国会通信 No.653
【統治システムの全体像】
2005/2/15 (マンデーレポート653の要旨)
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【1】【参議員憲法調査会の最終日程が決まりました。】
【2】【統治システムの相互関係について報告】
【3】【矯正プログラムの緊急点検実施】
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【1】【参議員憲法調査会の最終日程が決まりました。】
●2月9日に行なわれた参議院の憲法調査会終了後の幹事会で
報告書作成についての日程等を協議し、概略以下の通りの
合意に達しました。
1 小委員会(「二院制のあり方」)の調査会への報告は
3月29日。
2 調査会全体の報告書の本会議報告は 4月27日に行う。
3 親調査会の総括的な議論はあと3回行う。
●また2月21日に実施予定の公聴会における公述人8名を
決定しました。一般に公募した公述人の応募者は60名を超え
衆議院憲法調査会の2倍の応募状況だったそうです。
【2】【統治システムの相互関係について報告】
●2月9日の憲法調査会のメインテーマは「統治システムの
相互関係について」でした。各会派の代表が15分間ずつ報告をし、
それについてフリーの議論をするというスタイルで議論が行われました。
●私は民主党を代表して報告しました。そもそも、このテーマを
最終の場面で行うべきだと提案したのは私でした。そんなわけで
気合いを入れて準備しましたが、なにしろ持ち時間はたったの15分。
この国のあり方全体を述べると言う間口の広いテーマに対して、
時間は余りにも少なすぎる。1時間以上じっくりと時間を使い、
メリハリをつけて説明したいところだったのですが、各会派との
取り決めでもあり、会長代理としての立場もあり、時間厳守は
致し方のないところでした。そんなわけで、どうしても早口の
報告になってしまいました。
●言いたかったことは
1 憲法が守られるためには、統治システムの目的が明確に
述べられている必要がある。 (→「前文」について)
2 「象徴天皇」制は維持されるべきだが、さらに純化すべきであること。
しかしのあり方は憲法が守られるためには意味内容が明晰であること。
(→「天皇」)
3 立法権を、国会に独占させておく時代は終った。
新しい憲法は、国民投票制を採用して、
国民と国会が立法権を共有する時代に。
(→「立法」)
4 議院内閣制は、官僚政治を温存し増幅している。
首相公選制を採用するしかない。
(→「内閣」)
5 司法の権限を強化するためには、裁判官の任用自体に
民主的な基盤を附与すべきである。
(→「司法」)
等々でした。概略は以下の発言メモをご参照ください。
●一気呵成に15分ないの発言をまとめました。時間は多少オーバーしましたが、
用意したメモの大半は発言できたように思いました。すると、となりの
関谷会長から手書きのメモが渡されました。見てみると「立派でした。」と
書かれてあり、時間のない中での努力をお認め頂いたのかなと感じました。
●憲法調査会報告 発言メモ 05年2月9日
1 統治の目的の明確化
(1)前文の重要な意義
●統治システムは、統治の目的を実現するための装置である。
統治の目的が明確に宣言されることこそ憲法の出発点。
●憲法前文は、統治システムの目的を明確に宣言したもので
なければならない。
(2)前文の具体的内容
●国民主権、基本的人権の尊重、普遍的平和主義は、当然
継承すべきである。
●日本国と日本国民のめざすべき未来の目標や理想、
すなわちナショナルゴールを明確に宣言すべきである。
●「ナショナルゴール」としては
@「平和創造」「核廃絶」
(核の抑止力等の性悪説的安全保障を超越すること。)
A「知的創造」立国
●わが国の地政学上の限界性について銘記する。
@ 資源的な限界性 エネルギーの他者依存性(石油 核)。
A 歴史的な限界性 失敗した戦争。
B 地理的な限界性 極東、米中。
2 天皇制
●「法の支配」の貫徹の見地から、「象徴天皇制」の明確化が必要。
●天皇が、「日本国の象徴であり日本国民の統合の象徴」であること、
さらに、その地位が「国民の総意に基づく」ものであることについては、
承継する。
●現憲法上の「象徴」概念の混乱。
→「国政に関する権能」を、明文で否定(4条1項)しながら、
内閣と司法のトップの任命権を付与。また、天皇は、国会を「召集」する
とした。
●実質的な権限は否定されているが、形式的任命権を持たされている。
●このような概念の混乱は、天皇主権を国民主権に変えるという大激変
に対する激変緩和といった歴史的な所産であり、歴史的には評価できる。
●憲法は、すべての法体系の源であり、したがって、できうる限り明晰に
する必要がある。それがわが国における「法の支配」を貫徹するための
基本である。
●この観点から、国民主権の徹底化と同時に、象徴天皇制の意義をさらに純化する
ためにも、天皇規定を再検討すべきである。
●このことは、「女性天皇」を判断する際の基本的な前提でもある。
3 地球規模の文明史的な転換点への対応
(1)コミュニケーション革命への対処
●IT革命がもたらしたもの
⇒個人の情報発信機会の極大化
⇒政治参加意欲の過剰・疎外感からの急激な忌避
⇒統治システムの可及的速やかな変革が必要。
(2)国家概念の変容
⇒経済や通貨のグローバル化・地球規模の緊密な経済
⇒国境の事実上の消滅。
⇒国家集合体としての新国家の統治システムの検討
⇒テロへの国際的な対処。
⇒国際的な災害、公害、疾病等への対処。
4 統治システムについての新たな重要な課題
(1) 直接民主主義への原則的な転換
●間接民主主義原則から直接民主主義原則へ。
●国民主権の徹底化
⇒立法権 ⇒国民投票制度
⇒行政権 ⇒首相公選制度
⇒司法権 ⇒国民主権に立脚した司法の再構成。
⇒国家概念 ⇒(内部的)国:地方の権限の再配分
⇒(対外的)AU構想への展望
(2)国会と国民による立法権の共有。
●立法権を、国会が独占する時代から、国民と国会が共有する時代に。
●以下の3つ。
●国民発議 : 憲法・法律の制定改廃について国民が発議。
国民投票で決定。
●国民票決 : 国会が決めた憲法・法律についての制定改廃。
●国民拒否 : すでに発効している法律の効力停止。
(3)行政権限の原則を地方自治体に
●地方が原則的な行政権限を持つ。
●国は制限的。
●道州制の分権連邦国家。
5 議院内閣制から首相公選制に
(1)わが国の議院内閣制の実態
●新旧憲法のもとで継続した官僚制度の強固な岩盤。
●吉田自由党への官僚一斉入党(1948年7月)以来、
政策面・人材面での緊密な合体。
●政官癒着の制度的な裏づけが議院内閣制。
●議院内閣制は、官僚支配を結果として温存し、増幅した。
(2)未熟な運営ルール
●議院内閣制の基本的な運営ルールが未成熟。
●小泉政権に特に顕著なのが、法案提出についての与党との調整不足。
●法案提出について内閣と与党との間に連携を欠けば
議院内閣制の本旨から言えば総辞職のはず。
(3)政権交代への阻害要因
●政府対与党の対立のばあい、
いきおい報道の焦点は、この内部対立に。
●結果として、与党が野党の役割を演じ、本物の野党の存在は希薄化。
●このことが意図的に行われると、国民の争点への理解もぼかされる弊害。
●野党は党勢拡大のチャンスを失い、最終的に名目だけの改革で終る。
6 首相公選制
●導入についての反対論は、国民の判断力への疑念、独裁化の危険、
天皇制との整合性、分裂政府の場合の対応、失政の場合の罷免策などであるが、
これらはいづれも本質的な欠陥ではない。
●国民主権の徹底化の見地から、そして官僚政治から根本的に脱却する
見地からも、議院内閣制を止めて首相公選制に変えるべきである。
7 国民主権の見地からの司法権の強化
(1)基本的な考え方
●どんなに素晴らしい憲法を作っても、政治の側が、好き勝手に解釈改憲し、
憲法秩序の破壊が不断に行われるようでは意味がない。
●「法の支配」を実効的にするために、現在の謙抑的な裁判所の姿勢は
新ためる必要がある。
●日本に陪審制度を導入した平民宰相原敬の思いは、国民の民主主義の力を
向上させる切り札とすることにあったと聞く。
●裁判員制度は、司法的な判断の現場に国民を参加させることであり、
それは国民主権の観点からの司法強化である。
●これをきっかけとして、その他の司法強化策を考えるべきである。
(2)裁判所に民主的な基盤を与える。
●現行憲法では、裁判官の任命権者は、
天皇(⇒最高裁長官 6条2項)及び内閣(79条1項、80条1項)であり、
就任にあたっての民主的な基盤を欠く。
●最高裁判事への国民投票も現実の意味はほとんど希薄。
●このことが、判決にあたっての抑制的な姿勢の原因になっている。
●いわゆる統治行為の論理で、政治的な争点となっている問題での判断を
回避する際の常套句は、「裁判所は民主的な基盤を持たないから云々」である。
●また、国民の多くは、行政裁判における裁判所の硬直的な対応から、
裁判所は「役所の味方」なのではと、深い疑念を持っている。
●法務省との人事交流や、裁判所予算を可決するための与党への対応などで、
「司法の行政化」が進行しているのではとの批判もある。
●これらに答える意味で、最高裁判所の長官・判事の任命については
国会の関与を認めて、民主的な基盤を与え、その権限を強化するポイント
とすべきである。
(3)行政訴訟の改革
●憲法違反であるとの疑いが強い内閣の「異議権」については
ただちに削除すべきである。
(4)憲法裁判所の新設
【3】【矯正プログラムの緊急点検実施】
●2月10日、性犯罪にたいする合同部門会議(法務・内閣・人権)を
開催し、第3回目のヒアリングを行いました。
●その際、現在矯正プログラムを実施(検討中のところも含む)している
13の刑事施設について集中的に緊急実態調査を行うことを提案しました。
そして「矯正プログラム緊急調査ワーキングチーム」を3部門合同で
設置することを提案し、全員の賛成で設置が決定されました。
●13の施設は北海道から九州まで全国にまたがっていますので、
複数の議員による調査チームを決定し、今国会で予定されている
監獄法改正案の審議入りまでには、一斉調査を完了したいと考えています。