不明確であり、  戦争の目的を達成する具体的なプロセスが明らかでなかったことに尽きる。」 「われわれは法律を作る側だが、法律の場合もこれと一緒である。   戦略の目的は、法律の場合は「立法の趣旨」にあたるが、  これが明瞭であって、かつその成果をあげるプロセスが明確で  なければならない。」 「国家とはなにか。その原点を忘れたのが戦前の日本であった。  国家とは最終的には、国民を守る装置にすぎないのである。  国民のための国家のはずだったのが、やがて国家が一人歩きする。  国家のために国民が犠牲になってもよいといった幻想が生まれる。  これが戦前の失敗の大きな原因である。  国家は国民のためにあるという原点を忘れてはならないと思う。」 ●私の意図するところが自衛隊の関係者に伝わったかどうか定かではない。  ただ、めずらしく一般市民の参加者の小さな拍手の音が私の耳に届いた。  駐屯地の創立式典ではかつて経験したことがなかったことだった。 【先週の活動記録】 ■5月20日(月) 8:00AM 第533回マンデーレポート 12:00PM 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ 12:30PM 議運理事会 12:40PM 議運委員会 13:00PM 本会議 ■5月21日(火) 11:00AM 経済産業委員会 所要80分      独禁法改正案 質疑・採決  12:00 PM 常任役員会 1:00PM 国土交通省総括審議官レク 1:10PM 下野新聞河又記者取材/個人情報保護法案について 2:30PM 議運委員部と打合せ・国対委員長と打合せ 3:00PM 議運理事会 6:00PM 国会コーラスリサイタル練習 ■5月22日(水) 10:00AM 常任役員会 10:30AM 民主党新緑風会政策審議会/年金制度について 11:00AM 議運委員部と打合せ・国対委員長と打合せ 11:30AM 議運理事会 11:40AM 議運委員会 12:00PM 本会議 所要1時間45分 ★地球温暖化の趣旨説明・質疑(民主党・新緑風会 小宮山洋子議員15分)  地方公共団体一般職任期付職員採用、商法改正案、  インテルサット、ILO条約、世界保健機関憲章受諾、  身体障害者介助犬、同育成・使用施設利用円滑化法案、  農業経営改善資金融通円滑化法、農業法人投資円滑化特別度措置法、  独占禁止法・公正取引確保、土壌汚染の各法律・条約の採決。  本会議散会後 国対・理事合同会議 2:30PM 総務省/公職選挙法改正案(小選挙区区割) 3:00PM 部落開放同盟/人権擁護法案の抜本修正を求める請願受付 4:30PM 民主党全議員政策懇談会/武力攻撃事態法3法案について ★全員参加の政策懇談会 6:00PM 今井 澄さん出版記念会 ■5月23日(木) 8:00AM 経済産業・環境合同部門会議/自動車リサイクル法案について 10:00AM 経済産業委員会 ★新エネ・省エネ法の趣旨説明を聴取。 12:30PM 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ 1:00PM 議運理事会 6:00PM 国会コーラスリサイタル練習 ■5月24日(金) 9:00AM 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ 9:30AM 議運理事会 9:40AM 議運委員会 10:00AM 本会議 所要1時間20分 ★マンション建て替え円滑化法と京都議定書の本会議趣旨説明・質疑。  政策金融機関検査委任、教育職員免許、国土交通省設置、  特殊法人事務所移転の採決。  質疑者は、マンション=谷林正昭議員、  京都議定書=広中和歌子議員 ■5月26日(日) 9:30AM 第4回フレンドリーフェスタ(全逓宇都宮地方支部運動会) 10:00AM 陸上自衛隊北宇都宮駐屯地開設29周年記念行事で挨拶。 10:00AM 日産労組創立10周年記念行事に出席。 1:30PM 酒井家・河内家披露宴 2:00PM 赤帽栃木県軽自動車運送協同組合第22回通常総会 3:30PM 第35回宇都宮西部地区学童軟式野球大会閉会式で挨拶