国会通信 No.566

  【政権のたそがれ】

2003/2/3 (マンデーレポート566の要旨)


〔主な内容〕 小泉施政方針演説の印象 【1】 自信喪失 【2】 現状分析の頼りなさ 【3】 不況の最大要因、それは「政治」だ。 【4】 ピンぼけの処方箋、改革もどきのパッチワーク 【5】 言い訳 【6】 たそがれの小泉政権 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【たそがれの小泉政権】 ■1月31日(金) 参議院本会議場で、政府4演説を聴取した。  また、直前の議運で、これに対する質疑は、来週の4日、  5日に行なうことを決定した。 ■小泉内閣にとっては2度目の通常国会。そして通常国会の  冒頭に行なわれるのが、総理、外務、財務、経済の担当四大臣に  よる政府四演説。そのなかで特に注目されるのが、総理大臣の施政方針演説である。 ■今回は、議運に報告されたところでは、四大臣の演説時間は、合計で1時間15分。  そのうち総理大臣は35分の見込み。  演説はまず衆議院で午後1時から行なわれ、午後2時半から参議院で行なわれた。 ■小泉さんとしては総理大臣になって2度目の施政方針演説。  以下その印象を述べたい。 【1】自信喪失    日本経済の厳しい現状について、その原因の分析、そして、    将来への対策、その両面にわたり、総理には確信がない。その    結果として、完全に自信喪失している。内面の不安が強く漂ってくる演説だった。    昨年の演説のような熱っぽさが消えた。独りよがりではあったが    それなりの方向性を感じさせた昨年の迫力は全く消え去り、    憑き物が落ちた後の脱力感しか感じられなかった。 【2】現状分析の頼りなさ    総理演説の冒頭部分で、日本経済の現状分析に言及、以下のように述べた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――  「日本経済は、世界的規模での社会経済の変動の中、単なる景気循環  ではなく、複合的な構造要因による停滞に直面しています。」(※1)  「不良債権や財政赤字などの『負の遺産』を抱え、戦後経験したこと  のないデフレ状態が継続し、経済活動と国民生活に大きな影響を与えて  います。」(※2) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― この部分がが現状分析についてふれた部分である。 原因として 〔1〕「世界的規模での経済変動」 〔2〕「複合的な構造要因」 〔3〕「不良債権」 〔4〕「財政赤字」  の4つを列挙している。 しかし、肝心なのはこの4つの要因がどう絡んでいるか についての認識である。それについてはむしろ触れずに、逃げている。 また、それぞれの内容についても具体的には言及しない。 これでは正しい対策も立てられるはずはない。 また、日本経済がデフレにあることは明瞭に認めたのだが、なぜデフレに なったのかについての分析も明らかにしていない。 私は、いわゆる構造改革路線も、金融機関におけるBIS基準(※)も、 デフレ経済の原因となっていると考えている。まさに総理の誤った改革が デフレの大きな原因となっていると考えている。すなわち小泉不況である。 しかし、総理の施政方針演説はこの重要な論点については何も答えていない。 (※)BIS基準と貸しはがし。 スイス・バーゼルの国際決済銀行で取り決めた自己資本比率に関する 申し合わせ。海外に拠点を有する銀行は自己資本を8%以上保有しなければ ならないとの取り決め。 すなわち運用資産(融資)は自己資本の12.5% 以内に抑えなければならないことになる。英米仏独の金融機関は 株式の保有を禁止ないし伝統的に保有していない。日本の銀行のみ 株式を保有。そして上記自己資本の中に株式の含み益を参入することを 87年、当時の銀行業界と大蔵省の共同作業で、日本は認めさせた。 これがバーゼル合意である。 その結果として、株価が下がるとほぼ自動的に運用資産を圧縮せざる を得ない状況になる。いまや含み益どころか含み損まで生じている。 これによりますます自己資本は減少し、それが 運用資産の圧縮、すなわち「貸しはがし」の圧力となり続けている。  バブル最盛期、株価高騰で自己資本比率のクリアは実に容易だった。 しかし、不幸なことに、世界の潮流に反する銀行の株式保有を改め ようとする努力を、銀行業界も日本の政治も完全に怠った。  バブルは崩壊。株価も最高値から言えば30%に。このことが すさまじい信用圧縮=貸しはがしに間違いなくつながっている。 【3】 不況の最大要因は、「政治」ではないか。 現在の経済不況の最大の原因はわが国の政治の無能力にある。 多くの改革案は、その速度において微温的、その内容において折衷的にされた。 その原因の多くはまさに、政官業の癒着構造にある。癒着の中で、すべてが 中途半端にされる。 癒着の中で急進的な改革は困難である。その最大の要因は自民党である。 そしてその自民党を「ぶっ壊す」と断言したからこそ、国民は小泉さんを 期待した。しかし、改革の最大の障壁であり、不況を刻一刻と深刻化する 自民党政治との戦いは言葉だけのものでしかなかった。 例えば、不良債権の問題にしても、韓国は2年間で収束させた。 しかし、日本は最初の金融機関の破綻(92年の大阪信金)以来10年余も 金融システム混乱が続き、悪いことに危機は深化し、拡大化している。 金融不況の大きな要因の一つは、日本の銀行の例外的な株式保有にある のに、この核心に触れた改革策(=銀行の株式保有禁止)は今もって 浮上しない。そしてメガバンクは自民党への献金を今も継続している。 個々の企業と個人の政治家というより、銀行業界と自民党の大きな 癒着が、刑事訴追はもちろんのこと、金融改革を遅らせ続けている。 最大の構造改革こそ、癒着構造の打破である。しかし、小泉さんの 施政方針演説はこの点に全く触れていない。 【4】 ピンぼけの処方箋、改革もどきのパッチワーク 改革の方針について、総理は ――――――――――――――――――――――――――――――――― 1 「大胆な構造改革を進め、21世紀に相応しい仕組みを作ることによって こそ、こうした状況を抜け出し、日本の再生と発展可能になります。」 2 「わが国の経済・社会に残る非効率的な部分を取り除き、技術革新や 新事業への積極的な挑戦を生む基盤を築く。」 3 「そして国民が安んじて将来を設計できる環境を整備する。」 4 「これら多方面にわたる課題に一つ一つ着実に取り組んでいます。」   5 「改革なくして、成長なしとの路線を推進してまいります。」(※7) ―――――――――――――――――――――――――――――――― 述べたうえで、歳出、税制、金融、規制の4つの改革に触れた。 歳出の点では、「一般歳出を14年度の水準以下に抑える」など、 引き続き緊縮財政を行なうことを改革の柱においている。 税制改革では、相続・贈与の減税、土地流通税の軽減に触れるのみで 目玉らしきものなし。 不良債権問題は平成16年度に終結させる旨明言するのみ。 目新しいものなし。 その他、具体的な言及は極めて少なかった。 このような演説を聞いても、総理がなにをやろうとしているのか、 改革の具体的な方向をどう考えているのか、一向に分からない。  マスコミや学者が口にする様々な改革論のパッチワーク、私には そんな印象だった。世間には、多種多様な改革論が氾濫している。 そのどれもが一理ある。しかし、実際は、それぞれがぶつかり合 ったり、優先順序を間違えると逆に副作用を起こしたりする。  政治の重要性は、そんな氾濫する改革論を整理し、優先順位を つけることである。しかし、演説からは、もっとも重要な、 改革の優先順位についての総理のリーダーシップが見えてこない。 【5】 言い訳  「改革は道半ばにあり、成果が現れるまでには、いましばらく 時間が必要です。」と総理は述べた。総理在任1年9ヶ月たった。 国民は「自民党をぶち壊す」ほどの大改革を期待し、それゆえ 高い支持率を与えた。改革が大胆なら大胆であるほど、そろそろ その成果の一端でも見えてこなければなるまい。しかし、今もって 「時間が必要です」と言いつづけるのは、もはや言い逃れでしかない。 【6】 その他 ・軽薄な列挙主義、、、IT政策についても知財政策についても、政策の 本質が分からず、整理せずにぶちまけた感じ。 ・ 懐古主義と精神主義の強調が目立った。 ・プロジェクトXは人気番組だが、気をつけなければならないのは、 自己満足と過去の栄光に逃避すること。なんとなく小泉さんには 政権のたそがれが漂ってきたように感じた。 【先週の主な活動】 ■1月27日(月) 08:00 第565回マンデーレポート 09:30 北條精肉店(株)朝礼 11:00 電機連合栃木地協・原田議長を訪問 13:00 民主党県議団対知事予算要求 18:30 さとう栄総合選対結成大会 ★宇都宮選挙区で民主党推薦で県議選に出馬する佐藤栄さんの  選対結成式が行なわれました。エネルギッシュで明るいキャラの  佐藤栄さんは民主党県議団になくてはならない人。ともに戦う  決意表明を行ないました。   ■1月28日(火) 09:00 予算委員会 ★民主党の山下、川橋両議員が与党を追及しました。  小泉総理は、衆議院の予算委員会で「公約を守らなかったのは  たいしたことではない」といったこについて陳謝しました。  当然です。公約こそ有権者への政治家の契約です。  公約こそ、政治家の有権者への責任の根拠です。  公約違反はたいしたことでないと明言する総理は、  政治家としてもっとも大切な原点が欠けています。  また総理は陳謝はするが、撤回はしないそうです。  有権者を馬鹿にするのも甚だしいと思います。 12:00 常任役員会 19:00 議長主催 新旧議運委員長・理事との懇談会 ■1月29日(水) 11:45 議運委員部と打合せ 12:00 国対・理事合同会議 13:00 議運理事会 ★次回本会議を30日に開き、補正予算についての採決と  補正予算関連の地方交付税法案を緊急上程(※)し採決  することで合意しました。また補正予算については  民主党・新緑風会の郡司彰議員が反対討論、また与党が  賛成討論をすることも決めました。 (※)委員会で採決した法律案等の本会議採決は、    日を変えて次の定例日に行なうのが通常のパターン。    ただし緊急性を要する場合など、案件によっては、    委員会採決と同日に本会議を立てて、採決する場合が    あります。これがいわゆる「緊急上程」です。 ★昨日 参議院の議員会館の裏口から男が侵入、一升瓶に  入った液体(ガソリン?)を入り口付近にまき放火、  ただちに取り押さえられたものの、煙と臭気は7階にまで  及びました。警備の盲点をつかれました。男は、逃げもせ  現場で立ち尽くしていた模様で、売名行為以外の何者でも  ありません。ただ、議員の部屋に行こうとすれば、駆け上  がれば簡単に侵入できる状況でした。警備については  基本的な見直しが必要です。しかし、国会の権威の喪失が  このような行為を誘発させている一面もあります。自戒  すべきです。 ■1月30日(木) 11:40 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ 12:00 議運理事会 17:10 議運委員会 17:20 本会議 ★補正予算の採決、地方交付税法案の採決。 ■1月31日(金) 12:30 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ 13:00 議運理事会 14:10 議運委員会 14:30 本会議(上記) 18:30 連合栃木鹿沼地協2003年新春の集い ■2月1日(土) 10:00 山田みやこ総合選対結成式。 11:00 飯島さんお見舞い。 12:00 上三川 隅内町議のお父上の葬儀に参列。 13:00〜井上家、太田家弔問。  ■2月2日(日) 10:00 立正佼成会宇都宮教会節分式典 15:30 宇都宮精肉商組合総会 17:30 鹿沼山崎市議の新年会に参加。