国会通信 No.623

  【執行部一新を】

2004/5/10 (マンデーレポート623の要旨)


〔主な内容〕 【1】菅代表の二重の過ち。 【2】戦術選択の誤り 【3】3党合意では戦えない。 【4】小さな成果主義に陥ってはならない。 【5】執行部一新を。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】菅代表の二重の過ち ●テレビに連続して生出演し懸命に釈明する菅代表の姿。  辛らつを通り越して無礼に近い質問、そして菅さんの話を  遠慮なく遮断するキャスター。閉店時間だから帰れと言わん  ばかりの切り上げ方。見ているこちらもつらくなるような  テレビの光景が続いている。 ●しかし残念ながら彼らの指摘の正しさは認めざるを得ない。  菅代表と執行部は二重の間違いを犯したのである。  第1は、年金未納問題を審議拒否戦術の中心にすえたこと。  第2は、衆議院の出口で与党と迎合し、国会正常化と争点ぼかし  に手を貸すことになったことである。 【2】戦術選択の誤り ●第1の戦術選択の誤りであるが、  たしかに、未納未加入問題は制度改革の重要な論点ではある。  しかし、もっと本筋の論点や戦い方があったはずだ。  その本筋で戦うべきであった。 ●本筋の論点とは何か  それは政府案の本質的問題点であり、政府の民主主義を無視した  乱暴の審議方法である。 ●政府案の本質的問題点とは、言うまでもなく    1 保険料の負担急増と支給削減   2 年金制度に巣くう癒着構造の温存  である。厚労省は、新制度での試算を連休中にようやく明らかにした。  それによると支給レベルが50.2%というのは改正案実施後2,3年、  その直後から40%台にじわじわと落ち込むことが明かされた。  こんなふざけた対応を政府はしてきたのである。  また、年金官僚たちの巨額な浪費や天下りの問題については  政府案では何も手がつけられていないのは言うまでもない。 ●手続きもむちゃくちゃである。民主主義の議会で、国民に  大きな負担を強いるときには丁寧な論議を尽くすのは当たり前。  しかし今回の年金の論議はひどいものである。   1 実質審議時間はたったの17時間。   2 有識者や国民各層からの意見を聞く参考人も公聴会も  カット。  一言で言えば、前代未聞の粗雑さである。   民主党はこれらの本筋で戦うべきであった。 ●さらに、未納問題を理由に委員会の審議拒否をし、また3閣僚の  責任問題を問おうとするなら、自らの足許を確かめるのは  当然である。この基本的なチエックを怠ったのは許されない  ミスである。 ●現在、社会保険庁の長官経験者が、日本歯科医師会の  贈収賄問題で逮捕され、年金問題の国会論議にも大きな影を  投げていた。残念ながら、社会保険庁の癒着問題は、  与野党国会議員の未納問題(後記のとおり私もミスを犯した)の  影に完全に隠れてしまった。 ●議員の国民年金加入状況や、保険料の納付状況をもっとも  正確に把握している官庁は社会保険庁である。  そして誰かが菅さんの未納歴の正確な情報を把握、  そのうえで民主党に仕掛けたのではとかんぐりたくもなる。  もちろん安易に仕掛けに乗ったほうが愚かであることは  言うまでもない。 【3】 3党合意では戦えない。 ●菅代表と執行部のおかした2番目の過ちは「3党合意」である。  これでは、参議院選挙は戦えない。年金問題を最重要な争点と  言ってきた大方針が放棄されたのと同じである。 ●確かに、与野党協議機関を作り民主党案を含めた  議論をすることは意味のあることである。しかし、与党案の  枠組みを変えることは前提にされてはいない。全力をあげて  批判してきた与党案の修正を約束させたものではない。 ●菅代表や執行部は、次のように説明する。  すなわち、三党合意に関係のある「付則」に賛成するだけであって、  与党案の「本体」には「反対」するのだから、参議院で与党案の  問題点をあらためて追及することができる、と。 ●野党のこのような対応は、霞ヶ関周辺では「反対して通す」と  呼ばれる。正常な手続きで法案が送られてくることを「荷崩れなし」  の法案通過と呼ぶが、反対するにしても荷崩れなしの法案送付に  協力することになる。そして「荷崩れなし」で法案が送られると  参議院の審議は基本的に衆議院での審議を前提とすることになり、  野党として衆議院以上の審議ができづらくなるのは、この世界の  常識である。 ●参議院で、あらためて与党案の問題点を突けばよいといっても、  正常化して送付されれば、手足を縛られたのも同然である。  たとえば審議時間も衆議院なみ、公聴会設定すら容易ではないだろう。  野党の持つ駆け引きのカードは最初から限定される。  3党合意とは、参議院の審議において、与党の絶対優位を  保障する合意でもある。これではとても戦えない。 【4】小さな成果主義に陥るな。 ●野党の役割についてはさまざまな論議があろう。  現実的な成果を求め、1歩でも2歩でも努力する、  これも大切なことである。しかし、しょせんは野党、  国会では少数である。成果実現の力は圧倒的に  与党より落ちる。その状況で成果を求めれば、  結果は与党の協力を求め、挙句の果てには  迎合することにもなる。それでもよい、少しでも  前進したのだからと、言えるかどうかだ。   ●私は、大きな問題であればあるほど、  小さな成果に拘るべきではない。本筋の戦いを強烈に  与党に挑むべきであると考える。徹底して与党案の欠点を突き、  鮮烈に有権者にアピールし、そして次の選挙で勝つ。  議席で多数を占める。そして、自らの法案・政策を実現する。  明日をめざす。それが野党の最大の意義である。  小さな成果主義ではなく、次の選挙で勝つことにこそ  全精力を注ぐべきである。 【5】執行部一新を ●私は、小さな成果主義に陥いり、参議院選挙直前の重要な時期に  民主党の舵取りを誤った菅執行部は退陣しかないと考える。 ●もちろん、民主党案の実現の可能性を求めて、ギリギリの  努力を菅さんは行った。菅さんなりにギリギリの選択をし、  そして屈辱に耐えながらもテレビに出演し、民主党案の実現の  可能性を最後まで追求しようとした。そのすさまじい努力は  多とする。しかしその姿を見れば見るほど、多くの国民は  後ろに引いてしまっている。 ●与党案の問題点を参議院で徹底して追求するためには  自公両党との合意を白紙に戻すしかない。そしてそのための  方法はひとつしかない。合意に参加した菅さんや執行部の  主だった皆さんの退陣である。明日の両院議員総会では  このことを強く求めたい。