国会通信 No.666

  【共謀罪の問題点】

2005/6/13 (マンデーレポート666の要旨)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】共謀罪の問題点 【2】擬似外国会社の問題点 【3】先週の主な活動 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】 共謀罪の問題点。 <国会情勢は> ●6月19日(日)が会期末。しかし郵政民営化法案の審議は始まったばかり。  したがって、50日以上の大幅な会期延長は必至の情勢になってきました。  もちろん会期延長には民主党は大反対。郵政民営化法案の出しなおしを  すべきなのです。 <法務部門の焦点は共謀罪> ●法務委員会に焦点を移すと、今審議中の会社法案の後に控えているのは  少年法改正と条約刑法の二つの重要な法案です。先週は条約刑法、  いわゆる共謀罪についての作業チームの検討を集約し、ネクストキャビネット  に報告。法案についての最終的な民主党の対応を決めるための最終的な  部門会議の議論をしなければなりません。そこで、今までのポイントを  まとめておきたいと思います。 <法律の名前は> ●まず、この法律の正式名称ですが、とても長い(※)。そこで、省略して  「条約刑法」や「共謀罪」と呼ばれることが多いのでご注意ください。 ※正式な法案の名前  「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の  一部を改正する法律案」 <テロ対策のための国連条約> ●この法律は条約刑法と呼ばれることでも分かるように、  国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を国内法化するためのものです。  この条約(=組織犯罪防止条約)は、いまから5年前の2000年11月に国連で採択され、  わが国は同年12月に署名、そして2003年の5月に国会で承認されています。 ●国会での承認に際しては、わが党の中でも若干の議論がありました。というのも  後述するように、国内の刑法規定に重大な変更を加えることになるからです。しかし、  テロ対策についての国内法規が不十分であること、および国内法を作る際に  さらに詳細な検討をすればよいということで、いわば留保つきで賛成しました。  ちなみに、自公民共が賛成。反対は社民。 ●条約は、その発効条件を締約国40カ国以上としていましたので、その条件を満たした  昨年の9月末に正式に発効しました。また条約内に発効後1年以内に締約国の会議を  開催するとの取り決めになっていますので、通例では今年9月までに締約国の会議を  開催することになります。いままで国会での審議は継続になってきましたが、そろそろ  時間切れ。  政府・与党はしゃにむに今国会中にこの条約の国内法化すなわち共謀罪を成立させようと  しています。 <どこが問題なのか> ●テロ対策のために国際的な協力を、、これは誰も否定できない大義名分。  だからそのために必要にして十分な国内法であれば問題はないのです。  しかし、テロ対策の完璧を期するあまり、やたらに広範な捜査権の拡大を図っていたり、  各国の刑法の基本原理を安易に乗り越えようとしている点がとても気になります。 <意思は問われないはず> ●憲法19条は「思想・良心は何人によっても犯してはならない。」としています。  心の中で考えただけで処罰の対象にしてはならないとしているのです。  そのために刑法の大原則は行為主義。すなわち犯罪の実行行為があって  初めて処罰するとしています。予備や陰謀だけでは罪に問わないとしたのです。  さらには実行の着手だけしたのみで罪に問う未遂罪の規定も限定しています。 <共謀罪のどこが問題なのか?> ●組織犯罪防止条約を国内法化するとどうなるか。政府の出してきた法律の中心の部分は  以下のとおりです。 (組織的な犯罪の共謀)  第6条の2 次の各法に掲げる罪に当たる行為で、団体の活動として、  当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、  当該各号に定める刑に処する。    ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。  一 死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪    →5年以下の懲役又は禁錮  二 長期4年以上10年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪    →2年以下の懲役又は禁錮 ●すなわち、対象となる犯罪の遂行を共謀しただけで罪に問えるのです。  「共謀」とは意思を通じたことですから端的に言えば、具体的な犯行に着手  するまえの計画段階でも罪に問えるのです。話し合いだけでも処罰される  可能性が出てきます。  ●いちおう「団体の活動として」、「組織により行われる」等々の限定がついています。  しかし、団体の内容についての限定はありません。したがって、たとえば宗教団体  でも労働団体でも適応対象には変わりありません。 ●さらに対象となる犯罪となるとこれが実に広範です。 <対象犯罪は600以上> ●この共謀罪の対象犯罪の数の多さには正直驚きます。  上記の法文の2号を読んでください。  「長期4年以上10年以下の」犯罪の数となるととても多いのです。  しかも、テロ対策とか国際的な犯罪とかとはほとんど関係のなさそうなものまで  広がっている点が問題です。 ●条約の審議過程で外務省が提出した資料だけでも対象犯罪の数は  500以上ありました。その後問題性を強く意識した日弁連や市民団体がさらに  詳しく調べ、現在では対象犯罪の数は615などといわれています。 <あらゆる分野に広がる共謀罪> ●数だけではありません、犯罪の内容についての限定はまったくありませんので、  たとえば   ★公職選挙法 (多数人買収及び多数人利害誘導等)、   ★酒税法    (酒類等の無免許製造)、   ★証券取引法 (虚偽書類の提出)、   ★郵便法    (郵便用物件の損傷等)  などなど実に広範な犯罪を共謀することだけで罪に問えるようになります。 ●候補者と選挙参謀が買収の話しを冗談でしただけでも警察のご厄介になる  ということになるのです。これでは、テロ対策どころか、市民生活のすみずみに  まで警察のチエックが及ぶようになりかねないし、共謀罪の立証のために、  盗聴やメールの傍受、おとり捜査等、なんでもありの「警察国家」への道を  開くのでは、そんな強い心配をしています。 ●これから部門会議で最終的な法案の対応を決めなければなりませんが  修正論議ですむかどうか、ぎりぎりのみきわめが必要となります。 【2】 擬似外国会社の問題点 ●もっぱら日本が主な営業地域でありながら、本店を海外においている外国  会社のことを擬似外国会社といいます。このことについて今回の会社法案で  いままでの旧商法規定の分かりづらい文章を改正しようとしていますが、  このことが特に外資の証券関係、金融関係に大きな波紋を呼んでいます。 ●このような脱法的な目的に使われかねない会社の存在は、旧商法でも  認めていなかったのですが、一方で、外国証券会社を国内に誘致する政策上の  都合から、長年にわたり、外国に本店を置き日本だけで営業する証券会社の  存在を容認してきたことです。このような外資系の証券会社は多数にのぼります。  言うならば会社法制と、外国証券会社法制との矛盾混乱なのです。 ●今回の会社法案のなかで、このことも議論となりましたが、今後は擬似外国会社の  「取引継続」を認めないと整理しました。となると営業継続したければ、新たに法人登録  しなさいと、それがいやなら撤退しなさいという二者択一を迫ることになり、たとえば  新規法人の設立には1年半程度の期間がかかるので、その間営業できないのか等々の  疑問や、そもそも長年営業を認めておきながら唐突にて擬似外国会社扱いするのは  問題だなどの大議論に発展しています。 ●詳細については、次回以降に触れますが、国内法の矛盾が噴出したわけで、  国際化にむけてのさまざまな落とし穴があることを改めて気づかせてくれました。  背景にあるのは伝統的な「なし崩し」手法。大いに反省しつつ、的確な対応をしなければ  生りません。 ●木曜日の合同審査会では自民党の田村議員も問題点を指摘していましたが、  法務省の解釈・運用での対応を導き出そうといった与党としての苦心のあとが見えました。  私自身は、法文で取引継続を認めないとの趣旨が明らかである以上、もはや解釈や運用では  限界があると思います。といって、ケーマン諸島に本店を置き脱税的な目的が明瞭な  外国会社まで認める必要もないわけで、一定の移行期間やさまざまな特例を実施するための  経過規定を置く方向での修正が必要ではないかと考えています。いずれにしても、  拙速な法案提出の問題点が参議院になっても明らかになりました。しっかりと対処します。 【3】先週の主な活動 ■6月6日(月) 08:00 マンデーレポート 18:00 東京電力労働組合第50回定時大会記念パーティー 18:30 衆議院議員田島一成東京交流会 ■6月7日(火) 08:00 共謀罪作業チーム第7回打合会 ★論点整理の最終まとめを行いました。(上記【1】参照) 10:00 法務委員会 ★会社法についての参考人質問をおこないました。 16:00 民主党憲法調査会総会 ★人権関係の小委員会の報告を行い、意見交換を行いました。  10人以上の議員からさまざまな意見が出ました。そのうち、印象に  残る議論は人権の制約原理をどうとらえるかという重要な論点です。  放埓な人権の主張にはおのずと制限がある。人権相互の相克を  どう調整するかは人間社会の永遠の課題です。「公共の福祉」という  現憲法の制約原理をどうするか、民主党の人権論議のポイントは  どうもこの辺に絞られそうです。これから議論をさらに深めていきます。 18:00 参議院議員木俣佳丈「沖縄及び北方特別委員長就任パーティー」 18:30 六本木男声合唱団倶楽部ワイン会 ■6月8日(水) 09:30 議員総会 10:00 本会議 12:00 国対・理事合同会議 12:30 参議院憲法調査会幹事懇談会 ★ガイドブックの製作について議論。 15:00 次の内閣閣議 ★共謀罪の問題点について報告。 18:30 衆議院議員伴野豊・鈴木康友 時代を拓く破竹の会 ■6月9日(木) 08:00 法務部門会議 08:40 法務・厚労・内閣部門合同会議 09:00 法務委員会 連合審査 ★経済産業委員会と金融財務委員会との合同審査。  先週、民主党の大久保議員が質問した「擬似外国会社」の規定が  日本で活動する外資系の証券・金融関係に大きな波紋を呼んでいる。  アメリカ大使館はじめ各国の大使館筋も法務省に問い合わせしたり、  法無関係の議員に面会を求めたり、かなりの動きが出ている。  自民党もわが党もこの点についての質問が集中した。(上記【2】参照) 12:30 法務・経産・財金部門合同会議 ★擬似外国会社の取り扱いについて議論。修正、削除、付則などの  必要性について議論。取り扱いについては3部門のネクスト大臣に  一任された。(上記【2】参照) 13:30 法務委員会 ★引き続き会社法について質問。 16:00 国会コーラス愛好会臨時総会 ★11月14日にチャリティーコンサートを開催することが決定。  場所は九段会館。午後6時19分開演。 ■6月10日(金) 09:30 議員総会 10:00 本会議 ■6月11日(土) 16:30 冨久田家・毎田家披露宴 ■6月12日(日) 13:00 鹿沼市トランポリン協会第3回鹿沼市トランポリン競技大会開会式 14:30 第4回オールジャパンアームレスリング選手権大会