国会通信 No.540
【市民の憲法】
2002/7/8 (マンデーレポート540の要旨)
【市民の憲法】
●5月29日(水)民主党の憲法調査会の総会があり、その際
法政大学教授の五十嵐さんから「市民の憲法」という話を聞いた
ことは以前のマンデーレポートでも取り上げた。
●しかし残念ながら、そのときは、時間の関係もあり、細かな
紹介ができなかった。今回、彼の考え方を要約してみたい。
●一読してもらえば直ちに理解できるように、彼の見解の中心
論点は、間接民主主義の政治が大きな限界を迎えているという
こと、したがって憲法改正の最大のポイントを直接民主主義的
な政治への変革と考えている点である。
●さらに、私にとって大変新鮮な指摘だったのは、現憲法の定
めている「議院内閣制」それ自体が、じつは官僚政治の原因を
作っているのではないかという問題意識である。
●私は、中曽根流の首相公選論とはまったく考え方を異にするが、
情報革命が市民の政治への直接的な参加意識を急激に拡大してい
ること、そしてその結果として間接民主主義を原則とする
政治体制は、政治への欲求不満を加速度的に高めていることを
理由にして、首相公選論を展開してきた。
●五十嵐教授の推奨する大統領制の提案までの飛躍はとても
できないが、とにかく直接民主制を加味した政治体制に変革
することは、わが国にとって急務であると考える。
●以下は、五十嵐番「市民の憲法」を私なりに整理要約した
ものである。そしてその内容の多くは私も賛成である。
■序論
市民にとって現憲法の最大の不満は、自分たちのことを
自分たちで決められない、すなわち議会を三権の頂点とする、
「間接民主主義」はこのまま維持されるべきか、
もっと根源的に言えば、そもそも「国民主権」とはどういうものか、
ということである。
この問いは、憲法の二大構成要素である「基本的人権」と
「統治機構」の双方に対して、いわば従来からの理論に対する
根源的な転換を求めるであろう。
■第1章 国民の自己決定権 直接民主主義の設計
近年、議会というものが機能不全に陥っている。特に公共事業の
ような既得権益を打破しなければならない、というのは国民的な
合意となっている。にもかかわらず、国レベルでも地方レベルで
も議会は最大の抵抗勢力となっている。
そして重要なことは、憲法上、議会が法律や予算を可決しない限り、
改革はできないということ、さらに、この様な場合には首相と
知事は議会を解散することができるが、選挙を行うと再び抵抗勢力が
選ればれるという事実が慢性化している。 このシステムでは、
永遠の堂々巡りが起こり、最終的に政策を決定するものがいなくなる。
この事態について、現憲法は答える事ができるであろうか。
日本でも最近ようやく住民投票が行われるようになってきた。
しかしそれは、その結果が最終決定となるわけではなく、いって
みれば首長や議会が無視できる代物だ。法的拘束力がないのである。
そして、現行憲法では住民投票のような直接民主主義をほとんど
想定していない。
他方、世界各国の直接民主主義は日本よりもはるかに豊饒である。
アメリカ、ドイツ、スイスを取り上げると、住民投票はその結果が
ほとんど最終決定となり、スイスでは国民投票もたくさん行われ
ている。 結論として、日本でも直接民主主義というものをもっと
重視すべきである。国民主権とは、国民は自己決定することができる
ということではないか。
直接民主主義は間接民主主義をただ補完するための制度にすぎないと
する現在の考え方を改め、直接民主主義と間接民主主義の選択制と
するのが望ましい。これが国民主権を具現化する方法であり、
21世紀にふさわしい憲法の姿ではないか。
■第2章 人権論の創造
21世紀の人権は、国家を中心にして組み立てるのではなく、
市民が政府を創ることができるという、市民主体の人権論として
再構築されなければならない。直接民主主義、すなわち自己決定権は、
現行憲法の二大要素の一つである「基本的人権」について大きな
質的転換をもたらすのである。
■第3章 環境権
憲法にこそ環境権を規定する必要はある。環境権は、
@「健康を害されない権利」、
A「環境を享受する権利」、
B「環境を決定する権利」という三重構造をみせている。
@ からBに移るにつれ個人的権利から集団的権利へと変化する。
これまでの日本でも、@に関しては裁判所でもある程度認められてきたが、
これをBまで拡大し環境権として憲法に規定しなければならない。
世界の憲法では、80カ国を超える国が環境についての規定を持っている。
■第4章 外国人の権利
現行憲法には外国人の規定がない。憲法の規定する基本的人権の
保障が外国人に及ぶかどかについても判断が分かれており、それ
ぞれの権利の性質に応じて個人的に判断されるという考え方が
通説である。外国人の人権も日本国民と同様に保障されなければならない。
■第5章 地方自治
直接民主主義の導入は、人権を「国家からの自由」から市民が
主体となる人権へと転換。イギリスにおけるパリッシュやスウ
ェーデンのコミューンなど世界の「市民の政府」の事例。地方
が公共団体という言葉は違和感−市民の政府コミュニティーを
大切にする自治の組織として再構成する必要がある。
■第6章 立法
現憲法では、国民が間接民主主義の頂点であり、「最高」の装
置であるとされている。国会に直接市民の声がとどくようにし
なければならなのである。直接民主主義的手法の国会への導入、
これが必要だ。それは以下の二つである。
一つは、法案の提出権を市民にまでみとめるべきである。
もう一つは重要政策については国民投票によって決定すべきで
ある。
■第7章 行政
法律は官僚が作っている。そしてその法律にさまざまな権限の
秘密が隠されている。官僚は予算も作っている。
現行憲法上は、行政権は内閣にあると規定されているが、閣議
が事実上事務次官会議に仕切られていることから分かるように、
与党の政策の最高責任者で構成されるはずの閣議自体が形骸化
している。
行政は本来的な権限の範囲を越えて立法のカテゴリーを侵食し、
その影響力を拡大しているのである。
このような行政の肥大化あるいは官僚政治の根源は、行政の
定義とともに、現憲法の定めた議院内閣制にあるのではない
か。
「市民の憲法」では、行政肥大化の解決策として、行政と立
法を同時支配する議員内閣制ではなく、行政と立法を分離す
る大統領制を提案する。
行政の肥大化。官治主義か市民主義かは憲法のみかたの重要
なポイント。強い官僚制は議院内閣制と連動しているのでは
ないか。
■第8章 大統領制
日本における首相公選制の要望は、議院内閣制の首相選出プ
ロセスに国民の意思が反映されないという閉塞感から、大統
領制を志望したのだと理解することができ、またこの要望は
健全なものだと理解できる。これは行政に対する直接民主主
義の発露である。
ポピュリズムの危険に対する懸念も理解できないではないが、
それは、主権者の判断の結果として受け入れるべきことでは
ないのか。
■第9章 省略
■第10章 憲法裁判所
直接民主主義を中核とした政治システムをつくったとき、
市民と政府は、中央、地方を問わず絶えず緊張関係におかれ、
政治は極めて活性化する。
そうなると、互いの調整や同意が必要となり、法律と住民投
票の関係や中央政府と地方政府の係争などについて憲法に基
づくルールを作っていくことが必要となる。
国民投票が憲法価値から逸脱していないかどうかも見る必要
がある。その作業を憲法裁判所が担うわけだ。
憲法裁判所は、市民の政府に必要不可欠なものとなる。
■第11章 財政
税制も含めた財政の仕組みが、専門家でも理解しにくいほど
難解で、市民の監視の目が届かないからである。
現行憲法には財政について多くの条文が存在している。財政
法によると、原則として借金はできないはずであるが、但書
きにより許されている。これが現憲法のもとで無限大に乱用
されていくのだ。
その税率の決定も自治体及び市民の自由にする、つまり市民
の目のと毒範囲で行うということを原則にし、国レベルでも
アメリカの州憲法に見られるような財政規律を掲げた新しい
憲法を構想してみる必要がある。
■第12章 伝統と文化
現行憲法には、伝統と文化や歴史、民族性への言及がない。
これをいれるべきである。
■第13章 戦争放棄と平和への貢献
今では過去の両大戦で見られたような国家の主権が互いに
ぶつかり合うような戦争は考えられなくなったということ
をまず確認
すべきである。
日本はこれまでの戦争観の延長上に自衛隊を拡大しつづけ、
先のアメリカのアフガン攻撃に乗じて、ついに海外にまで
自衛隊を派遣するに至った。しかし一方の危機管理につい
てはなんらの処置もとられていない。
国際的な危機管理にたいしては、各国の主権から完全に独
立した国際的な危機管理組織を国連内に設け、その組織が
対処する。
国内の危機管理に対しては、自然災害に対しては、現在の
各省庁横断体制を一新し、新設の危機管理庁が対応する。
テロなどの国内の騒乱は、第一義的に警察が対応すること
とし、その規模や質に対応して何らかの武力を与えても良い。
以上
【先週の主な活動】
■7月1 日(月)
08:00 第539回マンデーレポート
09:30 来客
■7月2日(火)
09:00 茂木町長選・矢野和一候補出陣式
★民主党県連が推薦する「やの和一」候補の出陣式に出席。
激励演説をした。「『利』の政治』を「『理』の政治」に変
えようと訴えた。その後上京。
12:00 常任役員会
★その日 午前中に行われた民主党全体の役員会で、代表
選挙の日程が9月16日から同月23日に変更になったことが角
田会長から報告された。個人的には、代表選挙をこの時期に
行うことの意味を疑問に感じている。鳩山、菅、そして若手
が三つ巴になって代表選挙を争うことを一番歓迎し、そして
ほくそえんでいるのは自民党だからである。
民主党が挙党一致体制をとれるようにするのにはどうしたら
良いか。
思いをめぐらしているところだ。
14:00 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ
14:30 議運委員会
★明日の本会議について。
18:00 林芳正参議院議員のバンドGiinz(ギインズ)
チャリティーコンサート
★骨髄バンクのためのチャリティーコンサートを激励。
ギインズの皆さんはなかなかの迫力。小此木八郎氏の
ソロボーカルは玄人顔負け。
なかなか良い味を出していた。浜田衆議院議員の明るい
キャラは雰囲気を盛り上げ、林氏の曲も素晴らしかった。
自民党若手も多士済済である。
■7月3日(水)
09:00 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ
09:30 議運理事会
09:40 議運委員会
10:00 本会議
★サミット帰国報告と質疑(民主党・新緑風会
藁科満治議員 15分)と民間活用特定整備促進
臨時措置法案と、首都圏・近畿圏整備法案の採決。
藁科議員のパレスチナ問題関係の質問のポイントは、
ブッシュ大統領が提起したアラファト退陣について、
小泉総理が賛意を表したとの報道が事実かどうか
であったが、総理は明確な答えを避けてしまった。
この点について、議運として場内協議をしたが、
再答弁をさせるまでの結論は得られなかった。
本会議での質問に対する答えがあったかどうか、
いわゆる「答弁もれ」があったかどうかは、
時として判定が困難となる。
質問者の質問の全趣旨を適格にとらえ、直截簡明な
答弁をしてほしいものだ。
12:00 国対・理事合同会議
17:30 連合栃木「透明で民主的な公務員制度改革
を求める街宣行動」に参加。谷参議院議員とともに
宇都宮駅西口で街頭演説。
18:20 石川誠さんの通夜式に参列。
19:30 宇都宮中央ライオンズクラブの新年度第1例会に
妻とともに参加。
■7月4日(木)
10:00 経済産業委員会 自動車リサイクル 質疑・採決
11:00 故石川誠様(株式会社 双葉 代表取締役)告別式
弔辞奉呈。
★石川さんは父の友人。父の時代から私へと変わらぬご支援を
いただきました。心からご冥福をお祈りします。
その後再び東京に戻り、午後2時から上記委員会に出席しました。
14:30 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ
15:00 議運理事会
18:00 第10回東京栃木県人会 総会
★福田知事も参加。装丁家の荒川じんぺいさん、ビオラ演奏家
の村山さんなどと久しぶりに懇談。友人の声楽家小ニ田さん、
村山さんもアトラクションで歌を披露。お開きまでお付き合いしました。
19:30 懇談会
★鳩山代表らと懇談。党内事情についての意見を率直に
申し上げました。
■7月5日(金)
09:00 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ
09:30 議運理事会
09:40 議運委員会
10:00 本会議
★エネルギー憲章条約・同議定書、
使用済み自動車再資源化の条約2件の採決。
国際問題調査会からの中間報告の聴取。15分で終了。
11:00 議運理事会
★次回本会議は来週の水曜日になることなど確認。
13:15 国会見学・国政報告(栃木県金属産業労使会議の皆さん)
★JAM連合の宮路委員長や広瀬書記長を中心にした
視察団の前で20分の国政報告を行いました。副議長に
面会できたことなどについて謝意を述べられ
恐縮しました。
14:30 全建総連「国民医療及び建設国保組合の改善」請願受付
★全県総連の建設国保にかける意気込みはすさまじい気迫
を感じます。この日も全国から7000名の参加者が炎天下を
ものともせずにデモ行進。
私もなんとか時間を作って議員面会所の前にかけつけました。しかし
時すでに遅し。地元栃木のみなさんの行進はすでに終った後でした。
残念です。地元に帰る新幹線の時間ぎりぎりまでエールの交換をしました。
19:00 茂木町長選挙・矢野和一候補 必勝大会
★前町長の流れを汲む対立候補と激しい選挙戦を展開してきた「やの」候補。
選挙戦の最後の締めくくりとも言える集会で応援演説。
大変気持ちの良い盛り上がった集会でした。町政の流れを変えたいとの
矢野さんの思いがかなえられるよう祈っています。
■7月6日(土)
15:00 小林一男「湖水に映える夕べの響き」コンサート
★テナー歌手の小林さんはNHK交響楽団の第9でもしばしばソロを
務めたわが国屈指のテナー。そして六本木男声合唱団の指揮者としても
ご指導をいただいています。河口湖畔の円形ホールで行われたファンの
集いもかねた小コンサートでしたが、後援会長の羽田孜さんご夫妻や
鈴木寛参議院議員も出席。心温まる演奏会となりました。
終演後のガーデンレセプションにも参加。その後河口湖畔で羽田孜さんから
成城学園で小沢征爾さんと同級生だったとの「意外な話」を聞いたり、
羽田さんの弟さんからも小沢さんの隠れたエピソードをいろいろ聞くことができ
非常に盛り上がりました。