国会通信 No.573
【攻撃は国連憲章違反】
2003/3/24 (マンデーレポート573の要旨)
〔主な内容〕
【1】 もどかしい国会対応
【2】 アメリカのイラク攻撃は国連憲章違反
【3】 過去の安保理決議は戦争の根拠になり得ない
【4】 国連憲章解説
【5】 先週の主な活動
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【1】もどかしい国会対応。
●先週の14日。議運理事会において以下の決議案を提起し、
与党を含む各会派はこれを持ちかえった。
●《野党提出の「平和的解決を求める決議案」の内容》
イラク問題の平和的解決を求める決議(案)
アメリカのブッシュ大統領が、イラクへの最後通告をした今、
国連安保理決議なきイラクへの武力行使が強行されようとしており、
断じて容認できない。
二度の世界戦争の悲惨な体験から、人類は、国際連合を生み出し、
紛争の平和的解決に努力してきた。日本は、国連憲章及び日本国憲法
に定める理念を最大限に生かすため、大量破壊兵器がもたらす脅威また
新たな武力の行使に対して、国際社会が一致協調してイラク問題の
非軍事的解決を図るよう、主導権を発揮していかなければならない。
ここに、日本をはじめ、各国が国家間の対立を超え、あくまで
平和的手段で問題の解決を図るよう、世界に向けて強く訴えるものである。
●アメリカのイラクに対する攻撃は明らかな国連憲章違反である。
国際的な反戦世論の高まりを背景に、小泉政権のアメリカよりの対応を何とか
阻止したい。その戦術のひとつとして「国会決議」がある。そんな意図での
提案であった。議員一人一人の戦争に対する態度を明確にさせ、わが国の
国会の意思としてこの戦争への姿勢を明らかにしたい、そのように考える
のは当然である。
しかし、この戦術には以下の「限界」がある。
●それは、国会の決議が「全会一致」が原則ということだ。
与野党ともに合意できる内容でなければ本会議には上程できない。
結果として、提案は与党の検討中というあいまいな
対応の中で、事実は先に進み、「48時間」は経過、そしてイラクへの
空爆が日本時間20日の午前11時45分過ぎに始まってしまった。
「平和的解決」は意味がなくなってしまった。
●重要な日本の外交方針決定に国会は無力であった。議運理事として
きわめて残念である。
一人一人の議員の信条を本会議の壇上で披瀝する、そんな真摯な緊迫した
瞬間をこの国の
国会は持ち得ないのである。なんたることか。
【2】アメリカのイラク攻撃は国連憲章違反
●総理は今回のアメリカのイラク攻撃を国連憲章にも国際法にも
違反しないと主張する。しかし、それは明らかに間違っている。
●まず国連憲章の基本的な構造を解説する。
●20世紀の戦争の惨禍を克服するために国連憲章は基本的に戦争を禁止し
二つのケースに限定して戦争を認めた。
●国連憲章が認めるたった二つの戦争とは
(1)安全保障理事会が認めた戦争
(2)自衛戦争
それ以外の戦争は禁止しているのが国連憲章。いかなる理由であれ、
一国の勝手な判断に基づく先制攻撃を禁止したのが国連憲章の歴史的意義
なのである。この基本的な構造が大切である。
●今回の攻撃にあたって米英は新たな安全保障理事会の決定を求めた。
しかし、仏、ロ、中国、ドイツ等の強い反対で決議できなかったことは
世界中が知っている。したがって(1)安保理決議に基づく攻撃でないことは
明らかである。
●また(2)の自衛戦争にもあたらない。
国連憲章は、武力攻撃が「予想されたり」「そのおそれがある」場合に行われる
ものまで自衛戦争と認めてはいない。現実に攻撃が行われた際に認められる
反撃行為、それが憲章51条が認める自衛戦争なのである。
イラクがアメリカを現実に攻撃した場合ではないから「自衛戦争」ではない。
●以上のように国連憲章が認める二つの戦争に該当しない以上、
憲章違反・国際法違反は明らかなのである。
【3】過去の安保理決議は戦争の根拠になり得ない。
●ブッシュ大統領も小泉総理も、自衛戦争とは言いがたいことを承知の上で
攻撃の根拠を過去の安保理の決議に求めようとする。
● そもそも安保理の新決議を得るために日米とも必死の多数派工作をして
いたのは、日米とも新決議が必要なことを認識していたことの証明である。
いまさら過去の安保理決議に逃げ込もうとすること自体、自らの不正を
認識していることの証明だ。
●百歩譲って、昨年成立した安保理決議1441を検討してみよう。
外交文書は非常に読みづらいが、その最後の結論の部分だけ、そのまま引用すると
以下の通りである。
「(前略、大量破壊兵器廃棄についてのイラクの過去の決議違反を列挙した上で)
その文脈において、同理事会がイラクはその継続的な義務違反の結果、
深刻な結果に直面すると繰り返し警告してきていることを想起する。
この問題に引き続き関与することを決定する。」
●決議1441の締めくくり部分の文言は、
「継続的な義務違反の結果、深刻な結果に直面する」としか言っていない。
この決議内容のどこに戦争容認の余地があるといえるのだろう。
●13年前の湾岸戦争の時の安保理決議、これは明らかに戦争を容認しているが
そのときの文言の締めくくり部分は
「加盟国に対しあらゆる必要な手段をとる権限を与えたことを想起し、」と
なっている。
●安保理が武力行使を容認する場合は、
「あらゆる必要な手段をとる権限を与えた」といったはっきりとした表現を取る。
これと比較すると1441が武力行使を容認する決議でないことは明らかである。
●さらに1441の内容に13年前の湾岸戦争の決議も一緒に入っているから、
いいんだという言い方がある。ブッシュ大統領も小泉首相もそのような
説明をするが、13年前の安保理決議を現在に持ちこんでくるのは無理がある。
それを許すなら過去の歴史上の出来事すべてを理由にした戦争が許される
ことになる。そんなことを国連憲章が許すわけがない。
【4】国連憲章解説
■難解な条文だが重要なのでそのまま引用する。お許しいただきたい。
■前文
●大原則の宣言
共同の利益の場合を除く外は武力を用いない
ナマ条文
われら連合国の人民は、、、、(略)、、、、、、、、、
寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互に平和に生活し、
国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、
共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の
受諾と方法の設定によって確保し、、、、、
これらの目的を達成するために、われらの努力を結集する
ことに決定した。
■紛争の平和的解決(第6章)
●「紛争の平和的解決」が原則
いかなる紛争でも、当事者が選ぶ平和的手段による解決を
求めなければならい。
ナマ条文
第三十三条
1 いかなる紛争でもその継続が国際の平和及び安全の維持を
危くする虞のあるものについては、その当事者は、まず第一に、
交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域的機関又
は地域的取極の利用その他当事者が選ぶ平和的手段による解決を
求めなければならい。
■例外的な戦争
(第7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動)
●「安全保障理事会が認める戦争」
42条 安全保障理事会は、第四十一条に定める措置
(→兵力の使用を伴わない措置)では不充分であろうと認め、
又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び
安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとる
ことができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は
陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。
●自衛権の行使としての戦争
51条
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が
発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に
必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を
害するものではない。
【先週の主な活動】
■3月17日(月)
08:00 第572回マンデーレポート
09:30 事務所選対会議
★ 統一地方選挙の各地区分析と対策を指示。
■3月18日(火)
08:00 経済産業・財金・内閣・経済戦略合同会議
08:00 外務・安保合同部門会議
★ ロシア公使をヒアリング。
12:00 常任役員会
★ イラク攻撃のタイムリミットを48時間ごとするブッシュ演説の報道。
ぎりぎりの局面。野党として戦争の平和的解決を求める決議案を参議院でも
提出することを決め、先週の金曜日に与党にも賛成するよう提起。
これを与党側は持ちかえったまままだ回答がない。(上記【1】)
12:10 経済産業委員会
★ 大臣の所信表明が行われた。
12:30 議運理事会
★ 次回の参議院本会議は、明日19日の水曜日、午前10時より開会。
案件は 藤田元議員逝去につき弔詞贈呈、
人事案件(図書小委員長)
社会資本2法案の趣旨説明・質疑
(民主党・新緑風会 谷林正昭議員・15分・重要広範議案―総理出席)
義務教育国庫負担法改正案の趣旨説明・質疑
(民主党・新緑風会 神本美恵子議員・15分)
などを決定。
★ 民主党提案の平和的解決を求める国会決議については、共産、国会改革連絡会は
賛同。しかし肝心な与党会派は検討中と態度を明らかにしなかった。
★ 本音が「反対」なら、早く反対と言ってくれたほうがよいのに。時間切れを待つ
与党の対応を苦々しく思う。(上記【1】参照)
13:20 消防庁総務課長よりレク
13:40 来客
18:00 日本弁護士政治連盟・国会議員の先生方を囲む懇談会
18:30 古賀一成を励ます会
■3月19日(水)
08:00 経済産業部門会議
09:00 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ
09:30 議運理事会
★ ブッシュ大統領が設定した攻撃開始のタイムリミットは
日本時間で20日午前10時。そしてその直後に総理が記者会見するとの
報道。湾岸戦争のときは、開戦直後に総理の国会報告・質疑が行われた。
今回はどのように本会議を立てるのか、それが目下の議運の最大関心事項。
★タイムリミットが明日と迫り、本会議の立て方について再三議論。
結果として以下のように結論を出した。
★ 次回の参議院本会議は明日20日木曜日にセット。
ただし時間は未定、議員広報上は定刻開催(午前10時)で掲載。
★内容は、イラクに対する米国等の攻撃が行われた後、イラク問題について
衆議院で小泉総理の報告、参議院で同報告を行った後、衆議院で報告に対する質疑、
参議院で同質疑。
★ 民主党・新緑風会の質疑は広中和歌子議員。
★ 開催時間については、与党会派が「開戦後」を譲らず。したがって、アメリカの
攻撃次第で本会議開催時間が前後される「アメリカ次第」の変な状況になった。
さらに、攻撃の時間が不明である以上、深夜に及ぶことも予想される事態に。
09:40 議運委員会
10:00 本会議
12:00 国対・理事合同会議
16:00 議運理事会
17:15 議運理事会
17:30 裁判官訴追委員会懇談会
■3月20日(木)
9:00 故阿部ウメ様 弔問
10:00 経済産業委員会
★ 経済産業委員会に出席し、平沼経済産業大臣に質疑の途中、
11時45分ころ、大臣からアメリカの攻撃が始まったようですと
告げられる。
★ 委員会の室内で、私自身も「iモード」で時事通信の速報をチエック
していたが、そこでもバクダッド市内の状況が速報で流れた。
いよいよ無謀な戦争の始まりである。
★大臣は委員会の最中だが急きょ「安全保障委員会」に出席。
参議院の多くの委員会もいっせいに審議中断となる。
12:00 議運理事会
14:10 議運理事会
14:55 議運理事会
★ 小泉総理の記者会見が午後1時に行われるとの情報。
その後に衆参の本会議で総理の報告、さらに午後9時30分から衆議院
参議院は午後11時30分からの質疑となった。質疑の途中で日付が
変わるので「延会手続」をすることになる。自民党中曽根議員への
答弁が終ったのが11時51分。その直後に「延会」を議長が宣言。
いったん休止して午前12時5分から再開となった。
全部終了したのが午前2時すぎだった。
15:45 本会議
16:00 議運理事会
23:30 本会議