国会通信 No.588
【野党の限界】
2003/7/29 (マンデーレポート588の要旨)
【野党の限界】
【戦術的な限界の各論】
1 問責決議案
2 フィリーバスター制度
3 牛歩戦術
4 内閣不信任案
【最大の勝負は選挙】
【先週の主な活動】
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【野党の限界】
●深夜国会を2日続けた後 26日(土)午前1時44分
イラク特措法が参議院で可決され同法案は成立した。
残念である。
●我々は、法案担当の3大臣の問責決議案を連続提出(24日)
さらに衆議院の内閣不信任案と参議院の委員長解任決議案を
連動(25日)、合法的な議会内の戦いを挑んだが、
与野党の議席数の壁という厳しい限界は乗り越えられなかった。
●私自身は 野党の議運理事の筆頭として、国対委員長と連携
しながら奮闘した。しかし、議会制民主主義の枠の中では
善戦及ばず、多数を擁する与党の意思が通ることになった。
●もし、議会内の少数が、「牛歩」や「議場閉鎖」等の
物理的暴力を駆使し、結果として多数の意思を排除しうるとしたら
それはそれで民主主義を破壊することにもなる。
やはり最後は「選挙での決着」である。議会内の活動は、すべて
蓄積され、やがて選挙での決着に集約される準備行動として
位置付けられるしかないのである。
●多くの皆さんから叱咤激励を受けた。マスコミからも野党としての
戦いぶりに多くの批判も受けた。なかには誤解に基づくものもあるので
以下の3点について議運の筆頭理事としての考え方を述べたい。
1 問責決議案についての誤解
2 フィリーバスター制度についての誤解
3 牛歩戦術についての誤解
4 不信任案の限界
【戦術的な限界の各論】
【1】 問責決議案について
●この決議案は内閣不信任案とは異なって、一般の決議案と同様である。
内閣不信任は提出されれば、すべての案件に先立って審議しなければ
ならず、そのことを与党も拒否できない。
(このように、審議を先に行うこと=先議案件=が法律上要求されている
のは、以下の4件のみ。
1 内閣不信任案 (衆議院のみ)
2 議長不信任案 (衆参)
3 副議長不信任案 (衆参)
4 事務総長不信任案(衆参)
それ以外は、すべて通常の議案と同様の扱いである。)
●しかし、問責決議案は、基本的には通常の決議案と同様であり、
与野党の合意がなければ上程できない。
したがって、与党が委員会の審議ストップも辞さずという強硬な
態度をとれば、問責決議案の上程は出来なくなる。
●マスコミや国会議員の中にも、野党は全大臣の問責決議案をだせば
よいのに、などと無責任な批判があるが、全大臣問責などの手段を
議運の与党が容認すれはずは皆無である。
【2】 反対討論は延々とやれるか。
●討論時間は議運で決めるが、住民台帳法案のときに、「常識の範囲で
行うこと」として時間を決めずに実施したことがあった。
これを日本版フィリーバスターとして記憶している人も多い。
アメリカ上院での無制限討論制度の慣習がいわゆる「フィリーバスター」
であり、映画「スミス都へ行く」とともに強烈な印象を持つ人もいる。
●4年前のこのときは委員長解任決議案の提案理由説明を円より子議員が
4時間余、賛成討論の千葉景子議員が70分、等々他の野党の皆さんも
がんばった。
●しかし、その直後、与党は「発言時間制限」の動議を提出し、
賛成多数で動議は可決、結果としてその後の討論時間は
よけい厳しい10分間に制限されるというしっぺ返しを
受けることになった。
【3】牛歩戦術についての誤解
●投票に際して牛よりものろい歩みをし、採決の時間を少しでも
遅らせようとする抵抗戦術がいわゆる「牛歩」。
55年体制時代の社会党の典型的抵抗戦術だった。
●ところで参議院の投票は 原則「押しボタン」式。
したがって、牛歩のためには、出席議員の5分の1の要求による
「記名投票」が必要となる。
これは参議院規則138条。
●これを決めるのはもちろん院の多数決。
したがって、与党がこの規則を多数の力で変えてしまうと、
もちろん牛歩の余地はなくなる。
さらに投票時間の制限も、動議により可能。
●旧社会党時代に牛歩戦術が有効であった印象は、
国対のボスどおしの談合の結果のパフォーマンス。
●物理的な暴力で採決の結果を左右できるとしたら、
それは議会制民主主義の暴力による破壊につながりかねない。
【内閣不信任案の限界】
●すべての抵抗戦術の中でもっとも協力なのは内閣不信任案。
これが出されると、衆参ともすべての審議はストップし、可決
されれば、内閣は「総辞職」か「解散」の選択を迫られる。
●しかし、これすら与党の提出する「内閣信任案」の前では
意味をなさなくなる。
●内閣信任決議案が国会に提出された例は過去2回。
1 鳩山内閣信任決議案
昭和31年 第24国会 自民党提出
ただし提出後撤回。
2 宮沢内閣信任決議案
平成4年6月12日 第123国会 自民党提出
同月14日 可決成立
●これが出されると、「同種の案件は同一の会期で審議しない」
という「一事不再議」原則により、野党の内閣不信任案はもちろん
個別大臣についての不信任案も提出できなくなってしまう。
野党としては全面降伏せざるを得ない。
●平成4年の時は 6月12日に与党が信任案提出、
翌13日、野党が不信任案提出、14日に
先に信任案について可決採決され、不信任案は採決の
機会を与えられずに葬られてしまった。
●内閣信任案が可決された歴史上唯一の例は、
平成4年の宮沢内閣であったが、奇しくもその1年後
宮沢内閣に対する野党提出の不信任案は、与党の
大量の造反者(後の「新党さきがけ」、新生党)によって
可決成立。歴史は皮肉である。
●与党の分裂が前提
以上、野党の戦術の限界について論じた。しかし、この戦術が
有効な場合がないわけではない。それは、野党の強硬な戦術が、
与党を動揺させ、分裂を招き、造反者がでる場合である。
政権交代を起こした93年の宮沢内閣への不信任案提出、そして
可決成立はまさに、政治改革を巡る与党内の対立が背景にあったから
不信任案は可決成立し、政権交代へとつながったのである。
残念ながら、小泉政権にはそこまでの亀裂は、まだ入っていない。
【決着は選挙】
●民主党と自由党の合併協議がまとまった。
●この問題については
私は二つの前提条件を挙げていた。
それは
1 民主党という政党名の継承
2 政策理念の継続
●このことが満たされた以上 異存はない。
●政権交代のために、ポストをなげうった小沢さん、
さらには自由党との合流にいち早く取りくんだ鳩山さん、
この二人の努力を忘れてはならないと思う。
●野党戦術の限界をうち破るのはまさに議席数の逆転しかない
のである。民主主義のこの厳しい現実をふまえ
政権交代に全力を上げるのみである。
【先週の主な活動】
■7月22日(火)
08:00 第587回マンデーレポート
12:00 常任役員会
12:30 議運理事会
■7月23日(水)
09:00 議運委員部と打合せ、国対委員長と打合せ
09:30 議運理事会
09:40 議運委員会
10:00 本会議
12:00 国対・理事合同会議
13:00 民主党議員と全国中小企業団体連合会との懇談会
18:30 文化芸術振興基本法推進フォーラム交流会
19:00 三枝成彰2003新作コンチェルトとオペラ
■7月24日(木)
11:00 議員総会
12:10 両院議員総会
11:50 経済産業委員会
17:30 議運理事会
17:40 議運委員会
18:00 本会議
★川口外務大臣に対する問責決議案
19:45 議運理事会
21:00 本会議
★石破防衛庁長官に対する問責決議案
23:15 本会議
★福田官房長官に対する問責決議案
23:40 議長延会手続き
24:10 再会
25:30 散会
■7月25日(金)
10:00 外交防衛委員会審議再開
11:45 衆議院野党 内閣不信任案提出
17:30 外交防衛委員会
19:30 強行採決
20:00 野党3会派の議運理事 議運委員長に面会。
★強行採決を抗議し 以下の3点の申し入れ。
@外交防衛委員会採決の無効の確認。
A本会議の設定には断固反対。
B委員会審議への差し戻し。
★これに対し委員長は以下の回答。
@いちおう申し入れの趣旨は与党に伝える。
Aしかし議運は 個別委員会の審議の有効性を審査する権限はない。
また、同様に際し戻しをする権限もない。
20:30 議運理事会
★与党側 本会議の設定を求める。野党側 拒否。
21:30 議運再会
★平行線。この後 野党側 外交防衛委員長の解任決議提出。
23:00 本会議
★外交防衛委員長解任決議案の審議 所要1時間10分。
★延会手続きの後 12:10再会。
★イラク特措法の上程 与党賛成多数で可決。
★委員長報告の後討論。
★賛成136票 反対 102票
★可決の時間 午前1時44分。