国会通信 No.649

  【次の内閣 越後湯澤合宿】

2005/1/17 (マンデーレポート649の要旨)


【1】次の内閣 越後湯沢合宿 ●1月11・12日、越後湯沢において民主党のネクスト・  キャビネット(次の内閣)の集中討議が行われた。2日  目には冒頭にネクスト法務大臣として今年の方針につ  いて報告し、円より子さん、小宮山さん、横路さん、達増  さん、等々からご指摘や助言を頂いた。 ●奈良県の女児殺害事件以後、性犯罪者をはじめとし  て、わが国の受刑者の再犯の問題がクローズアップさ  れている。日本の刑務所は単なる犯罪者を隔離するの  み、矯正機能をほとんど果たしていないのでは…そん  な根本的な疑問を持つ。 ●性犯罪者の情報の開示・公開制度をどうするのか等  のデリケートな問題をはじめとして、家庭や社会の犯罪  予防能力をどう高めていくか、刑務所等の収容施設の  矯正機能をどう高めていくか、等々の議論を早急に進  めていくことになった。 【2】憲法改正調査会の現況 ●今年は、衆参に設置された憲法調査会の設置期間5  年間が満了する年。各会派のこれまでの議論をどう集  約するかが焦点となっている。 ●私は、第1年目に調査会会員を勤め、最終年の昨年  後半から、会長代理となった。会長の関谷勝嗣氏に協  力しながらも、憲法改正の主役はあくまで国民であるこ  と、議論が国民の論議を置き去りにして、政治先行の  前のめりにならないよう、自戒している。 ●現在の論議の状況は、集約されつつあるとは言いが  たい。この国の将来像をめぐる、多様にして新たな憲法  論議が湧きだしており、むしろ5年間の論議は遠心的で  あったと言えよう。 ●私は、これを無理に集約することはないと考える。憲  法改正権は誰にあるか?それは言うまでもなく国民で  ある。憲法改正は国民主権の究極の現われでなけれ  ばならない。それに対して、国会は発議権を有するのみ。  この基本を忘れた、前のめりの対応は厳しく戒めるべき  である。 ●したがって、憲法調査会の報告書は、国民の改正判  断の基礎資料の提供であり、論点整理であるべきだ思  う。これを第1のステップとし、第2のステップは、国民に  よる各論点の具体的な論議に移行すべきである。 ●なお、憲法論議と政局を絡めるような動きも注意を要  する。たとえば、憲法改正を中心争点とした総選挙のよ  うな…。歴史的に見れば、革命などの大動乱の時期に  憲法が制定されることの方が一般的であった。しかし、  日本国憲法の場合、平和主義の大きな基本は動かす  べきではないし、したがって、政治的な混乱とデマゴギ  ー(煽動)の中での憲法論議は避けるべきである。 【3】民主党の基本は「創憲」論 ●憲法調査会のまとめの年にあたり、民主党の基本的  な考え方を整理しておくこととする。 ●民主党は、憲法改正について、国際的な情勢変化や、  社会構造の変化に対応して21世紀型の憲法を創造す  べきであるといった、「創憲」論の立場をとる。 ●現在の日本国憲法は、確かに戦前の軍国主義への  後戻りを防ぐための重要な防波堤の役割をしてきた。こ  のことは高く評価すべきである。しかし、国際環境の変  化(敗戦→東西冷戦構造→ソ連邦解体→地域紛争噴  出→国際テロ出現)に対応するために、自衛隊がきわ  めて無原則かつ便宜的に利用された結果、憲法9条の  形骸化を招いてしまった。さらに明治憲法以来の官僚  優位の政治体制は戦後も継続した。そしてその結果と  して、国民主権の反映であるはずの国会の地位は事実  上低下し、行政化した司法はそのチエック機能を弱め、  人権保障のみならず、国民主権や三権分立等の憲法  による保障を事実上極めて低い状況にしている。これ  が、憲法の空洞化である。 ●これに加えて、様々な国際環境の変化と、社会構造  の変化が20世紀の後半から劇的に起こってきている。  21世紀にもつながる文明史的な転換点は以下の4つ  に整理できる。 @国家の枠組みを超える新たな問題の出現  (大規模なテロ、地球的な異常気象、国境を越える病  気や感染症、インド洋津波のような大災害…) Aコミュニケーション革命  (コンピューターによる情報革命は、社会や経済のあ  り方を一変させた。IT革命により、情報やマネーは一  瞬の内に世界を駆け巡る。個人の意識革命の深部に  まで及ぶ社会・経済構造の大転換期が現在。)  これらの2つの結果として、 B地球市民といった新しい発想の出現 C国家を超える市民レベルでの連帯  (国家の枠組みでは処理できない問題へのNPOの  取り組みの重要性。)  以上の文明史的な転換点に対応した新たな憲法の創  造が必要であると考える。 ●これからの憲法は、国のあり方を示す「国民の意思の  宣言」といった、今までにないビジョンの宣言的機能を  持たせるべきである。そして、従来的な「頂点に立つ法」  としての法規範的な位置付けを強化すべきである。 【4】民主党の憲法改正・論点整理 ●昨年のマンデーレポートNo.648でも触れたが、以下  に掲げるのは民主党の党内の憲法調査会で検討中の  論点表である。詳細な検討状況は、今後適宜ご報告し  たい。 1.統治機構関係 @行政優位型構造を改め権力分立を明記。 A分権国家として中央政府の権限を限定列記する。 B首相主導の議院内閣制の制度の確立。 C二院制の在り方と政党の位置付けの明確化を検討。 D国民投票制度の採用。 E憲法裁判所もしくは憲法院など、憲法審査のできる   固有の審査機関の新設。 F会計検査、公会計、財政に関する諸規定の整備・導入。 G人権委員会などの裁判所ではない第三者機関の拡  充。 H憲法改正手続の検討。 2.人権関係 @新しい人権、プライバシー権、名誉権、知る権利、環  境権、自己決定権等を明記する。 A人権保障強化のための人権委員会を設置する。 B私人間にも平等保障を及ぼす。 C巨大メディアとプライバシーの問題。 D職業の選択の自由の拡充。 E外国人の人権。 F合理的な財産権の行使。 G子どもの権利の明記。 H国家と宗教の関係の明記。 3.地方分権 @自治体に認めるべき優先的立法権の明記。 A課税自主権・財政自治権の明記。 4.安全保障 @平和主義の堅持。 A国連の集団安全保障活動を憲法上に明記。 B自衛権発動の際の制約原理を明記。(緊急性、暫定  性、公開性) C武力行使の際の抑制原理の明記。