国会通信 No.658

  【新会社法と企業防衛策】

2005/3/22 (マンデーレポート658の要旨)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】新会社法と企業買収防衛策 【2】新会社法への大きな危惧 【3】先週の主な活動 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】新会社法の企業買収防衛策 1)企業買収に対する懸念 ●ライブドア 対 ニッポン放送・フジテレビの対立抗争が連日マスコミを  仮処分ではライブドア側が勝利、その後の異議申し立ても却下された。  現在高裁で審議中だがこの部分でのライブドア側の勝利は動かないと思う。 ●新株発行でライブドアの支配権低下をとのニッポン放送側の目論見は、  ほぼ失敗に終わったようだが、次に検討されているのがいわゆる「焦土作戦」。  ニッポン放送の営業利益の半分以上を担っている子会社のポニーキャニオンを  フジテレビに売却あるいは新株発行するなどして、いわば「虎の子」を  フジに緊急移転してしまう。そんな非常手段をとってライブドアの買収行動を  無意味にしようというわけだ。 ●ただ焦土作戦は、当然会社の価値を急落させる。したがって、株主代表訴訟の  対象ともなる。なかなか踏み切るのは難しい選択。そんな状況下でフジは予想を  大幅に上回る配当を決定、これによりフジテレビの株式は急騰。これは、ライブド   アからの株買占めに対する対抗策であることは明らかである。さらにフジ側からの  ライブドア株の買占めなどの反転攻勢も予想され、双方の対立抗争は熾烈を極めて  いる。 ●今度の国会には1000条近い多くの条文を持つ新会社法が提出される。  このなかで株式会社についてのさまざまな大改正が行われる。その改正の結果とし   ていままで行われなかった敵対的買収に対する対抗策もとりうるようになる。その 辺  を3月9日の民主党『次の内閣』の閣議で説明した。 ●新会社法のポイントをいくつか挙げると  新会社法は、会社形態の変更や会社組織の変更などのほか、株式会社についての  かなり重要な変更を行う内容だが、そのうち企業の合併と買収についてはかなりの  制度変更を予定している。 ●特に、企業買収の対価として株式を当ててもよいということになった。  このため、外国企業が親会社である国内企業が、日本企業を買収しようとして、  市場価値の高い親会社の株式を与えて買収できるようになり(これを三角合併とい   う。)国内企業が海外の有力企業に買収されてしまうのではないかという懸念が生 ま  れ、このため新会社法で企業防衛策として何ができるかがことさら注目されるよ うに  なった。 2)企業防衛策に関連する新会社法 ●新会社法における企業防衛策に関連する主な改正点は以下の4点である。  (以下「強制」の意味は、「意思に反しても」の意味。法案にはもちろん強制の言葉   はない。わかりやすくする意味で筆者が付加した。) @ 種類株の強制取得    「定款の定め」および「株主総会の特別決議」により、種類株式の全部を一方的に   取得することができるようになる。反対でも株式の買取請求ができるだけ。 A 新株予約権の強制消却   取締役会は新株予約権を発行できる。しかし今までは予約権の消却のことまで   規定していなかった。新会社法では、新株予約権の消却についての規定を新設。   取締役会が定める一定の要件のもとに事後的に新株予約件を消却できるようにし     た。  B 事後的な譲渡制限   現行法では、株式の譲渡制限は全部自由か全部制限かの二者択一しかなかった。   これを一部の種類株式についてのみ譲渡制限できるように改めるとともに、   種類株主総会の決定があれば事後的に譲渡制限できるようにする。 C 特殊決議   株主総会の決定要件でいままで最も重かったのが特別決議=議決権株式の3分の2)   それをさらに重くする特殊決議(株主過半数 議決権株式4分の3)を定款で定める    ことができる。   3)以上の改正を受けてできる具体的な企業防衛策 ●法務省と経産省の立法担当者によれば、主な防衛策の例は以下のとおりである。  @とかAはポイズンピル(毒薬)といわれたりするものである。 @強制転換条項付株式   定款に定めておけば、既に発行している普通株を一挙に強制転換条項付株式に変更し、  そのうえで種類株式の一部の議決権を奪うこともできるようになる。 A新株予約権の強制消却  買収者が発行済み株式数の一定割合以上を買い占めた場合、買収者の新株予約権を  消滅させる一方、買収者以外の株主に自動的に株式が発行されるような新株予約権を  発行できるようになる。 B黄金株の譲渡制限  株主総会の合併承認決議や取締役の解任決議に対して拒否権を持つ拒否権付株式を  黄金株と言う。この黄金株が第三者に譲渡されないよう、定款によって譲渡制限をした  り、事後的な譲渡制限の規定を置くことができる。 ●会社ののっとりという表現はいまや過去の言葉。  欧米ではM&Aと表現される。Mはマージュリー=合併、Aはアクイジッション=買収。  きちんとしたルールの下で、これが行われることにより経済が活性化するといった  重要な機能を果たしている。 しかし日本ではどうも様子がおかしい。  というより、今度の一件を見るにつけ、この国では株式市場の本当の意味が  まったく理解されていないのではと思ってしまう。 【2】 新会社法への大きな危惧 ●会社はいったい誰のもの。  会社は経営者のものか。会社は親会社のものか。  株式会社の所有者は当然株主であるはず。しかし株式市場に公開している  会社の代表者としての発言とも思えないような言葉が多くすぎる。   ●新会社法が企業防衛のためにさまざまな株式の発行を認めるのはよい。  しかし、株主の地位をさまざまに分断し、株主総会の地位を低下させる  懸念がある。取締役選任の権限を持つはずの株主総会が著しく形骸化し、  取締役会にコントロールするようになれば、本末転倒である。 ●一般投資家は無視されてはいないか。  機関投資家はそれなりに対応できるが買収劇で翻弄され、結果的に  損失をこうむるのは一般投資家。その保護の仕組みはほとんど無策。 ●金融庁は何をやっている。  時間外取引の例は昔からあったと聞く。ライブドアが初めてではないはず。  公開買い付けの場合の3分の1を守らないでよいのかということについて  金融庁も証券取引所も何の手当てもしてこなかったのは著しい立法的な  ミスである。このことについて何の反省の弁がないのはずるい。  こんな重要なことのルール化すら怠ってきたのがわが国の実態。 ●新会社法は実にさまざまな株式のバリエーションを容認し、何でもありの  株式市場を実現する。当然予想される市場の混乱に対処する基準作りや  ルール作り、被害者救済、違反者に対する厳しい制裁や課徴金等の  制度はまったく立ち遅れている。 ●このままでは、一般投資家は市場から逃げていき、株主総会は取締役への  監視する力をますます失い、制度の不備を逆手に取る輩が暴利をむさぼり、  世界の株式市場からさらに阻害された市場環境を強化することになりかねない。 ●アメリカは自由であると同時に、自由が放埓に及ばないような、証券監視委員会  を頂点とする厳しい制裁措置があることを忘れてはならない。市場からの永久追放や  巨額な課徴金制度、おとり捜査、報奨金、さらにはクラスアクションなどの損失補填の  手続きもある。証券市場をアメリカ化する方向で急激に動き始まっているのは  間違いないが、アメリカにあるような公正な株式市場を守るための仕組みづくり  にはまったく及び腰なのがわが国である。これでは世界的に異常な株式市場が  出現することになる。市場の健全なルールを確立する仕組みを早急に  立ち上げなければならない。 【4】先週の主な活動 ■3月14日(月) 19:00 県連幹事会 ■3月15日(火) 08:00 第657回マンデーレポート 10:00 法務委員会 ★管轄法改正案の趣旨説明を法務大臣から聴取しました。 16:15 法務部門会議 17:15 司法制度改革推進議員連盟総会 ■3月16日(水) 11:00 犯罪収益吐き出し制度PT 12:00 国対・理事合同会議 12:30 参議院憲法調査会幹事懇 15:00 次の内閣閣議 17:00 民主党憲法調査会第2小委員会 ■3月17日(木) 08:00 法務部門会議 08:50 法務・人権侵害救済法PT合同会議 10:00 法務委員会 12:15 栃木県選出民主党議員打合会 15:00 民主党憲法調査会拡大役員会 16:00 人権消費者問題調査会・法務・内閣合同会議 ■3月18日(金) 09:30 議員総会 10:00 本会議 13:00 法務委員会 ■3月19日(土) 10:00 あつみ幼稚園卒園式 12:00 国谷家結納 ■3月21日(月) 15:30 第10回さよなら6年生交流野球大会 表彰式