国会通信 No.661

  【憲法調査会で賛成討論】

2005/4/25 (マンデーレポート661の要旨)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】法務大臣に対して本会議で質問 【2】参議院憲法調査会 最終報告書の議決で賛成討論。 【3】先週および先々週の主な活動 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】法務大臣に対して本会議で質問 ●水曜日は忙しい。魔のウエンズデーと言ってもよい。  先週の20日はその典型だった。  本会議での質問、憲法調査会の最終報告書の議決、党首討論の  三つが重なったからだ。 ●本会議での質問は3年ぶり。独特の緊張感がある。しかも  憲法調査会の5年越しの最終報告書のラストスパートに  かかっており準備に時間を割けるような状況ではない。 ●一様の原稿を書き終えたのが18日の月曜日の午前4時半。  初めて議員会館で徹夜した。宿舎に戻って仮眠をとり、午前10時からの  法務委員会に出席。完全にグロッキーだった。 ● 質問の案件はほぼ100年ぶりの監獄法の大改正だから、非常に  重い法案。手は抜けっこない。そんなわけで原稿の字数は7000字を  越え、15分のもち時間内ではとても無理な多さ。しかもこの日は  武村先生の叙勲祝い。井出正一さん、中村敦夫さん、黒岩秩子さんなど、  なつかしいさきがけの面々と懇親会。セーブするつもりが気分良く快飲。  宿舎に戻って仮眠を取ろうとしたら前日の徹夜のせいもあって、目が覚  めたら朝も6時を回っていた。そんなわけで、時間内に収める切込みが  できずに10時からの本会議に臨むこととなった。 ●案の定、時間切れになって、質問項目を2問省略。  それなのに省いた部分まで大臣は答弁していただいた。  刑務所の過剰収容という現実の大問題があるが、こちらは  「大臣の過剰答弁」。本来なら議運で問題になるところだが、  答弁をもらった部分は、私も質問したかった「刑務官に対する研修と  訓練」に関する部分。衆議院で民主党が強く要求して修正させた部分。  大臣の過剰サービスであるとしてありがたくお受けすることにした。 ●以下は質問の中心部分を抜き出したもの。ご参考まで。  なお、質問要旨の全部は添付ファイルとした。 【重要法案に対する大臣のリーダーシップについて】    1 会社法案のポイントは?  今国会、法務部門では21世紀の日本社会の基礎をなす重要法案が目白押しです。ま  ず、民事では、会社法案を審議しなければなりません。条文数は1000条になんなん  とする大法案です。こんな膨大な条文数をもった法案はいままでお目にかかったことが  ありません。ライブドア対フジテレビの激しい争いで実感したように、今までの株式の  相互持ち合いで「ぬるま湯」につかったようななれ合い経済は、劇的に変化を遂げざる  を得ないのです。21世紀の日本の株式会社のあり方や株式市場の姿がこの法律で決ま  ってしまいます。 2 刑事施設法案のポイントは?  また、刑事では、今から議論する刑事施設法案があります。  人類の歴史につきものだった犯罪は、IT革命とそれのもたらす  国際化によってさらに複雑化し、その影響は甚大かつ広範になり、  刑事司法のコストは急上昇しかねません。  刑事司法についてのしっかりとしたグランドデザインを構築して対処しなければ、間違  いなく犯罪対策の社会的コストは肥大します。そしてじわじわと、この国の財政を圧迫  し、やがては政治行政に耐えきれない重荷になってしまうでしょう。刑事司法が21世  紀の日本社会に強烈なストレスとならないよう、どんな制度設計をするかが問われてい  るのです。 3 共謀罪法案の危険性について?  つづいて条約刑法があります。憲法の保障するすべての人権の出発点が憲法19条の「  内心の自由」です。  内心は自由である、内心は罪に問われるべきではない、その基本思想が刑法典に反映し  た結果、犯罪の実行行為に着手する前の段階で罪に問う予備陰謀罪は現行刑法ではたっ  たの6つしか認めておりません。  国連越境犯罪防止条約の国内法化をはかるいわゆる共謀罪法案は、前前国会から継続中  ですが、これをそのまま成立させては、刑法の大原則どころか憲法18条を形骸化し、  安易な警察権力の発動を導くことによって、この国の自由な精神社会は根本からむしば  まれていきます。それでよいはずがありません。  この3法案のそれぞれについて、その重要な歴史的意義をどう認識しているのか、また  、法案審議をリードしていく大臣としての基本的な指針をどう考えているのか。この2  点が明示されていなければ大臣として官僚の皆さんにリーダーシップを発揮することは  かないません。ご自身のお考えをお聞かせ頂きたいと思います。 【裁判員制度の準備状況について】   1 平民宰相原敬の熱い思いについて   日本の陪審制度の本格的整備は1918年に誕生した原内閣のときに開始され、陪審   法は1923年4月に制定、施行はその5年後の1928年。そして施行から15年後   の1943年に「戦時」を理由に停止した。   平民宰相原敬は、陪審制度こそ人民の司法への信頼を築き、政党政治発展のための不可   欠の制度と確信して制度の定着に全力を挙げた。   記録に残っているのは、施行前の5年の間に、全国で延べ3339回の講演会を開催し   、その聴衆は124万人。印刷された啓蒙パンフレット類は284万枚。ほかに宣伝用   映画11巻(うち日本映画7巻)が作成された。陪審制度定着のための啓蒙啓発活動に   全力を尽くした強烈な思いが伝わってくる。 2 いままで裁判員制度に関する講演会は何回やったか。それを聞いた国民の数は。ま   た、啓蒙パンフレットは何部くらい作ったか。さらに2009年5月の実施開始まで、   国民に対する啓蒙啓発活動をどのようにやろうと考えているのか。 【大きな刑事司法よりも適正な刑事司法を】  1 問題のポイントは何か?   21世紀の刑事司法の目指すべき方向ですが、選択肢は二つに絞られる。   それは「大きな刑事司法」か「適正な刑事司法」かということ。   大きな刑事司法の考え方は、刑罰の一般予防機能を重視し、取り締まりを強化する厳罰   主義。適正な刑事司法は刑罰の特別予防機能を重視し、社会復帰のための処遇を促進す   る寛刑主義。   大きな刑事司法の考え方にたつと組織整備の重点は警察官、検察官、裁判官となる。適   正な刑事司法では組織強化の重点は裁判所の調査官や法務教官そして保護観察官に移っ   てくる。 2 大きな刑事司法よりも「適正な」刑事司法を目指すべき   警察官を増員すれば、まじめな警察官の努力の結果、犯罪の認知件数は当然あがる。   同時に検挙件数も上昇。したがって受刑者の数は増えてくる。そして過剰収容のレベル   をさらに悪化させる。   刑務所の収容原理を今までのような管理型、拘束重視のままにすると、   刑務所は「人生の学校」どころか「犯罪の学校」となりかねない。   刑務所が「犯罪の拡大再生産」の拠点としてはならない。このような過剰収容のスパイ   ラル現象が社会に重くのしかかってくることを私はおそれる。 3 社会復帰促進の機能強化をすべきである。   そのためにも、刑務所の受刑者に対する社会復帰を促進する機能をできるだけ強化する   ことが大変重要になってきます。この度の大改正は、受刑者の処遇原則を定めた14条   に「改善更正の意欲の喚起および社会生活に適応する能力の育成」を銘記したことによ   り、わが国の21世紀の刑事司法のあり方として「適正な刑事司法」をめざすことを明   らかにしたものと認めるべきではないでしょうか。大臣のご所見を伺います。 【2】参議院憲法調査会 最終報告書の議決で賛成討論。 ●上記 、本会議の質問を終えてから、ただちに憲法調査会での賛成討論の  原稿作りに着手した。5年余の歳月をかけた最終報告である。  自民・公明・民主の3党が一致できたものは以下の6項目。これを「趨勢」と表現し、  共産・社民を含めて5党の認識が一致ないしおおむね一致したものを「共通の認識」  と表現した。これは33項目。その他は分かれたものとして整理した。   「趨勢」 1 新しい人権を書きいれる必要性 2 プライヴァシーの権利 3 環境権 4 予算の複数年次制 5 内閣総理大臣および大臣の選任 6 憲法調査会の継続と改正手続法の議論 ●衆議院は個人の発言レベルで整理したが参議院は政党レベルで整理した。  したがって、個人では多数であっても政党としての正式な決定まで至っていないものは  参議院では落ちることになるので、衆議院よりも自公民の一致の部分は少なくなった。 ●このことを批判するマスコミもあり、参議院は突っ込み不足だなどと指摘を受けたが  この批判は筋違いだと思う。一致点を求めることは憲法調査会の趣旨ではない。  当初から法案提出権を否定してスタートしたのが憲法調査会である。  それはなぜか。憲法改正に当たっての国会の権能はあくまで改正の発議でしかなく、  改正案の決定権を持っているのは国民だからである。この基本を履き違えてはならない  と思う。 ●いよいよこれから憲法改正の議論を国民の間で深めていく第2ステージに立っている。  生き生きとした憲法、国民の熱い支持に支えられた憲法を作るための新しいスタートを  きるときである。 ●以下は、20日の最終場面で民主党・新緑風会を代表して述べた賛成討論の原稿である。  その全文を紹介し調査報告書作成のけじめとさせていただきたい。 【参議院憲法調査会】  討論原稿                 05年4月20日                     参議院議員  簗瀬 進   民主党・新緑風会を代表して、参議院憲法調査会の調査報告書について賛成の立場で 討論を行います。 まず平成12年1月20日以来、5年余の長期間にわたって、真剣な議論を積み重ねて こられたすべての会派および所属議員に対し、心から敬意を申し上げたいと思います。 その結果として、6項目の「趨勢意見」、「おおむね」を含む33項目の「共通認識」、 20項目の「分かれた意見」に整理されましたが、その整理の仕方や内容についても 賛成いたします。 戦後60年。いよいよわが国は歴史の新しい扉の前に立っていることを実感します。 現行憲法は、軍国主義復活の防波堤になり、平和主義をわが国の国是とすることに おいて大変な功績を残しました。 しかし世界情勢の様々な変化の中で、わが国は現実的な対応に迫られた結果、 かなり無理な憲法解釈を強いられてきたことも事実です。そして、そのことが憲法の形 骸化をもたらし、民主主義の背骨とも言うべき「法の支配」の観念を著しく低下させて いる といった憲法体制の危機も事実として重く受け止めなければならないと考えます。 これ以上無理を続ければやがて憲法秩序は崩壊し、自衛隊をブラックボックスのなかで 無原則的に展開させるといった、恐るべき無法体制をこの国に出現させかねません。 まさにそんな状況の中で、「法の支配」を真に実効あらしめるため、憲法改正を現実の もの として直視しなければならないと考えます。 いよいよで本日で憲法調査会の一応の締めくくりを迎えますが、節目に当たって何点か 私自身の意見を申し上げたいと考えます。 一つは、「歴史の十字架」ということです。この言葉は司馬遼太郎の述べた言葉でもあ ります。憲法改正と同時並行して行わなければならないのは、求められたからではなく 、自主的に行う歴史の総括の真剣な取り組みです。日中関係の現下の危機的な状況をも たらしている直接的な原因は、国内に平和的に存在する外国人の安全を積極的に守ろう としない中国政府にあることは言うまでもありません。しかし、戦争の記憶を簡単に風 化し、経済関係ですべて処理できると考えるわが国の安易な姿勢も問われなければなり ません。憲法改正を気にわが国が歯止めのきかないナショナリズムで席巻されるのでは ないかというおそれは、アジアだけではなく広く海外にあること、海外からはわが国は 自爆テロの発祥の地と今もって認識されていおることを忘れてはならないと思います。 二つめは、憲法改正権は国会ではなく国民にあるという当たり前の原則です。 国会が、国民から遊離した憲法改正を発議し、著しい低投票率で終わったとすれば、 新たな憲法規定もそれどころか提案者の国会自身も国民から否定されたことになってし まいます。そんなことのないよう、しっかりと国民の論議を巻き起こしていかねばなら ないと思います。 三つ目は、手続き法の重要性です。実体法の議論と同じレベルで重要なのが手続き法の 議論です。デユー・プロセス・オブ・ローの言葉の通り、民主主義の本質は適正な手続 きに よって担われているのです。このことを軽視してはなりません。憲法調査会は、むしろ 手続き法の調査をし、改正規定本体と手続法の議論を国民レベルに広げていくと言った 第2ステージに進むべきであると願って討論を終わります。 【3】先週および先々週の主な活動 ■4月11日(月) 08:00 第660回マンデーレポート 09:30 平出工業団地管理協会陳情 (交通渋滞解消策) 13:00 日本弁理士政治連盟訪問   19:00 県連幹事会 ■4月12日(火) 10:00 法務委員会  13:00 日本行政書士政治連盟訪問 14:20 JR総連 来訪 14:30 「インビテーション」取材 16:00 チェコ共和国上院憲法法律委員会一行との会見。 ■4月13日(水) 08:00 外務・法務・人身売買検討PT合同会議 09:30 議員総会 10:00 本会議 11:00 議員総会 12:00 イスラエル副首相と岡田代表の会談 ★今年の連休は、岡田代表に随行し、イスラエル訪問の予定。  その準備を兼ねて訪日中の副首相と対談。  テロの問題では、机をたたきながら自説を主張なさっていた。  問題の根深さを実感。 13:30 栃木県副知事来訪 15:00 次の内閣閣議 16:00 参議院憲法調査会幹事懇 17:00 民主党栃木県選出国会議員懇談会 ■4月14日(木) 08:00 法務部門会議 08:10 法務・財金・経産部門合同会議 10:00 法務委員会 ■4月15日(金) 10:00 参議院憲法調査会幹事懇 12:00 参議院議長主催全議員懇親会 13:00 参議院憲法調査会に関する会合 17:30 平成17年度日本弁護士連合会会長・副会長就任披露 ■4月16日(土) 12:00 いいづか昭吉 佐野市長候補の応援。街頭演説3箇所。 16:00 簗瀬進政治資金パーティー実施。 「TRY NEXT 明日への挑戦」 ★入場者は500名前後。ご協力いただいた皆さんに心から感謝申し上げます。 ■4月17日(日) 09:00 まかべ俊郎事務所訪問 09:30 山本幸治出陣式 11:00 石井万吉一里後援会「花見の集い・そば会」 ■4月18日(月) 07:30 栃木県執行部と国会議員との朝食懇談会 ★足銀の受け皿問題についての件の説明を受け議論。 09:30 県連・連合栃木との定期協力会議 14:00 参議院憲法調査会担当幹事懇 16:00 法務省刑事局公安課長よりレクチャー 17:30 国家基本政策委員会両院合同幹事会 ■4月19日(火) 10:00 法務委員会 11:30 民主党憲法調査会打合せ 16:30 参議院憲法調査会幹事懇 17:40 会社法案打合会 19:00 武村正義先生の叙勲を祝う会 ■4月20日(水) 09:30 議員総会 10:00 本会議 ★刑事施設法案について法務大臣から趣旨説明を聴取した後、質疑。  本会議で登壇するのは3年ぶり。(上記【1】参照) 12:00 国対・理事合同会議 12:50 参議院憲法調査会幹事会 13:00 参議院憲法調査会 (上記【2】参照) 13:50 参議院扇議長に報告書提出。 14:00 記者発表 14:35 参議院国家基本政策委員会理事会 14:40 参議院国家基本政策委員会 14:45 国家基本政策委員会両院合同幹事会 15:00 国家基本政策委員会合同審査会 ★参議院番で行う党首討論。岡田代表 日中問題や  郵政改革問題で小泉総理を押し気味な展開。  脇を固めるわれわれの野次の中からも反論の材料を拾うなど  落ち着いて総理を攻められた。 16:00 次の内閣閣議 17:30 知的財産権戦略PT役員会 18:30 民緑憲法調査会懇親会 ■4月21日(木) 08:00 法務部門会議 08:10 法務・財金・経産合同部門会議 09:00 死因究明WT 10:00 法務委員会 12:30 プレス民主取材 13:00 NPO法人環境文明21来訪 13:30 日弁連鈴木事務次長来訪 14:10 下野新聞取材 16:00 外国人の人権と国籍問題に関するPT 16:15 知的財産権PT ★アメリカ・イギリス・フランスの在日大使館の担当者から  各々の国の知財戦略について聴取。  ゲノム地図やエイズの特効薬などの特許対象から除外すべきものが  あるのではという私の質問に対し、アメリカでの最近の議論で  IBMが「パテント・コモンズ」(pattent commons : 公共特許?)という  概念を提起しているとの話しが特に記憶に残った。  また世界の大勢は先願主義に対し、アメリカのみが先発明主義を  とっていることについての批判に対しアメリカ大使館は歯牙にもかけていない  様子だったが、それに対する英仏の感想を求めると、フランス大使館は  ノーコメン。イギリス大使館は一言「不透明だと思っています」とコメント。  両者の微妙な違いが印象的だった。 18:00 東京翔進会懇親会 ■4月22日(金) 09:00 民主党憲法調査会拡大役員会 09:30 議員総会 10:00 本会議 ■4月23日(土) 10:00 立正佼成会宇都宮教会新道場地鎮式 14:00 故飯村博之様合同葬 17:15 宮城の衆議院補選の応援。 ★大学時代の下宿先や、保証人となっていただいた方を訪問。  支援依頼。 ■4月24日(日) 10:00 民主党栃木県連定期大会 ★ 代表に私、幹事長に佐藤信県議が選任。また、  次期衆議院選挙で公認が内定している  1区水島、2区福田、4区山岡の3氏の必勝を決議した。